【ブログ版】世界の名作文学を甲論乙駁|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を甲論乙駁』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

【動画解説付き】フランツ・カフカ『変身』|どんな小説?カフカの中でどんな位置づけ?面白いですか?

 

youtu.be

カフカの作品で一番まとまったものではないだろうか?

変身 カフカ

原題 Die Verwandlung 変身

虫について:虫ならInsekt(ゴルゴ13

ドイツ語の原文はUngezieferとなっており、これは鳥や小動物なども含む有害生物全般を意味する単語

YouTubeでたくさん語ってきました 特に城は徹底解説しています

多和田葉子グレゴール・ザムザがある朝のこと、複数の夢の氾濫の果てに目を醒ますと、寝台の中で自分がばけもののようなウンゲツィーファー(生け贄にできないほど汚れた動物或いは虫)に姿を変えてしまっていることに気がついた。”

“ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。”(カフカ『変身』高橋義孝訳・新潮文庫) “ある朝、グレーゴル・ザムザが不安な夢から醒めると、ベッドのなかで、ものすごい虫に変わっていた。”(カフカ『ドイツ3・中欧・東欧・イタリア「世界の文学」』城山良彦訳・集英社

実存主義 ●カミユ的不条理  ペストは集団 変身は個人というが  カフカはいつも個人 ペストもリウーとい  う個人に 個々人にふりかかっている ●ヤスパース的限界状況  虫に変身して他者へのコミュニケーション  手段がないというのは限界状況ではないか

それにしてはザムザは虫になったことで 自分の人生を嘆かない 家族のことだけだ なぜだ? 普通まず自分のことを絶望する まるでそれはないようだ 不条理感が増す

カミユ曰く  カフカの真骨頂は長編にあり 審判や城の方が迫力がある 長編は未完  変身は適度な長さの完成品でペストのような希望を暗示して終わるから読みやすい

虫になっている 無断欠勤 支配人 経済的困窮 3人の紳士 細かく写実的に描写する カフカはだいたいそう書く それが震撼とさせる リアリズムタッチでありえないことを書くからだ

審判はある朝起きたら逮捕された 変身はある朝起きたら虫になっていた バイロンはある朝起きたら有名になっていた

個人的に私はカフカを読むと 城も審判も変身も  ナチスによるホロコーストの予知夢を 描いたように感じる やがてユダヤ人は一家まるごとザムザのように虫扱いされるのだ ユダヤ人こそUngezieferウンゲツィーハー 生贄にもできない汚れた虫として・・・ という意が込められていたか?

 

審判も城もそしてこの変身も

ホロコーストの予知夢だったように感じるのである

 

 


純文学ランキング