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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「かぞくのくに」(2012年):映画によって情感を伴って知る、近くて遠い国の悲しみ

ヤン・ヨンヒ監督による自身の経験を元にした本作。

1950年代から80年代初め頃まで、在日朝鮮人を北朝鮮に帰国させる事業があったことは私も知っていた。当時は”夢の楽園”に帰ると信じて帰ったそうだ。

リエ(安藤サクラ)の兄、ソンホ(井浦新)も、朝鮮総連の幹部の父のメンツもあり16歳で北朝鮮に送り出された。以来25年、日本の家族と会えることはなかったが、脳に腫瘍があり北朝鮮では治療ができないと言う理由で3か月間の来日を許された。監視役のヤン(ヤン・イクチュン)付きで。
(個人的には好きな俳優のヤン・イクチュンの登場に、にんまりしてしまったけれど)

ソンホを演じる井浦新の、25年ぶりに見る日本の風景を、驚きとともに静かにぼんやりと眺める様が何とも心もとない。感情を抑えることを25年間強いられたためだろうか、表情を大きく変えることなく静かに家族とも友人とも喜びや悲しみを共有する。ヤンの存在が大きいこともあるが、帰国後、誰に会い、何を見て、何を話したかを報告しなくてはならない、というのもあるのだろう。残してきた自身の家族もいる。
感情を殺したソンホと対照的に、25年ぶりに兄に会ったリエは、喜び、怒り、悲しみを隠さない。兄の代わりに兄の10倍以上、はっきりと主張していた。

脳腫瘍の手術と経過観察に3か月は短すぎ、医者からは手術を断られてしまうソンホ。別の医者を探すも、3か月を待たずして突然、北朝鮮から帰国の命令が出る。

「あの国ではよくあることだ」淡々と受け入れるソンホの横で、理不尽過ぎて怒りで泣きじゃくるリエ。

国は、人が作っているものではないか。国といいながら、命令を発し、受け入れ、伝えているのは人ではないか。その人に感情はないのだろうか。監視役のヤンも、命令を受けた時「こんなに早くですか?」と聞いたが、あの国では上からの命令に質問は許されないらしい。

ソンホの母親(宮崎美子)が、北に帰る息子に用意したスーツとぴかぴかの靴。同時に、北に帰った息子をどうぞ穏便に扱うよう祈りを込めてヤンにもあつらえてあった。精一杯の母親の祈る思いが涙をそそる。

車に乗り込んだソンホの腕をどうしても放せないリエの姿に嗚咽してしまった。このシーン、ロングショットで撮っていて、台詞は聞こえず、ひたすらソンホの腕をつかみ続けるリエと、振りほどこうとするソンホ。しまいには、車のドアを開けたまま、腕をつかんだまま車が走り出して、リエが剥がれて車は去って行く。ソンホの諦観した様がつらく、リエの無念が視覚から心に刺さり涙が止まらなかった。
安藤サクラ、キネマ旬報主演女優賞に納得!

映画は、1990年代の話だったけれど、北朝鮮に住む多くの人が今も自由がなく、生き抜くことだけを考える生活を続けているのだろうか。そこに帰った戦争中日本に連れてこられた人たち、そして拉致された日本人たち。その人たちのことを考えずにはいられない。

 

井浦新の出演作品を観ていると、思いがけず秀作に出くわす。今度は「空気人形」を見なければと思った。これ、オダギリジョーも出演しているのよ。

かぞくのくに

かぞくのくに

  • 安藤サクラ
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