「仰げば尊し」「蛍の光」を卒業式で合唱しなくなって、もうどのくらい経つのだろうか。
本作では、編曲された「仰げば尊し」が劇伴としてシリアスなシーンによく流れていた。そのことといい作品テーマといい、日曜劇場が我ら中高年をターゲットに制作されているのだなあとぼんやり思った。
そう言えば、それまで御上(松坂桃李)と敵対関係にあると思っていた槙野(岡田将生)が最終回直前で黄門様のようにジャーンと登場した時には、なあるほど、なんて思ったし。
一人の若い女(堀田真由)が前途有望な若者の命を奪ったこと、奪うことになるまで追い詰められた彼女の個人的事情が、たどっていけば日本の教育制度、それを決定する政治、政治家の在り方に起因している=The personal is political. という問題を提起した本作。
それを解決する端緒とするため、関東圏に所在する名門私立進学校に乗り込んできた文科省官僚の御上。御上は教え子たちに語りかけ、彼らを見守り、同時に力を借りながら目的を達成していく。
それにしても、名門の進学校ということで、生徒たちが本当に優秀で真面目、今時こんな高校生たちがいるのかと、ちょっと面食らった。
正義感に溢れ、教師の不倫を自ら取材して暴いた神埼(奥平大兼)。
パソコンが何台も置かれた物置のような自室で、パソコンを駆使する次元(窪塚愛流)。
達観していて、すでに30歳くらいの風格がある富永(蒔田彩珠)などなど。
役でもできた”お子”たちだったけれど、演じる若手俳優たちもなかなか見応えがあった。次の次の朝ドラ「ばけばけ」のヒロインの、高石あかりも最終話で魅せてくれた。
松坂桃李や岡田将生などの手練れた俳優が抑えた演技で魅せていく一方で、若手のフレッシュだけれど厚みのある演技が光ったなあと思った。
しかし、、、不正の全てが白日の下に晒されても、また、登場人物それぞれが背負った罪や過去や影に対して、前を向く姿が映し出されたラストだとしても、視聴後のカタルシスは感じられなかった。
なぜって、本作が提起した日本の課題、日本人の課題について、ドラマの終わりと共に即刻聞き流したりできないから。”答えの出ない問題”に対して考え続けること。なんか重いわあ。答えの出ない問題をいくつも脇に置いて、時に忘れたふりして生きている私だからねえ・・・。
やっぱ日曜劇場だものねえ。(なんか変な感想ですみません)
※主題歌、ONE OK ROCKの「Puppets Can't Control You」も非常に作品に合っていてよかったし、それが入っている最新アルバム「DETOX」も必聴です。
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