『度胸試しというか、
自分への過信というか。
コンビニエンスストアのセルフレジを近頃、
わざわざ選んでいる。
レジ袋の「要・不要」に始まり、
支払い方法の選択、
ポイントを「使う・貯(た)める」など
決済までの道のりが存外遠い。
商品のバーコードが読み取れず、
背後に人の並ぶ気配がする。
重圧を乗り越え買い物を終えたときの達成感は、
レシートに印字されることのない挑戦の見返りだ。
「コンビニエンス(=便利)」
の新たな形に追い付くには利用者も鍛錬を怠れない。
全国どこに行っても同じ構えの店があり、
同じ商品が並んでいる。
それも24時間。
善悪はともかく、
「開いててよかった」
と人々を落ち着かせる街の灯であり続けてきたのは確かだろう。
コンビニ最大手のセブン―イレブンが
日本初の店舗を東京に開いてから今月で50年になる。
電子レンジでチン、
共料金の支払い、
ATMの設置。
できることが年々増え、
地域のインフラとして存在感を高めてきた。
日本フランチャイズチェーン協会によれば、
全国のコンビニは5万5千店余り、
昨年の利用者は延べ約162億人という。
人手不足の世相を映し、
こなれた日本語を使う外国人の店員も都心では目立つ。
店員を置かない無人店舗や顔認証による決済まで現れた。
そこは社会の縮図であり、
最新技術の実装の場にもなっている。
次代の「便利」を求めて、
進化と模索を続ける21世紀のコンビニである。
<孤独なる若者ひきよせコンビニは
誘蛾(ゆうが)灯のごと深夜を点(とも)す>朝井恭子。
仮に社会が老いようと、
人々が引き寄せられる図は変わるまい。
はやり廃りが習いの言葉の世界でも「コンビニ」は長生きだ。
詩歌からもコラムからも、
その灯が消えることはなかろう。』
これは、
2024年(令和6年)5月8日(水曜日)の
産経新聞『産経抄』の記事です。
「コンビニエンス(=便利)」の新たな形☆
これからが楽しみですね^^
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