あらすじ
本書は、これからのリーダーに必要な「頼る力」——すなわち「外注力」の重要性を解説した一冊だ。
著者は長年、経営コンサルティングに携わり、複数企業の取締役を歴任。
現在は中小企業の「社外番頭」として、組織の変革支援に取り組んでいる。
「頼れないリーダー」が抱える問題
• 仕事が多すぎて時間がない
• 相談できる相手がいない
• 本当にやりたいことに手が回らない
こうした悩みを抱えるリーダーは多いが、その原因のひとつが「自分でやらなければならない」という固定観念にある。
本書では、その解決策として「外注力」を鍛えることを提案する。
【外注力を発揮する5つのメリット】
①得意なことだけに集中できる
②苦手な課題をスムーズに進めることができる
③社員のモチベーションを向上させる
④ビジョンの実現に大きく近づけられる
⑤自社に合った業務改善が進められる
リーダーがすべてを抱え込むのではなく、適材適所にタスクを分配することで、組織全体の力を高めることができる。
その結果、1人で仕事をこなしていたときよりも、会社の成長スピードが加速するのだ。
さらに本書では、社内メンバーだけでなく コンサルタントや専門家など「外部の力」を活用することも勧めている。
経験や専門知識を持つ外部人材を仲間に加えることで、組織の弱みを補い、強みをさらに伸ばすことができる。
苦手な分野に時間と労力を費やすのは勿体無い。
得意なことに集中することで、より大きな成果を生み出せるのだ。
本書では「外注力」を活かして、クラフトビールの新規事業が売上1億円を突破した事例など、成功例も豊富に紹介されている。
仕事を抱えすぎて悩んでいる人、組織の成長を加速させたい人にとって、実践的なヒントが満載の一冊。ぜひ手に取ってみてほしい。
【こんな人におすすめ】
・経営者・個人事業主会社の成長を加速させたい
・マネージャー・リーダー
➡︎チームを効率よく動かしたい
・仕事を抱えがちな人負担を減らしながら成果を出したい
【本書の内容】
・頼る力「外注力」の必要性
・外注力を発揮するコツ
・「頼る人」が使う6つのテクニック
・「頼る」リーダーが身につけたい8つの習慣

私はこれまで、「リーダーが、主導権を握って管理する必要がある」と考えていた。
しかし、それがかえって組織の成長を妨げることもあるのだと気づかされた。
リーダーがすべてを抱え込むと、本当に注力すべきことに時間を使えなくなり、結果的に業績が伸び悩む。
その解決策として、本書では「外注力」が必要だと述べられている。
特に印象的だったのは、「外注力とは、自分の強みに集中し、それ以外を外部に任せながら目的を達成する技術」だという考え方だ。
たとえば、トヨタやホンダのような大企業も、すべての部品を自社で作るのではなく、信頼できるパートナー企業と協力しながら高品質な車を生産している。
これと同じように、リーダーも自分の得意分野に集中し、他の部分は専門家に任せることで、組織全体の成果を高めることができるのだ。
しかし、現実的な問題として「誰に任せるか」が重要になる。
外部人材なら誰でもいいわけではなく、自社の事業やビジョンに合った人材を見極めることが不可欠だ。
そのため、外注力の一環として 「信頼に値する人材かどうかを見抜く力」 がリーダーには求められる。
単に専門知識があるだけでなく、価値観や目的を共有できるパートナーを選ぶことが、成果を最大化するカギとなるのだ。
次に読む本
『リーダーの言語化――「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』 木暮太一(著)
本書は、ビジネスにおけるリーダーの役割を見直し、「言語化」によってチームの生産力を向上させる方法を紹介している。
リーダーが適切に言語化を行うことで、メンバーは効率的に動き、組織全体の力を高めることができる。
【言語化の2つの目的】
①考えを明確化するゴール(理想)を達成するための方針を立てる。
② メンバーへの依頼・指示を明確化する実際のアクションを効率よく行う。
仕事を任せられるサイクルをつくる。
このように、リーダーが舵取りをしっかり行うことで、チーム全体がスムーズに動き出し、目標達成へと向かうシステムが確立される。
【ビジネスで言語化が必要な3要素】
①ビジョン目標の明確化
②アクション業務の明確化
③コミュニケーションチームの協力と連携
本書は、リーダーがどのように言語化を行い、チームを動かしていくべきかを体系的に解説している。
明確な指示とビジョンを示すことで、組織の力を最大化し、目標達成につなげるための実践的なノウハウが詰まった一冊だ。
【この本がおすすめな人】
・リーダーとしての役割に悩んでいる人
・部下への指示がうまく伝わらないと感じる人
・チームの生産性を向上させたい人
【本書の内容】
・言語化の必要性
・何を言語化するのか
・言語化の目的

上司から曖昧な指示を受け、どう動けばいいのか分からずに時間と労力を無駄にしてしまった経験はないだろうか。
例えば、
「いい感じに」
「取引先が好むように」
「笑顔になるように」など。
このような、抽象的な言葉だけでは、部下は具体的な行動をとることができない。
本書は、こうしたコミュニケーションの曖昧さが、社内のハラスメントや長時間労働といった問題を引き起こす要因の一つであると指摘している。
言葉はデジタルなものであり、その意味やニュアンスは受け取る側の解釈に左右される。
リーダーが意図していることが、必ずしもそのまま正しく伝わるとは限らない。
だからこそ、リーダーは自らの考えを明確にし、それを適切な言葉で伝える「言語化力」を磨く必要がある。
本書を読んで、言語化とは単に情報を伝達することだけではなく、思考の整理であり、組織の生産性を高める鍵であると改めて気づかされた。
特に共感したのは、「アクションはリーダーが言語化するべきであり、メンバーは効率よく業務をこなすことに集中すべきだ」という考えだ。
リーダーが曖昧なビジョンのまま指示を出し、メンバーがその意図を推測しながら試行錯誤する——この構造こそが、無駄な労力と時間を生む原因になっている。
目的が不明確な状態でメンバーが動けば、判断のズレが生じ、結果として非効率な業務運営につながる。
リーダーがどれだけ適切に言語化できるかが、組織の生産性を左右すると言っても過言ではない。
本書を通じて、私自身も「言語化」の重要性を改めて認識し、日々のコミュニケーションを見直していきたいと感じた。
おススメポイント

これからの時代、企業が成長し続けるには、個々の力の総和である「組織の力」を高めることが不可欠だ。
かつてはリーダー自身の業績達成率が重視されていたが、今ではリーダーがいかに組織全体の力を引き出せるか——「調整力」が問われるようになっている。
そのために求められるのが、「外注力」と「言語化」のスキルだ。
【外注力:頼ることで生産性を最大化する】
リーダーがすべてを抱え込むのではなく、適切に業務を委託・分担することで、組織全体の生産性を向上させることができる。
【言語化:組織の力を引き出す要】
外注力を発揮するためには、リーダーのビジョンを明確にし、それを組織内外に適切に伝える力が必要。
言語化の精度が高まれば、指示の伝達ロスが減り、個人が自律的に動けるようになる。
【頼る力 × 言語化=組織の力の最大化】
リーダーが「外注力」を発揮するには、まず自らのビジョンを明確にし、それを「言語化」してチームと共有することが重要だ。
そうすることで、各メンバーが自分の役割を理解し、適切なアクションを取ることができる。結果として、個人に頼ることが組織全体の成果につながり、会社の生産力向上が実現する。
リーダーに求められるのは、すべてを自分で抱え込む力ではなく、「頼る力」と「言語化力」を駆使して、組織全体の力を最大化することなのだ。
コメントを残す