ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『VRおじさんの初恋』#12~#18

2024-05-11 20:55:40 | TVドラマ全般

「僕が愛したホナミは…」

「穂波だった。」



ネットオタクの直樹(野間口 徹)なら充分に予想できた筈のオチなのに、恋は盲目。そりゃもう仕方がない。

大きな屋敷に独りで暮らす穂波(坂東彌十郎)は、驚きつつも嬉しそうに直樹を迎え入れます。



けど、直樹は自分のことを棚に上げて、VR世界のホナミ(井桁弘恵)と現実世界の穂波とのギャップに戸惑いまくり、あんなに昂ってた気持ちがみるみる萎んじゃう。

それより何より、心のオアシスだった筈のVRゲーム「トワイライト」の世界を、自らの愚行により現実とゴッチャにしてしまったことを激しく後悔し、穂波はおろかホナミと会うことすら気が重くなっちゃう。

そのくせ、穂波のアクセスが途絶えると気になって仕方がない。VR世界でホナミがナオキ(倉沢杏菜)に別れを告げたのは、穂波が間もなく手術を受ける(それほどの病気を抱えてる)からなのでした。



普段にも増してボーっとしてる直樹に、お節介焼きの同僚=佐々木さん(堀内敬子)が「あまり思い詰めない方がいいですよ」と声をかけてくれます。

「分かってるんです。考えないようにしてるんです。でも、考えちゃう。考えないようにすればするほど考えちゃう。これ、どうすればいいんですか?」

すると佐々木さんは即答します。


「行動することです。案ずるより、産むが易しです」

佐々木さんは「直樹さんにカノジョが出来た」と勝手に思い込んでアドバイスしたんだけど、そのお陰で吹っ切れた直樹は穂波に<体調はどう?>とLINEメッセージを送るのでした。

<明日、手術になりました。怖いです>というレスに、直樹は<大丈夫、俺がついてる>と返す。



この辺りで我々視聴者は、本作が単にVR世界を舞台にしたメロドラマなんかじゃなく、そんな幻想が無惨に打ち砕かれた後のストーリーこそが、むしろ本題であることに気づかされる。

初恋相手=ホナミの正体が色んな問題を抱えた老人であることは、これまでの人生で直樹がずっと避け続けてきた「厳しい現実」の象徴であり、問題は彼がそれをどう受け止め、どう乗り越えて、どんな変化を遂げるのか。

先のLINEにおける力強いメッセージに、その兆しがすでに表れてますよね。

で、どうやら手術は無事に終わったようで、二人は「トワイライト」で再会する。

「私、感激です。誘ってくれて嬉しいです!」



けど、以前とは気分が明らかに違う。お互い相手がオジサンであることを知っちゃったし、特に直樹にとって「トワイライト」は煩わしい現実からの逃げ場だったんだから。

「現実でも会いたがる穂波の気持ちが解らない。正直、面倒だ……」



さもありなん。私だってそんな心境になるだろうと思います。けれど直樹は、穂波の病が想像以上に重いことを、まだ知りません。

穂波は、自分の人生が終焉を迎えつつある事実を、誰にも明かしてない。どうやら独りで静かに死のうと考えてる。

私はその気持ちも解るし、なのに残された時間を気の合う友と一緒に過ごしたいっていう、人間ならではの矛盾も何となく理解できます。



「また、家にも遊びに来てもらえますか?」

「……オレは、正直、こっち(VR世界)で会えればいいと思ってる」

「…………」


「オレは、こっちの世界が好きで、ずっと過ごして来た。こっちの世界があるから生きて来れた。それは、この世界を信じて来たからだ。現実と混ぜるのは……この世界を裏切ることになると思う」


「……もし、直接会わないなら、もうこの世界には来ないと言ったら、どうしますか?」

「……解って欲しいんだけど、オレは、穂波が男性で、自分より歳上で、だから会いたくないって言ってるワケじゃない。この世界は、現実と切り離してこそ成り立つんだ」

「…………解りました。直樹の気持ち、受け止めました。そうしましょう」

「ごめん」


「謝らないで下さい。ごめんって言うなら、有難うでお願いします」


「そうだね。有難う」

二人は決別したワケじゃありません。現実世界では会わないと決めただけで、VR世界でのデートはこれまで通り。だけどやっぱり気持ちが伴わない。

「前までは待ち遠しくて仕方がなかったのに、今は……よく分からない」

分からないんだけど、ホナミのことも穂波のことも頭から離れない。さんざん葛藤した末に、直樹が出した結論は……


「……オレ、勝手すぎるな」

現実世界でも穂波とつき合って行く覚悟を決めた直樹は、再び彼の屋敷を訪れるんだけど、ここで物語も再び大きく動き始めます。



まず、穂波の一人娘でIT企業の経営者=飛鳥(田中麗奈)が登場し、彼女の指令により穂波の様子を伺いに来た息子(すなわち穂波の孫)の葵(柊木陽太)が、祖父と謎のVRオジサンとの仲睦まじい姿を目撃してしまう!



けれどかしこい葵は、飛鳥に報告する前に2人の関係を確かめるべく、こっそり穂波のVRマシン(もとは葵が使っていた)で「トワイライト」にログインし、2人の待ち合わせ場所である「生命の森」を探します。



葵のアバターである「アオイ」もやはり美少女(井上音生)。アバターを異性に設定するのはVRプレイヤー“あるある”なんだそうで、もし私がVRをやるとしてもやっぱり女の子を選ぶと思います。理由は、変態だからです。



それはともかく、アオイは目撃してしまう。自分の祖父が謎のVRおじさんに甘えまくった挙げ句……



チュバチュッチュしちゃう姿を!


「とんでもないものを見てしまった……!」

(つづく)


子役の柊木陽太くんがとてもイイ! キュートさが売りだったり泣く演技が得意だったりする「あざとさ」が無くて、芝居がすごくナチュラル。主演映画『怪物』で日本アカデミー賞 新人賞を獲られたのも納得の素晴らしさです。

そしてアオイ役の井上音生さんも第8回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞と集英社賞(りぼん賞)を受賞して芸能界入りし、舞台ミュージカル『魔女の宅急便』の主演などで知られる実力派。

倉沢杏菜さん、井桁弘恵さんと共に本作でブレイクされること間違いなし! 野間口徹さんはいわゆる“アゲチン”なのかも?


3人の中で一番ファッションモデル顔の井上音生さんが、一番背が低いのが意外。157cmなんだそうです。






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『VRおじさんの初恋』#01~#11

2024-05-05 21:40:13 | TVドラマ全般

2024年の春シーズン……つまり今、密かにというか、思いがけず私がハマってる連続ドラマが、NHK総合テレビの深夜15分枠「夜ドラ」(月曜〜木曜) で絶賛放映中の『VRおじさんの初恋』。まさか、野間口徹さんの主演作にハマってしまうとは!(いや、好きな俳優さんのお一人ではあるけれど)

「夜ドラ」は『作りたい女と食べたい女』や『ミワさんなりすます』あたりも面白かったけど、予約録画までして欠かさず観てるのは、以前レビューした『事件は、その周りで起きている』と『超人間要塞 ヒロシ戦記』以来のこと。

原作は“暴力とも子”という素晴らしいペンネームの作家さんによるウェブコミックで、2018年から’19年にかけて漫画アプリ「マンガコネクト」で連載された作品。

主人公は小さなタイヤメーカー会社に勤める冴えない営業マン=遠藤直樹(野間口 徹)だけど、ストーリーの半分以上は彼が夜な夜な没頭するVR (仮想現実) ゲーム「トワイライト」で展開されますから、むさ苦しくありません。

なにせVR世界における直樹のアバター「ナオキ」は、セーラー服姿の美少女(倉沢杏菜)なんです。

「どこにいても居心地が悪い。誰といても落ち着かない」



第1話冒頭における彼女(彼)のモノローグ、その一言だけで私は心を鷲掴みされちゃいました。簡単なもんですw

いや、簡単なようで実は簡単じゃない。私がその一瞬で感情移入できたのは、現実世界の直樹を演じるのが野間口徹さんであればこそ。これが民放のドラマだと松下洸平とか神尾楓珠になっちゃう。嘘つけ!って話です。

そりゃあ美男美女にだって美男美女なりの悩みがあるのは解るけど、そうじゃない人間とは生きていく難易度がスタートの時点から違ってる。野間口さんでないと「あっ、そこにオレがいる!」とは思えないワケです。



直樹のアバター、つまり実質的な主演者となる「ナオキ」役に、まだ多部未華子さんや今田美桜さんほど顔も名前も知られてない(現時点ではウィキペディアに単独の記載もない)倉沢杏菜さんみたいにフレッシュな女優さんを抜擢するのも、たぶん現在の民放局じゃムリでしょう。

ナオキだけじゃありません。彼女(彼)をVR世界で見つけ、一目惚れし、猛アプローチをかけてくる天真爛漫な美少女「ホナミ」を演じる井桁弘恵さんもまた、すでに『仮面ライダーゼロワン』の女性ライダー役など多くの作品で活躍されてはいるけど、私は今まで認識できてませんでした。



『CRISIS』や『警視庁・捜査一課長』など刑事物にもゲスト出演されてるから何となく見覚えはあったけど、その愛らしさを余すことなく発揮した本作で間違いなくブレイクされる事でしょう。



で、当然、VRおじさんにも恋心が芽生えちゃう。


「なんだ、これ?」

そんな直樹の姿を見た時点で私は号泣です。タイトル通り、彼はこれまで恋をしたことがない。他者との深い関わりをずっと避けて来たから当然です。

私自身、もし多くの他者と関わらざるを得ない“自主映画”という趣味を持たなかったら、恋愛でしか味わえないあの至福感も喪失感も知らないまま、たぶん直樹よりずっと若い年齢でこの世を去ってたはず。

だから、恋をしないまま歳を重ねちゃった直樹の絶望も、そしてオジサンになってから(バーチャルとはいえ)自分を「大好き」と言ってくれる人に出逢って“救われた”気持ちも痛いほどよく解る。



ところで、現実世界の直樹が勤める職場ですが、人数が少ないお陰もあるだろうけど、VR世界に逃げ込みたくなるほど居心地悪い場所には見えないんですよね。



隣の席にいる佐々木さん(堀内敬子)はお喋りでお節介焼きだけど、他者のパーソナルエリアに土足で踏み込むようなアホじゃない。



向かいの席にいる若手の加藤さん(瀬戸芭月)は逆に無口で他者を寄せつけないオーラを放ってるけど、それはむしろ直樹にとっては有難いはず。



上からの命令で仕方なく、直樹に希望退職を勧めてくる歳下上司の澤田さん(細田善彦)も根は優しい人っぽいし。

で、なぜかみんな直樹のことを名字じゃなく「直樹さん」って呼ぶ。VR世界でもホナミが彼を「ナオキさん」って呼ぶから、もしかしてこの中にホナミの実体が?って我々に思わせる為のミスリードかも知れないし、あるいは視聴者の「家にいてまで不愉快な人間関係を見たくない」っていう昨今のニーズに応えてるだけかも知れないけど。

ともあれ、人間関係がニガテな人は周りの環境がどうあれやっぱニガテだし、それはVR世界でも同じだったりする。

そんなナオキにホナミが惹かれたのも、決して外見が可愛いからじゃない。お互い誰かのアバターだと分かってるんだから当然です。

古臭い表現かも知れないけど“フィーリングが合った”、あるいは“ビビッと来た”んでしょう。ホナミの実体も孤独な人であることが後に判ります。



会う約束をしてない日も、気がつけばいつもの喫茶店に来てしまうナオキ。


「来ないことを思いだすと、急に独りになったような気がしてくる。もとから独りだってことを忘れそうになる……こんな自分、初めてだ」



VR世界の描写が素晴らしくキラキラしてて、現実世界とのギャップがまた凄まじいw 当然CGも多用してるでしょうが、それよりロケやセット撮影の方が多そうに見えます。

で、ナオキがホナミと過ごす時間が輝けば輝くほど、私は泣けてくる。それは必ずいつか終わるし、そもそも現実じゃないんだから。

案の定、ナオキが生まれて初めて愛を告白しようとした時、ホナミが「もう会えない」と言いだすのでした。

「来週、手術します」

どうやらホナミの実体は病気を患ってるらしい。でも、だからって……



「オレは……オレは……ホナミのことが……好きなんだ……生きて来て、初めて好きになった人なんだ……初恋なんだ! バカバカしいことは分かってる……この世界が架空なことも分かってる……それでも……オレは……ホナミのことが……好きで好きでどうしょうもないんだ!」



「……嬉しいです。せめて、私とナオキが過ごした日々が、ナオキのこれからの人生の糧になればと……願っています」



失恋…… 胸にぽっかり穴が空いたようなあの喪失感は、きっと子孫繁栄のために組み込まれたDNAなんでしょうけど、すぐには立ち直れない点が他の生物とは違う“人間らしさ”なのかも知れません。



ましてや40代半ばまで恋をしたことがない、つまり免疫を持たない人があのツラさに耐えられよう筈がない!

そこで直樹は、VRプレイヤーが絶対やっちゃいけないタブーを犯しちゃう。不正アクセスによりホナミの住所を探り出し、直接会いに行ってしまう。

さて、そこで見たホナミの実体は……!?



70歳前後の男性だった!

(つづく)


現時点(5月5日)で第20話まで放映されており、明日には第21話が放映されるから一気に20話分レビューしたかったけど、タイムオーバーです。

ここ(第11話)までのストーリーさえ知っておけば途中参加でも充分に楽しめると思うので、皆さんにもオススメしておきます。

ポートレートは野間口徹さんではなく、ナオキ役の倉沢杏菜さんとホナミ役の井桁弘恵さんです。

コメント (8)
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『怨霊女子学園』

2024-04-27 16:33:07 | TVドラマ全般

1981年に放映された東映&よみうりテレビ制作による単発2時間ドラマで、先日レビューした『夜の恐怖病棟』と同じ「木曜ゴールデンドラマ」の1本。この番組、基本はミステリーでも題材がバラエティー豊かで本当に素晴らしい!



「聖和女子学園」という女子高には2つの奇怪な噂が広まっており、まず1つは園長室に飾られた絵画=幼い双子の姉妹が夜な夜な絵から抜け出し、園内を遊歩するという『トイレの花子さん』的なお話。

そしてもう1つは、美しすぎる美術教師で生徒たちの憧れの的である水村涼子(真行寺君枝)が、実は2人いるんじゃないか?という「ドッペルゲンガー」系のお話。

そんなアホなと思ってたらある日、涼子先生に憧れてる生徒の1人である真弓(水島かおり)が、実際に2人の涼子を同時に見てしまう!



それと時を同じくして用務員の大沢(灰地 順)が変死体となって発見され、生徒の間で「双子のユーレイに殺されたのよ!」「いいえ、犯人はもう1人の涼子先生よ!」「そうよ、生霊よ!」なんて噂が飛び交うのでした。

死んだ大沢は数ヶ月前、美術室の掃除中にキャンバスを倒してしまい、涼子がせっかく描き上げたばかりの絵を台無しにするチョンボを犯していた。

画家志望の涼子にとって作品は我が子みたいなもの。つまり大沢を恨む気持ちがあったのは事実で、その念が生霊となって彼を……?

憧れの的だったはずの涼子が一転、好奇と疑惑の的となって孤立しちゃいます。



そんな涼子に寄り添い、「多感な年頃にありがちな冗談よ」と励ます英語教師の浅倉(五十嵐めぐみ)は、彼女の親友でもあります。



それとは対照的に、涼子の美しさと人気ぶりを以前から妬んでた音楽教師の飛鳥(永島暎子)は「あなたの生霊を見た生徒がいますのよ」と面白半分に彼女を追い詰め、いわゆる「死亡フラグ」を立てまくります。



案の定、飛鳥先生は数日後に学園の屋上から転落死。そればかりか、彼女が涼子らしき女に突き落とされる現場を、浅倉先生が目撃してしまう!



その直前、まったく別の場所にいる涼子と電話で会話したばかりの浅倉先生は、ショックのあまりブラジャーが透けちゃうのでした。

つまり、本当にもう1人の涼子が存在し、連続殺人を犯している!?



これは果たしてオカルトなのかミステリーなのか、よく判んなくなって来たところで登場し、ロス市警のコロンボ警部そっくりな声で辻褄を合わせ、無理やりミステリーに着地させようとするベテラン刑事=本城に、小池朝雄。



そして登場した瞬間から真犯人臭をプンプンさせてる園長の中川先生に、小山明子。



当時「ミステリアスな美女と言えばこの人!」って存在だった真行寺君枝さんをフィーチャーするために組まれたであろうストーリーを、味わい深い実力派キャストたちが支えており、ツッコミどころは満載ながら私はとても楽しめました。

ところが非常に残念なことに、おっぱいが出てきません。今回はおっぱいが出てこないんです。なぜおっぱいが出てこないんでしょうか?

絶対に欠かしちゃいけないシャワーシーンは一応あるけど、肝心のおっぱいが出てこない。おっぱいが出てこないんです。



けど、許します。変態も私ほどのベテランになると、ヌードは無くても女子高生の制服姿、ブルマー姿だけで充分報われる。



学生時代には日常風景だったものが、今となってはパラダイス。別にそれをどうこうしたいワケじゃなく、ただ眺めてるだけで満足。もちろんシャワールームがあるなら覗くに越したこと無いけど、おっぱいが見えないんじゃ仕方ありません。

そしてもう1つ、おっぱいは出なくても充分にエロかったのが、涼子先生を自宅に泊めた浅倉先生が夜這いをかける官能シーン。



というのはウソで、悪夢にうなされた涼子さんを浅倉さんが心配してるシーンだけど、この時に真行寺君枝さんが「あ〜っ、ん〜っ、やめてえ〜っ! いやあ〜っ!!」って悶える芝居がやたら長い。

これもまた、おっぱいの代替サービスとして活用すべく監督さんが「カット」をかけ忘れたフリをして、わざと真行寺さんの演技を止めなかった賜物でしょう。ご丁寧に別アングルから撮ったショットも後の回想シーンで使われてますから。(これもまたムダに長い)

そういう下世話な部分も含めて、昭和時代のテレビ番組はやっぱり面白い。クレームなんかどこ吹く風っていう心意気に溢れてる。創り手たちがすっかり萎縮しちゃった2020年代だからこそ余計に輝いて見える。当時はバカにしながら観てた筈なのに!



ところで結末ですが、浅倉先生の献身と本城刑事の執念により明かされた、真犯人の正体は……(以下、ネタバレ)


もちろん涼子先生の生霊なんかではなく……


実は親友の浅倉先生だった!みたいなヒネリもなくて、


やっぱり園長先生なのでした。かつて学生時代に親友だった涼子の母親に好きな男を奪われた恨みと、その失恋を引きずるあまり結婚を諦め、人生の全てを注いできた聖和女子学園を、たまたま赴任してきた恋敵の娘が「画家になる為の足掛け」程度にしか考えてない(ように見える)のが許せず、殺しの罪を着せて破滅に追い込みたかったというムチャな動機。

つまり涼子の“生霊”の正体は園長先生のコスプレだった! 普通そこまでやるか?って思うけど、普通じゃないことをやるのが“狂人”なんだと納得出来なくもない。

毎回、涼子が着てきたのと同じ服をその日の内に調達するのも至難の技だろうに、園長先生にとってはその苦労こそが生き甲斐だったかも知れない。

私だって自分自身がイヤになるばかりの毎日だけど、こういうアホなレビュー記事を手間暇かけてアップする“普通じゃない”ことがメンタルケアになってる気がするし。

無難に無難に創られた昨今のドラマや映画を取り上げても、アホな記事には仕立てようがない。それ以前に観ても面白くない。

まあ、どんでん返しをしつこく繰り返す昨今のドラマに辟易してるからこそ、第一印象のまんま園長先生が犯人だったりする本作を面白く感じちゃう側面もあるんでしょう。



園長先生が警察に連行される姿を見届け、なんとも言えない虚しさを感じながら帰路につく涼子先生と浅倉先生を、校舎の窓から無表情で見下ろすもう1人の涼子さん!



……ってな締めくくりはサスペンス・ホラーのお約束で、あれはやっぱり涼子の生霊なのか、あるいは非業の死を遂げたらしい涼子の母の幽霊なのか?(“幼い双子姉妹”のユーレイはどこへ消えた?)


セクシーショットは真弓役の水島かおりさん、飛鳥先生役の永島暎子さん、浅倉先生役の五十嵐めぐみさん、そして涼子先生役の真行寺君枝さん。’81年当時のサスペンスドラマや学園ドラマの“顔”を勢揃いさせたようなキャスティングです。

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『警視庁・捜査一課長スペシャル』2024.4.18

2024-04-20 22:22:19 | 刑事ドラマ2000年~

近年の警察ドラマとしては私が「まったくの例外」と言うほかないハマり方をした、あの『警視庁・捜査一課長』シリーズが(もう終わったと思ってたのに)シレッと単発2時間スペシャルで復活してくれました。

なぜそんなに好きかと言えば、ミステリーだのリアリティーだのはどうでもよく、とにかくコメディーとしてハイセンスだから(と私は思ってるから)。やってること自体はベタかも知れないけど、そこに説明的なツッコミがいっさい入らない。

昨今の主流である舞台演劇的な、あるいはネタ番組的な(要するに子供でも解る)コメディードラマとは根本的に違う。

例えば、大岩捜査一課長(内藤剛志)が難事件の解決に向けてクビを覚悟し、これまでの支援に対する謝意を笹川刑事部長(本田博太郎)に伝えるシリアスな場面。



ほかの番組なら「近いやろ!」ってツッコミを入れる第三者を脇に置くだろうし、もはや古すぎる喩えだけど『踊る大捜査線』ならそこでピタッとBGMを止めて「はい、ここ!」と笑いを強制してくるはず。

対して『警視庁・捜査一課長』はあくまで大真面目にやり通す。実は大岩さんがクビを覚悟するのは毎回のお約束で、もはやそれ自体が天丼ギャグなんだけど「はい、ここ!」っていうサインはいっさい出さない。

バラエティー番組で笑い声(効果音)を後付けしたり裏方スタッフが無理して笑ったり、あるいはテロップで笑いどころを強調したりするのはまぁ、嫌いだけどさすがに慣れました。

しかしそんな手法がテレビドラマや劇場映画にまで浸透し、今や主流になってるのは「ながら見」と「早送り鑑賞」に対応してきた結果なんでしょう。

なのに『警視庁・捜査一課長』だけはその波に乗る気配が全然なく、シュールとも言える笑いは「ながら見」や「早送り鑑賞」が習慣化してる多くの視聴者に見過ごされちゃう。

なにせこの番組のキャストたちは、いっさいコメディー風の演技をしない。笹川刑事部長だけは一時期バカげたコスプレを繰り返してたけど、ご当人も、それを見せられる部下たちもいたって大真面目。

で、そのコスプレにせよ、ゲストキャラの変人ぶりにせよ、1つ1つの小ネタにせよ、ナンセンスに見えて実はストーリー上の意味がちゃんとある。ドラマとしての骨子がしっかり組まれてるからこそ笑いも活きてくる。

とはいえ、好みは(特に笑いに関しては)十人十色。若い頃の私なら「なぜこの面白さを語り合えない!?」ってしつこく力説するだろうけど、もうこれくらいにしときます。


キャストはお馴染みのメンバー(内藤剛志、斉藤由貴、金田明夫、塙 宣之、陽月 華etc)に加えて……



昭和ファッションに身を包んだ昭和カフェの店長で、事件の最有力容疑者となるメインゲストに、朝倉あき。



朝倉さんは2012年に『土曜ワイド劇場』枠で放映された本シリーズ第1作にも事件の鍵を握る少女役で出演されており、約12年ぶりの凱旋出演。

今回、画質が従来のストレートなビデオ調からフィルム調に変更されており、同じテレ朝&東映の老舗仲間である『科捜研の女』シリーズに続いて“仕切り直し”を図った感があり、朝倉さんの再登場もきっと偶然じゃないんでしょう。

そしてフードプロデュース会社社長(橋本さとし)の秘書役で登場したゲストがなんと、インフルエンサーでファッションモデルでタレントの、なえなの。



『セクシー田中さん』にもベリーダンス教室の生徒役でレギュラー出演されてたけど、社長秘書役とは驚きました。

そんな意表を突いたキャスティングも本作の特徴で、ほかにも椿鬼奴、咲妃みゆ、三河悠冴、杉田かおるetcと、個性豊かなゲストの顔ぶれもまた毎回の楽しみです。



セクシーショットはもちろん椿鬼奴さんではなく、朝倉あきさんと、なえなのさん。鬼奴さんもお綺麗なんだけど、このブログの方向性として。

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『イップス』2024

2024-04-14 16:16:27 | 刑事ドラマ HISTORY

2024年春シーズン、フジテレビ系列の金曜夜9時「金曜9時枠の連続ドラマ」枠でスタートした、コメディ仕立てのミステリードラマ。

過度のプレッシャーにより、それまで出来てたことが出来なくなっちゃう「イップス」を抱え、新作を書けなくなってる人気ミステリー作家=黒羽ミコ(篠原涼子)と、同じくイップスにより犯人を逮捕できなくなった警視庁捜査一課の敏腕刑事=森野徹(バカリズム)が殺人事件の現場で運命的に出逢い、コンビを組んで事件の謎を解いて行くというストーリー。



いかにも“バカリズムっぽい”企画だけどシナリオは別の作家さんたちが書かれてます。そのせいか初っ端から「凡庸な出来」と言わざるを得ず、今回も画面撮りをサボってネットから画像を拝借してます。

誰が犯人かを先に明かしてから主人公を登場させる“倒叙法”を使ってるだけに余計、我々は『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』といったテレビドラマ史に残る傑作と比較しちゃう。

もっとも、今のテレビ局は若い視聴者しか相手にしてないから、我々(昭和世代)がどう感じようが関係無いんでしょう。それはそれで良いと思います。

ただ、もうちょい上手くやってくれないと倒叙法の面白さが若い人らに伝わらない! 単に篠原涼子vsバカリズムの掛け合いで笑わせる「ちょっと凝ったコント」としか、少なくとも私には感じられませんでした。

大袈裟すぎる演技は昨今のコメディ系ドラマ全てがそうだから諦めてるけど、それにしたって篠原さんの空回りぶりはちょっと痛々しい。こういうのは本当に上手な人にやらせないとダメですよ!



そもそも、篠原さん&バカリズムさんという組み合わせが根本的に間違ってないか?と私は思いました。書けないミステリー作家=篠原涼子と、逮捕できない刑事=バカリズムって、失礼ながら見た目のイメージそのままですよね。いかにもデキそうに見える人がデキないっていうギャップが無いと意味が無いのでは?

最終的にそれぞれ立ち直り、イメージと真逆のキャラクターになるにせよ、そこで初めてギャップが生まれても遅すぎる。もっと予想の斜め上をいくオチが用意されてるかも知れないけど、まずはそこまで我々を引っ張ってくれないと!

例えば黒木華さん&竹野内豊さんぐらいの演技力、そして振り幅の大きさもしっかり併せ持ったコンビでないと、少なくとも私は続けて観る気になれません。



染谷将太、渡辺大知、勝村政信、角田晃広、矢本悠馬、味方良介etc…と役者は揃ってるけど「揃えただけ」みたいになってるし。

それだけコメディってジャンルは難しい。倒叙ミステリーと笑いを高レベルで両立させた三谷幸喜さんが、いかに凄い作家さんかって結論ですよね。



セクシーショットは初回のスペシャルゲスト、すなわち犯人役第1号のトリンドル玲奈さん。最近になってセクシーグラビアを解禁され、載せる機会をずっと待ってました。

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