鉄道改善案

鉄道改善提案、延伸、新線構想、理想ダイヤ、理想配線図、車両デザイン批評、鉄道と地域、都道府県・市町村改編、交通改善総合

リニア中央新幹線は普通新幹線に変更して京都を通るべき ー川勝知事の妨害行為に隠された真の思惑とはー

2024年04月06日 | 鉄道一般

静岡県の川勝知事が突然の辞任を表明した。理由としては①県庁新入職員の訓示での失言、②リニア工事の延期が確定したこと、を挙げているが、本音としては②であろう。(①の失言は決して許されることではないが、本稿では触れない。)

川勝知事は2017年からリニア反対派に転じた。大井川の水問題を理由にリニア工事に反対し、その解決策が示されると、今度は生態系への影響などを理由に、一貫して妨害し続けてきた。要するに、最初から、何らかの理由をつけて、リニア建設を妨害するつもりだったのであろう。そもそも静岡県知事になったのも、リニアを妨害するためだったと言っても過言ではないと思われる。

これについて、かねてから囁かれているのが、川勝知事の中国への売国行為である。リニア開業を遅らせ、日本ではなく中国がリニア高速鉄道の開業第一号になれば、リニア技術は中国が世界を牽引することになる。輸出も中国からがメインになるだろう。「大の親中派の川勝知事が、日本のリニア開業を送らせ、中国に利するようにしようとしている」という論だ。

確かに、あり得る話だ。しかし、筆者は、川勝知事の妨害行為の真の目的は、より深い所にあったと考える。それは、「リニアを普通鉄道に変更させること」と「ルートを京都経由に変更させること」である。

そもそもリニアは日本の鉄道網において全く互換性がないシステムである。品川~新大阪を開業させたところで、それより西には乗り入れられない。岡山や広島に行きたい場合、新大阪で乗換えなければならない。高速サービスは遠距離利用者にこそ提供されるべきなのに、より遠方の山陽新幹線利用者には「乗り換え」という、非常に負担のかかるサービスを押しつけることになる。これでは所要時間の短縮効果も相殺されてしまう。

そして、もう一つの重大な問題として、今後開業が予想される四国新幹線や山陰新幹線に全く乗り入れられないということだ。四国新幹線や山陰新幹線ができれば、東京からの直通列車が増え、東海道新幹線は確実にパンクする。その際に、普通鉄道の中央新幹線を経由して、山陰、四国などへの新幹線を走らせれば、乗り換え無しで四国や山陰に速達サービスを提供することができる。

そもそも普通新幹線とて最高時速400kmで走らせることは不可能ではないのだから、リニアの時速500kmとは大差は無い。それより乗換えが不要になるメリットの方が大きいのである。普通新幹線にすれば全国ありとあらゆる新幹線に直通可能で、巨大な新幹線ネットワークに組み込むことができる。互換性のないリニアシステムではそれは不可能だ。リニアを導入したところで、無用の長物となることは明らかである。

このように交通網として互換性がなく無用の長物と化すことが目に見えているリニアを、国が推進する最大の理由は、輸出目的である。リニア鉄道技術を日本が世界に売り出すことを狙っているのだろう。そのために中央新幹線をリニアで早く開業させたいのであろうが、上述のように、本来中央新幹線はリニアにすべきではないのだ。いわば、国の輸出政策のために日本国内の新幹線網の利便性が犠牲になっているのである。

頭脳明晰な川勝知事はこのような本質的問題を理解していたのではないか。まずはリニア開業を遅らせ、中国に先を越させようとしたのではないか。そうすれば国はリニア技術の輸出を「中国には勝てない」と諦めることになる。そして、もはや中央新幹線は、リニアで建設する必要がなくなり、純粋に国内の利便性のために、普通新幹線での建設に変更になろう。川勝知事はそこまで狙っていたのではないだろうか。そのために、わかりやすい理由(大井川の水問題、生態系問題など)をつけて、とにかくリニア工事を妨害して延期させていたのだと推察する。

もう一つのリニア中央新幹線の問題点は、京都を通らないことである。京都は言わずと知れた日本の一大観光地。新幹線の京都駅は、インバウンドも含め、非常に需要があり、利用者は多い。もちろん東海道新幹線の「のぞみ」は全列車が停車する。そして、京都は、一説には、今も日本の首都である。国土軸(東海道、東山道、北陸道、山陰道、山陽道、南海道)の結節点であり、日本において最も重要な都市の一つといっても良い。日本の国土軸において、京都は絶対に外せない都市であり、東海道新幹線のバイパス路線が京都を通らないというのは、断じて許すことはできないことだ。

川勝知事も京都の重要性は誰よりも理解しているはずである。何故なら、彼が京都人だからだ。そこには単純な地元愛も含まれていただろうが、それだけではあるまい。頭脳明晰な川勝知事は、日本の中心が京都であることを理解しており、京都を通らない現ルート案は絶対容認できない、という思いであったに違いない。何としてもリニアを妨害、延期させ、名古屋~新大阪のルートが京都経由に変更されるのを待ちたかったのであろう。

このように、単なる「迷惑行為」に見える川勝知事のリニア建設妨害は、実は、日本国内における新幹線網の正当な発展のために、あえて行っていたように思えてならない。失言は多かったが、このような「真の国土交通」を考える知事が退陣することで、日本国内の新幹線計画がますますおかしな方向に向かわないか、大変危惧するところである。