カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
春風を入れてマーブルチョコに蓋 ケトルの湯春日のタマゴポケットに 朧夜や薬の横のミニボーロ チキンラーメン兄と割る四畳半の春 おみやげの銀だこ熱し春の雪 かつサンドつまむ日永のロケ現場 コーラグミ3回噛んで春一番 夏近しビッグマックの箱に鉤 ぼんち揚割れば春陽の実家かな ピノ溶ける春暁や『山月記』閉づ ポッキーも春もボートと浮いている モノクロの桜にグリコの赤い箱 馬連かワイドかエクレア喰む春夜 たんぽぽやヘッドロココと通学帽 ポッキーポリポリ受験子スパークす 飛花の夜や鴇羽ひとひら親子丼 フルーチェのミルク増し増し草萌や 歌舞伎揚げの家紋三枡や竜天に シーフードヌードル春夜の反航 花曇ため息代わりフエラムネ
3月13日のプレバト俳句。 お題は「ついつい買ってしまう人気フード」。 ![]() ◇ 予選1位はフジモン。 春風を入れてマーブルチョコに蓋 これは文句なしの1位。 マーブルチョコを持ち歩く子供のリアルに、 春風についての幻想を重ねた句です。 色とりどりのマーブルチョコが春らしい。 ◇ 決勝2位のフジモン。 シーフードヌードル 春夜の反航 こちらもいい出来です。 下五は「反抗」でなく「反航」。 逆向きの航行という意味らしい。 夜の船の上で、 シーフードヌードルを食べながら、 すれちがう船を見てる場面なのね。 なかなか詩情があります。 ◇ 予選3位の犬山紙子。 朧夜や 薬の横のミニボーロ 個人的にはこれが2位。 薬の横にミニボーロが置いてある。 そこに生活感があってリアルです。 不定愁訴を暗示するような季語の選択も的確。 ◇ 決勝3位の犬山紙子。 花曇 ため息代わりフエラムネ 花の日のため息代わり フエラムネ(添削後) 花曇 ため息めけるフエラムネ(添削後) こちらも不定愁訴に悩まされてるのか、 おなじような作風なのね。 原句の中七・下五は、 助詞「の」を省略したため三段切れに見える。 商品名はカタカナ表記ですが、 わかりやすく漢字表記でもいいと思うし、 三段切れを回避するなら、 ため息を笛ラムネとす 花曇 のようにも書けます。 ◇ 予選6位の森口瑤子。 かつサンドつまむ日永のロケ現場 個人的にはこれが3位。 タイトル戦の森口瑤子にしては珍しく、 奇をてらわないオーソドックスな作風。 すんなりしすぎてフックがないので、 優勝は狙えないのかもしれませんが、 どこにも欠点はなく、情景もよく伝わります。 ◇ 13位の皆藤愛子。 馬連うまれんかワイドか エクレア喰む春夜 馬連かワイドか 春の夜のエクレア(添削後) 個人的にはこれが4位。 競馬に夢中になりながら、 片手間にエクレアをむしゃむしゃ。 下五の動詞を、 あえて「食う」でなく「喰む」としたのも、 それなりに必然性がある気がするし、 かならずしも音数合わせではないと思います。 ◇ 9位の内藤剛志。 ぼんち揚あげ割れば春陽はるひの実家かな ふるさとや 春日にぼんち揚割れば(添削後) 個人的にはこれが5位。 俳句は現在の実景を詠むのが基本だけど、 記憶のなかの「実家」を詠むとすれば、 原句のような形にするしかないでしょうね。 かりに過去を詠んだとしても、 「春陽(春日)」は現在に繋がってるので、 季語の鮮度は落ちていません。 一方、 添削句の「ふるさと」は、 かえって実景に見えてしまいます。 ----Blo-katsu AD---- ----Blo-katsu AD---- ◇ 予選2位の梅沢富美男。 ケトルの湯 春日のタマゴポケットに 上五で切れる二句一章なのか、 助詞を省略した一句一章なのか分からない。 かりに二句一章と解釈したら、 一方に「ケトルの湯」があり、 他方で「春日」が冷蔵庫の卵ポケットにある、 と誤読されかねません。 助詞を省略せず、 固有名詞をカギカッコで括り、 やかん湯を春日の「たまごポケット」に と書けば、兼題を知らない読み手にも、 かろうじてチキンラーメンの句だと分かる。 ◇ 決勝1位の梅沢富美男。 歌舞伎揚げの家紋三枡みますや 竜天に 上六を字余りにする一方、 中七は助詞「は」を省略してる。 下五も助詞「に」で終える省略形。 かりに「昇龍」を子季語と考えれば、 昇龍や 三枡家紋の歌舞伎揚げ と定型に出来ます。 ◇ 10位の三宅香帆。 ピノ溶ける春暁や 『山月記』閉づ ピノは溶け果て春暁の『山月記』(添削後) 固有名詞の「ピノ」は、 いろいろと誤読の可能性があるけど↓ https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202207180001/ 動詞「溶ける」があるので、 かろうじてアイスだとは判断できる。 最後にオチをつける形なら、 『山月記』閉づる春暁 溶けしピノ のような定型にも出来ます。 ◇ 8位のフルポン村上。 夏近し ビッグマックの箱に鉤かぎ ビッグマックの紙箱に鉤 夏近し(添削後) 良句のような気もするけど、 いつにもまして評価の難しい問題作です・・・(^^; 紙箱の蓋が開かないようにロックする部分を、 日本語で何と呼ぶのか知りませんが、 それって、 いつでもどの箱にでもあるし、 べつに発見するまでもないことだから、 せいぜい、 「箱の中に金属の鍵が入ってたのかしら?」 と誤読されるのがオチ。 むしろ、 夏近し ビッグマックの鉤の箱 と書いたほうが誤読の畏れは少なく、 箱のなかの熱々のハンバーガーの予感が、 夏の予感にも響き合うことになる。 そもそも、 《紙箱の技術的な構造に気づいた》 ってところに詩情があるとしても、 それは村上の過去句の、 「ペンの減り」「目の潤み」「窪みの浅さ」 「ハンコのかすれ」と同じように、 俳句の季節感とは無関係なのよねぇ。 その点、添削句のほうが、 季語が立ってるのは間違いない。 ◇ 4位の千原ジュニア。 チキンラーメン 兄と割る四畳半の春 7・5・8の字余り。 おなじ字余りでも、 兄と割るチキンラーメン 四畳半の春 のほうが定型に近いわけだけど、 意図的に破調にしたのかしら? あえて「四畳半」とは詠まずに、 兄と割るチキンラーメン 春寒し のように書くだけでも、 質素な暮らしぶりは想像できます。 ◇ 清水アナ。 U.F.O.を賭けたじゃんけん 春の昼 兼題を知らなければ、 カップ焼きそばかどうか分からない。 「ピノ」や「卵ポケット」もそうだけど、 「UFO」も誤読を避ける必要があります。 商品名をカギカッコで括り、 動詞の過去形も回避すれば、 「U.F.O.」を賭けるジャンケン 春の昼 のように出来ます。 なお、わたしは季語が動くとは思いません。
◇ 14位の森迫永依。 たんぽぽや ヘッドロココと通学帽 中七の「ヘッドロココ」は、 ロココ風の被り物かと思いきや、 ビックリマンチョコのキャラだそうです・・・(^^; 子供らしいアイテムを3つ並べただけ。 とくに「通学帽」は当たり前すぎて面白みがない。 誰の視点なのか分かりませんが、 《道端→子供の手元→子供の頭》 というカット割りもチグハグした印象です。 ◇ 5位の本上まなみ。 おみやげの銀だこ熱し 春の雪 本上まなみにしては面白みに欠けた。 銀だこが熱いのも当たり前だけど、 銀だこを手土産にするのも当たり前すぎるし、 季語も意外性に乏しい。 本人が話したエピソードを使って、 銀だこを上着にくるむ寒き春 のようにも出来たかなと思います。 ◇ 7位の蓮見翔。 コーラグミ3回噛んで春一番 接続助詞「で」は、 《3回噛んで春一番(を待つ)》の省略なのか、 《3回噛んで春一番(を受ける)》の省略なのか分からない。 前者なら季語が実景ではなくなる。 季語を実景にするには、 コーラグミ3回噛めば春一番 と書いたほうがいい。 ◇ 12位の立川志らく。 モノクロの桜にグリコの赤い箱 モノクロの桜 グリコの赤い箱(添削後) モノクロの記憶のなかで、 グリコの赤い箱だけを鮮烈に覚えてる、 ・・・ってことなのだろうけど、 やはり俳句は、 現在の実景を描くのが基本だから、 モノクロ写真と誤読されるのがオチです。 ◇ 16位の的場浩司。 飛花の夜や 鴇羽ときはひとひら親子丼 親子丼に飛花のひとひら鴇羽色(添削後) 原句の「鴇羽ひとひら」は、 《鴇の羽根》なのか《鴇羽色の桜》なのか分からない。 前者だとすれば季重なりだし、 後者だとすれば「飛花」と重複する情報です。 リズム的に三段切れなのも欠点。 鴇色も鴇羽色も同じなのだし、 鴇色の花一片と親子丼 と書けば定型になります。 ◇ 11位の春風亭昇吉。 ポッキーも春もボートと浮いている ポッキーと恋とボートと春と雲(添削後) 原句の「春」は《恋》の隠喩ではなく、 池に落ちた《花びら》の隠喩に見えるし、 ポッキーも池に落としたように見える。 実景描写に徹すれば、 ポッキーの春や 二人乗りのボート と出来ますが、 あくまで浮かれた気分を表現するのなら、 案外、添削句が正解なのかもしれません。 ◇ 15位の中田喜子。 ポッキーポリポリ 受験子しスパークす 句材に面白みがないし、 「ポリポリ」「スパーク」などの語彙も、 やや安直で俗っぽいです。 ◇ 17位の馬場典子。 フルーチェのミルク増し増し 草萌もえや ミルク増し増しのフルーチェ 草萌ゆる(添削後) 切れ字「や」で締める型破りには、 さしたる意図も感じられず、 たんなる音数合わせにしか見えません。 その点でいえば、 添削の連体形止めのほうがマシだし、 「萌ゆる草」「萌ゆる春」「春の草」 などの名詞止めにするのも可能です。 とはいえ、 あえて8・4・5に直した意図は分からない。 ▽過去の記事はこちら https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.03.18 22:02:22
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