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まいかのあーだこーだ

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2025.03.17
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春風を入れてマーブルチョコに蓋 ケトルの湯春日のタマゴポケットに 朧夜や薬の横のミニボーロ チキンラーメン兄と割る四畳半の春 おみやげの銀だこ熱し春の雪 かつサンドつまむ日永のロケ現場 コーラグミ3回噛んで春一番 夏近しビッグマックの箱に鉤 ぼんち揚割れば春陽の実家かな ピノ溶ける春暁や『山月記』閉づ ポッキーも春もボートと浮いている モノクロの桜にグリコの赤い箱 馬連かワイドかエクレア喰む春夜 たんぽぽやヘッドロココと通学帽 ポッキーポリポリ受験子スパークす 飛花の夜や鴇羽ひとひら親子丼 フルーチェのミルク増し増し草萌や 歌舞伎揚げの家紋三枡や竜天に シーフードヌードル春夜の反航 花曇ため息代わりフエラムネ
3月13日のプレバト俳句。
お題は「ついつい買ってしまう人気フード」。




予選1位はフジモン。
春風を入れてマーブルチョコに蓋


これは文句なしの1位。

マーブルチョコを持ち歩く子供のリアルに、
春風についての幻想を重ねた句です。

色とりどりのマーブルチョコが春らしい。



決勝2位のフジモン。
シーフードヌードル 春夜の反航


こちらもいい出来です。

下五は「反抗」でなく「反航」。
逆向きの航行という意味らしい。

夜の船の上で、
シーフードヌードルを食べながら、
すれちがう船を見てる場面なのね。

なかなか詩情があります。



予選3位の犬山紙子。
朧夜や 薬の横のミニボーロ


個人的にはこれが2位。

薬の横にミニボーロが置いてある。
そこに生活感があってリアルです。
不定愁訴を暗示するような季語の選択も的確。



決勝3位の犬山紙子。
花曇 ため息代わりフエラムネ
花の日のため息代わり フエラムネ
(添削後)
花曇 ため息めけるフエラムネ(添削後)

こちらも不定愁訴に悩まされてるのか、
おなじような作風なのね。

原句の中七・下五は、
助詞「の」を省略したため三段切れに見える。

商品名はカタカナ表記ですが、
わかりやすく漢字表記でもいいと思うし、
三段切れを回避するなら、
ため息を笛ラムネとす 花曇

のようにも書けます。



予選6位の森口瑤子。
かつサンドつまむ日永のロケ現場


個人的にはこれが3位。

タイトル戦の森口瑤子にしては珍しく、
奇をてらわないオーソドックスな作風。

すんなりしすぎてフックがないので、
優勝は狙えないのかもしれませんが、
どこにも欠点はなく、情景もよく伝わります。



13位の皆藤愛子。
馬連うまれんかワイドか エクレア喰む春夜
馬連かワイドか 春の夜のエクレア
(添削後)

個人的にはこれが4位。

競馬に夢中になりながら、
片手間にエクレアをむしゃむしゃ。

下五の動詞を、
あえて「食う」でなく「喰む」としたのも、
それなりに必然性がある気がするし、
かならずしも音数合わせではないと思います。



9位の内藤剛志。
ぼんち揚あげ割れば春陽はるひの実家かな
ふるさとや 春日にぼんち揚割れば
(添削後)

個人的にはこれが5位。

俳句は現在の実景を詠むのが基本だけど、
記憶のなかの「実家」を詠むとすれば、
原句のような形にするしかないでしょうね。

かりに過去を詠んだとしても、
「春陽(春日)」は現在に繋がってるので、
季語の鮮度は落ちていません。

一方、
添削句の「ふるさと」は、
かえって実景に見えてしまいます。

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予選2位の梅沢富美男。
ケトルの湯 春日のタマゴポケットに


上五で切れる二句一章なのか、
助詞を省略した一句一章なのか分からない。

かりに二句一章と解釈したら、
一方に「ケトルの湯」があり、
他方で「春日」が冷蔵庫の卵ポケットにある、
と誤読されかねません。

助詞を省略せず、
固有名詞をカギカッコで括り、
やかん湯を春日の「たまごポケット」に

と書けば、兼題を知らない読み手にも、
かろうじてチキンラーメンの句だと分かる。



決勝1位の梅沢富美男。
歌舞伎揚げの家紋三枡みますや 竜天に


上六を字余りにする一方、
中七は助詞「は」を省略してる。
下五も助詞「に」で終える省略形。

かりに「昇龍」を子季語と考えれば、
昇龍や 三枡家紋の歌舞伎揚げ

と定型に出来ます。



10位の三宅香帆。
ピノ溶ける春暁や 『山月記』閉づ
ピノは溶け果て春暁の『山月記』
(添削後)

固有名詞の「ピノ」は、
いろいろと誤読の可能性があるけど↓
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202207180001/
動詞「溶ける」があるので、
かろうじてアイスだとは判断できる。

最後にオチをつける形なら、
『山月記』閉づる春暁 溶けしピノ

のような定型にも出来ます。



8位のフルポン村上。
夏近し ビッグマックの箱に鉤かぎ
ビッグマックの紙箱に鉤 夏近し
(添削後)

良句のような気もするけど、
いつにもまして評価の難しい問題作です・・・(^^;

紙箱の蓋が開かないようにロックする部分を、
日本語で何と呼ぶのか知りませんが、

それって、
いつでもどの箱にでもあるし、
べつに発見するまでもないことだから、

せいぜい、
「箱の中に金属の鍵が入ってたのかしら?」
と誤読されるのがオチ。

むしろ、
夏近し ビッグマックの鉤の箱

と書いたほうが誤読の畏れは少なく、
箱のなかの熱々のハンバーガーの予感が、
夏の予感にも響き合うことになる。

そもそも、
《紙箱の技術的な構造に気づいた》
ってところに詩情があるとしても、

それは村上の過去句の、
「ペンの減り」「目の潤み」「窪みの浅さ」
「ハンコのかすれ」と同じように、
俳句の季節感とは無関係なのよねぇ。

その点、添削句のほうが、
季語が立ってるのは間違いない。



4位の千原ジュニア。
チキンラーメン 兄と割る四畳半の春


7・5・8の字余り。

おなじ字余りでも、
兄と割るチキンラーメン 四畳半の春

のほうが定型に近いわけだけど、
意図的に破調にしたのかしら?

あえて「四畳半」とは詠まずに、
兄と割るチキンラーメン 春寒し

のように書くだけでも、
質素な暮らしぶりは想像できます。



清水アナ。
U.F.O.を賭けたじゃんけん 春の昼


兼題を知らなければ、
カップ焼きそばかどうか分からない。

「ピノ」や「卵ポケット」もそうだけど、
「UFO」も誤読を避ける必要があります。

商品名をカギカッコで括り、
動詞の過去形も回避すれば、
「U.F.O.」を賭けるジャンケン 春の昼

のように出来ます。

なお、わたしは季語が動くとは思いません。




14位の森迫永依。
たんぽぽや ヘッドロココと通学帽


中七の「ヘッドロココ」は、
ロココ風の被り物かと思いきや、
ビックリマンチョコのキャラだそうです・・・(^^;

子供らしいアイテムを3つ並べただけ。
とくに「通学帽」は当たり前すぎて面白みがない。

誰の視点なのか分かりませんが、
《道端→子供の手元→子供の頭》
というカット割りもチグハグした印象です。



5位の本上まなみ。
おみやげの銀だこ熱し 春の雪


本上まなみにしては面白みに欠けた。

銀だこが熱いのも当たり前だけど、
銀だこを手土産にするのも当たり前すぎるし、
季語も意外性に乏しい。

本人が話したエピソードを使って、
銀だこを上着にくるむ寒き春

のようにも出来たかなと思います。



7位の蓮見翔。
コーラグミ3回噛んで春一番


接続助詞「で」は、
《3回噛んで春一番(を待つ)》の省略なのか、
《3回噛んで春一番(を受ける)》の省略なのか分からない。
前者なら季語が実景ではなくなる。

季語を実景にするには、
コーラグミ3回噛めば春一番

と書いたほうがいい。



12位の立川志らく。
モノクロの桜にグリコの赤い箱
モノクロの桜 グリコの赤い箱
(添削後)

モノクロの記憶のなかで、
グリコの赤い箱だけを鮮烈に覚えてる、
・・・ってことなのだろうけど、

やはり俳句は、
現在の実景を描くのが基本だから、
モノクロ写真と誤読されるのがオチです。



16位の的場浩司。
飛花の夜や 鴇羽ときはひとひら親子丼
親子丼に飛花のひとひら鴇羽色
(添削後)

原句の「鴇羽ひとひら」は、
《鴇の羽根》なのか《鴇羽色の桜》なのか分からない。
前者だとすれば季重なりだし、
後者だとすれば「飛花」と重複する情報です。

リズム的に三段切れなのも欠点。

鴇色も鴇羽色も同じなのだし、
鴇色の花一片と親子丼

と書けば定型になります。



11位の春風亭昇吉。
ポッキーも春もボートと浮いている
ポッキーと恋とボートと春と雲
(添削後)

原句の「春」は《恋》の隠喩ではなく、
池に落ちた《花びら》の隠喩に見えるし、
ポッキーも池に落としたように見える。

実景描写に徹すれば、
ポッキーの春や 二人乗りのボート

と出来ますが、

あくまで浮かれた気分を表現するのなら、
案外、添削句が正解なのかもしれません。



15位の中田喜子。
ポッキーポリポリ 受験子スパークす


句材に面白みがないし、
「ポリポリ」「スパーク」などの語彙も、
やや安直で俗っぽいです。



17位の馬場典子。
フルーチェのミルク増し増し 草萌もえ
ミルク増し増しのフルーチェ 草萌ゆる
(添削後)

切れ字「や」で締める型破りには、
さしたる意図も感じられず、
たんなる音数合わせにしか見えません。

その点でいえば、
添削の連体形止めのほうがマシだし、
「萌ゆる草」「萌ゆる春」「春の草」

などの名詞止めにするのも可能です。

とはいえ、
あえて8・4・5に直した意図は分からない。


▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12



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最終更新日  2025.03.18 22:02:22
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