今年もあと僅かになり、テレビは年末年始特集の番組ラインナップが目白押しです。お気に入りの年末年始番組を撮り溜めされる方も多いと思われますが、今はテレビやチューナー内臓のハードディスクで容量もたっぷりで、たくさんの番組を撮り貯めできますし、裏番組まで撮れるので大変良い時代になりました。昔はビデオテープで、テープ一本で2時間、3倍速で6時間と容量も限られていました。年末年始に限らず好きな番組とか撮り貯めしてたら本棚くらいのスペースが必要になったものです。

 

 

それが昭和末期から平成に掛けてのあるある話ですが、更に時代を遡って昭和40年代、今から半世紀前になるとビデオの所有者はほんのごく一部の限られた富裕層向けの高級家電品でした。そのビデオテープ創世記の商品がこちらです。

 

VHSやベータは有名ですが、Uマチックとは聞き慣れない商品です。ご覧の通り1973(昭和48)年正月の広告なので時代を感じさせますね。という事で今回は一般には馴染のない富裕層向けのUマチックビデオテープについて紹介いたします。カラーテレビが普及しかかって間もない頃のビデオってどのようなものだったのでしょうか?その特色や当時のビデオデッキなど色々と掘り下げてみたいと思います。

 

家庭用ビデオデッキの登場

 

 

映像を記録する機器はテレビ放送開始当初から存在していました。昔の白黒時代のテレビ番組の映像を観る機会がありますが、そうした古い映像は2インチVTRと呼ばれるビデオテープレコーダーで保存されていたものです。2インチはテープの幅の長さで5.08センチとかなりの幅があるのでテープ本体もそれなりの大きさがありました。

2インチVTR

 

ご覧の大きさですから持ち運びが大変ですし、テープの重さは7キロもあります。テープが外にむき出しのオープンリールで保存も大変です。何よりテープが100万円、デッキも数百万円という大変高価なものでしたから、放送局や番組制作会社での録画再生用に限られていました。そのためせっかく映像を保存しても、その上から新しい映像を記録して作品テープが使いまわされていたので大事な映像記録が保存できなかったのです。

 

 

しかしこの2インチVTRが主流だった頃に家庭用ビデオテープの商品化が着々と進行していました。ビデオ再生機もテープも軽量化が進み、そして遂に1964(昭和39)年11月に家庭用ビデオデッキが国内で販売されることとなりました。

国産初のビデオデッキ SONY SV-2000

 

テープ幅が1/2インチと細く、7号リールで1時間録画に対応。回転2ヘッドの15kg。そしてこのデッキの価格は198,000円です。当時の大卒初任給が2万円でしたので、高価であることには違いありませんが、デッキのコンパクト化に成功して、大卒の年収以下で手に入れられるのであれば庶民でも比較的購入しやすい価格設定だと思います。

 

 

このSV-2000はカラー放送対応の製品に改良され、時代のニーズに合った形で進化していきます。このSV-2000をベースに他社からも同様のオープンリール型ビデオデッキが発売されていくことになります。しかしテープの大きさはメーカーによってまちまちで互いのビデオデッキには使用できず互換性がなかったのが欠点でした。

 

 

その欠点を解消するためSONY、ナショナル、ビクターの大手メーカー3社で規格化され互換性を合わせるために開発されたのがU規格という基準のテープ方式でした。そしてU規格のビデオテープ基準を搭載したのが1971(昭和46)年10月10日にソニーが販売したUマチックでした。

 

 

高品質さが評価されたUマチック

 

 

Uマチックは4分の3インチテープで再生時間は最大で1時間30分とそしてテープ部分がむき出しではないカセットテープ式のビデオテープです。

 

Uマチック(U規格)のビデオテープ

U規格搭載のSONY製 Uマチックビデオデッキ

 

ビデオデッキやテープも従来のものに比べてコンパクトになったこのUマチック製、TVチューナー内蔵の回転式のチャンネル式は、当時のテレビと同じでとても懐かしく感じます。操作もしやすいし、映像もとてもクリアでしたから大きな反響を呼びました。しかし、このUマチックはかなりの高額だったことがネックとなり、売上は伸びず。大衆にはウケが良くありませんでした。

昭和46年当時の大卒初任給が4万円くらいです。物価の移り変わりからして40万円前後という価格設定は、先述したSV-2000と比べてほぼ同じ価格設定と言えますが、それでも高価格であることには変わりはありません。テープも30分5000円、60分1万円(後に90分用が発売)ですので家庭用としては普及しませんでしたが、業務用としては画質・音質ともに秀逸でそれまでのオープンリールと比べても管理がしやすいことからニュースの取材用など業務用VTRとして80年代まで活用され重宝されていきます。

 

 

家庭用はご覧のようにジャイアント馬場さんが所有したように、購買層は比較的お金に余裕がある人中心でしたが、公立の学校でも教材用にUマチック式のビデオデッキが学校の視聴覚室に置かれていました。70年代後半に小学生だった私もこのUマチック製のビデオを見たことがあります。こうしてみるとUマチックのビデオは広く社会に浸透していたのですね。

 

 

懐かしの映像がUマチック所有者から大量に流れる

 

 

昭和40年代中盤以降に台頭してきたものの高価格で大衆に受け入れ難いUマチック式のVTR。やがて1975(昭和50)年にベータ、1976(昭和51)年にVHSと、比較的安価なVTR媒体が登場したことで、家庭用VTRのシェアはそちらに完全にもっていかれることになりました。

 

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しかし後塵のベータ。VHSにも負ける劣らずの解析画像で保存に強いUマチックは業務用記録媒体として日本国内はもとより世界でも注目されていました。今YOUTUBEなどで昔の映像がたくさん視聴できますが、その殆どが驚くほど鮮明です。保存が良く、テープの劣化も少ないUマテックはVHSやデータが普及しても録画媒体として利用されていた方も多かったのです。

 

 

このUマチック式のクリアな画像が現在になって大量に流出したことでその映像や音声の良さを知ることとなり改めてUマチックの解析な映像の質を知ることになります。Uマチックが全盛だった70年代、その頃所有していた人は極僅かでしたが、その他にテレビ局、映像会社の業務用が大事に所有していたことで、そうした人たちが動画をUPしてくれてたくさんの懐かしの映像の見ることができるようになりました。

 

 

またUマチック所有者は、SV-2000などそれ以前の録画機能フォーマットで保存された映像をダビングしてUマチックに移しかえている人も多かったのです。そしてUマチックが出た頃はカラーテレビが普及していましたから鮮明なカラー映像を録画したいと導入する富裕層や法人も多かったのです。商業的には成功とは言えませんでしたが、業務用、教育用、極わずかですが家庭用で広く社会的認知されたことが貴重な映像が時を経て観ることができるのはひとえにUマチックが貢献したと言っても過言ではないでしょう。

 

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投稿者

yuuponshow

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