2024(令和6)年4月29日世間は大型連休のG・Wに突入したのですが、日本経済を揺るがす波乱の展開となりました。

 

 

ドル円が160円台突入という衝撃的なニュース、1990(平成2)年4月以来の実に34年ぶりの水準に達したのです。昨今の物価高はこの為替の行き過ぎた円安が要因と言われています。34年前は今と比べて物価が安かったし、社会保険も安かったし、消費税も3%、今よりも収入から自由に使える分が多かった時代です。時代が違うのもそうですが、今のこの為替相場は確実に国民生活に悪影響ですし、日本経済に大ダメージとなることは避けられません。

 

 

その対策として160円をつけた直後に日本政府が、為替介入を行い相場は一気に5円以上円高になりました。為替介入についてはこのブログでも以前取り上げているのでそちらをご覧いただければ詳しく書いています。(参照:1ドル130円到達で為替介入はあるのか!?)

 

 

その資金が題目にあるようにその原資である外貨準備金は200兆円あると言われていますが、為替介入するためにはドルを売って円を買うことになります。しかし一日の取引で50~60兆円もの資金が動くと言われるドル円相場では日本政府は無限にドルを売ることはできません。今回はこの為替介入に使われている資金量について検証していきたいと思います。

 

 

為替介入に使われるのは10分の1

 

 

先述したように為替介入の原資は外貨準備金です。外貨準備金は通貨当局が為替介入に使用する資金であるほか、通貨危機等により、他国に対して外貨建て債務の返済が困難になった場合等に使用する準備資産です。わが国では、財務省(外国為替資金特別会計)と日本銀行が外貨準備を保有しています。

 

 

日本の外貨準備高は2024年3月末時点で1兆2900億ドル(約200兆円)となっています。これは、政府や日本銀行が保有する預金や債券などの外貨建て資産の合計です。外貨準備高は、通貨危機時の他国への借金返済や為替介入の原資として重要な役割を果たします。その内訳はこのようになっています。

 

 

 

三宅隆介氏作成のこのグラフは2020年作成ですが、ドル建てで現在の外貨準備金と変わらないので掲載しました。ご覧のように4分の3以上が米国債になっており、為替介入に使われるのは預金に当たる部分となります。預金部分を現在の日本円に直すと約21兆円となりますので、これが円安対策のための介入上限額と考えて良いでしょう。

 

 

この外貨準備金から今回4月29日と5月2日の計2回、現時点ですが、9兆円分の為替介入に使ったとされています。ということは残り12兆円、為替介入で使える資金は残りこれだけということになります。

 

 

外貨準備200兆円に膨らんだ経緯

 

 

この外貨準備高は対外債務の返済や緊急事態における最低限の物資輸入に備える目的のほか、為替介入により外国為替相場の安定を図るときに使われる資金です。対外債務の返済力が高いと世界で評価されるので、国際的な信用力も高まります。また自国通貨危機等、有事の際を想定すれば外貨準備高はある程度確保しておく必要があります。

 

 

日本の外貨準備高は先進主要国トップ、全世界でも中国に次いで2位という非常に高い外貨準備高があります。

 

なぜ日本がこれだけの外貨準備金を保有しているのか?その理由は日本の経常黒字(輸出金額が輸入金額を引いた貿易黒字や、海外からの配当、利子などの受け取りから海外への配当、利子などの支払いを差し引いた所得収支などの合計額)の大きさにあります。しかし、経常黒字の水準があまりに大きく、民間の自由な経済活動の結果として資金を海外に流出させるだけでは不十分になっています。残った外貨は日本国内で使うために円に替えられるわけですが、これは「ドルなどの外貨売り・円買い」につながり、円相場を押し上げてしまいます。これを防ぐために日本銀行などが米国債をはじめとする外貨建て資産を購入します。こうした活動を通じて、外貨建て資産が増えて、外貨準備高が大きくなっているわけです。

 

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そして過去、2000から10年前後に日本は円高対策のため、巨額の円売りドル買いの為替介入が幾度となく行われたことで介入資金となる外貨準備高が円安に進むごとに増えていくことになります。ドル円70円台で介入していたものが今や150円台ですから、外貨準備金が倍増近く増えることになります。それらを次々と決済する、つまりドルを売って円を買う行為ですからこれが円買い介入と同じ原理となるのです。

 

 

減少する介入資金の切り札米国債売却

 

 

先述したように先日の為替介入で9兆円を使っています。自国通貨を無限に用立てできる円売り介入とは違い、円買い介入はドルを購入しなければいけませんので、原資は限られています。そして為替介入には預金の部分が使われているので、そうなると残り12兆円、為替介入で使える資金は残りこれだけということになります。

 

 

しかし外貨準備高の4分の3を占めるアメリカ国債を介入資金に使えるならば、介入資金として十分にあります。10年前以上の円高時の介入のために米国債を購入しているのでこれを決済すれば良いのです。ここであるラジオ番組の音声があるのでご覧ください。

 

 

 

文化放送「おはよう寺ちゃん」のコメンテーターでエコノミストの会田卓司氏が預金部分だけではなく、米国債も介入資金として活用できると説明されています。実際米国債は日本以外の国で売却されてるので決して禁じ手ということはありませんので日本も介入資金で活用すれば良いのです。

 

 

しかし米国がこれを黙認するかが問題です。戦後80年近くになりますが、日本は米国の属国というか追従姿勢を変えていません。米国から言い値での兵器購入や日米地位協定を見れば分かるようにアメリカ様のご機嫌を伺っているようにしか見えません。そんな日本が為替介入のために米国債を売ることができるのか?米国債市場は4100兆円規模と言われており、日本が米国債を一気に吐き出せば今度はドルの暴落になってたちまち100円を割り込む円高になる恐れがあります。

 

 

しかし日本としても背に腹は代えられないと決断を迫られる時が来るかも知れません。円安が加速する昨今、米国債売りの介入が果たしてあるのか?今度の為替市場目が離せません。

 

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投稿者

yuuponshow

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