「4月~6月は残業しない方がいい」と聞いたことはありませんか?
春先のネット情報や職場での雑談でよく出る話題として、次のようなものがあります。
- 「1年間の税金は4月~6月の給料で決まるらしい?」
- 「4月~6月に残業すると損(給料が減る)」
この「都市伝説」を社労士が検証します。
①「1年間の税金は4月~6月の給料で決まるらしい?」
👇
誤り
税金には関係ありません。正しくは 「社会保険料に影響がある」 という話です。
社会保険料は税金とは異なり、保険制度の一環としての負担になります。
◆ 税金と社会保険料の違い
税金 | 社会保険料 | |
---|---|---|
性質 | 負担能力に応じて課される |
給付を受けるための支払い (応益的性格) |
使い道 | 日本に住む全員が受ける公共サービスに使われる | 加入者向けの医療・年金などのサービスに使われる |
給料から引かれる社会保険料の決定方法
1年間の社会保険料は 4月~6月分の給与 を基準に決まります。
この基準を 「標準報酬月額」 といい、以下のように計算されます。
標準報酬月額 × 各保険料率 = 社会保険料
標準報酬月額の決定方法
・4月~6月の 3か月の平均給与 をもとに決定
・金額ごとに 等級表 で区分され、該当する等級に当てはめられる
例:
給与月額 19万3,000円 → 標準報酬月額:13等級(19万円)
※イメージしづらい場合は、実際の等級表を確認してみてください。
新しい社会保険料の適用時期
4月~6月の給与を基に決定した 新しい社会保険料は9月から翌年8月まで適用 されます。
②「4月~6月に残業すると損する(給料が減る)」
👇
誤り
標準報酬月額の決定基準は「4月~6月に 実際に 支払われた給与」 です。
「4月~6月に働いた給与」ではない点に注意が必要です。
例:給与支払スケジュール(25日払いの場合)
事例の場合
✅給与計算期間:6月1日~30日→7月25日支給 これは7月分給与(対象外)
✅給与計算期間:3月1日~31日→4月25日支給 これは4月分給与(対象)
この場合、 3月~5月の残業代が社会保険料に影響 します。
【まとめ】
✅ 定時決定の対象となるのは、4月~6月に「実際に支払われた給与」
4月出退勤分、5月出退勤分、6月出退勤分ではありません。
すなわち、給与締め日は関係ありません。
✅ 残業するなら、3月からの勤務にも要注意
その他の関連論点
Q. 年度途中で給料が変わったら?
1年間、社会保険料は固定される?
→ 場合によっては変わる!
給与変動があった場合の見直し方法
- 「定時決定」(年1回)
- 「随時改定」(固定給が大きく変わった場合)
- 「資格取得時決定」(新規加入時)
随時改定の基準
✅ 固定給の増減で標準報酬月額が2等級以上変わると改定対象
社労士の過去問に挑戦
知識の確認のため、社労士試験の問題を解いてみましょう
以下の正誤判定をしてください
平成19年 健康保険法
4月に遡って昇級が行われ、その昇級による差額給与が6月に支払われた場合、随時改定の算定の対象になるのは、4月、5月及び6月の3か月間の報酬月額であり、当該昇級により標準報酬月額に2等級以上の差が生じたときは、7月より標準報酬月額が改定される。
【答え】
最下段に記載
☆御礼☆
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答え:×
随時改定の対象期間「6月、7月及び8月」の3か月間の報酬月額