異端児リーマンの記録

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海外駐在4ヶ国目、駐在員継続によるプチ アーリーリタイアを夢見る40代中年奮闘記

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【早退関連112】2024年賃上げ状況

お越しいただきありがとうございます。

 

本日は、2024年の賃上げについての話題となります。

会社に勤務されている方の中には、自社の賃上げ状況がどうなっているのか、と注目されていらっしゃる方もいるかと思います。

 

一般的に賃上げというと、

定期昇給

❖ベースアップ

の二つがその代表として挙げられます。定期昇給とは、企業の定めるサラリーテーブルなどに基づき、評価結果や勤続年数などによって定期的に昇給する=ランクアップする ことを指し、もう一方のベースアップは、一律で実施される基本給 (サラリーテーブル自体) の底上げと言えます。

 

ニュースなどでも、賃上げについては、この定期昇給、そしてベースアップ双方について、またはその合算で○○%というような形で報道されております。

 

ここからは、まずそもそもこの昨今の賃上げがどういう背景から実施されてきているのか?という点に軽く触れた上で、2024年の賃上げの各社状況の例示、そして賃上げと早期リタイアにおける関連性の考察をしてきたいと思います。

 

①積極的賃上げの背景

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日本では、2023年に続いて2024年も賃上げが積極化する流れとなっているようである。

バブル崩壊以降、失われた〇〇年(最近では30年)と表現されるように、長らく経済成長が停滞し、ある意味物価が安定していたとも言える日本を生きてきた人々にとって、給与のベースアップについても、当然「ほぼ」ないものと考えていた人は少なくなかろう。

 

つまり、そんな人たちが運営している日本企業では、給与のベースアップについては消極的であり、業績の評価については賞与で、そして個々人の満足度は定期昇給で上げていけばよいというのが、長らく一般的な概念となっていたのかもしれない。

 

日本では、一度上げたベース(基本給)は下げにくいと言われている。実際にこの基本給を下げるとなると、労働組合があるような企業では合意が困難なケースも多い。

一方の賞与は、生活に直結していないと評されることも多く、毎年の状況により増減、場合によっては支給を見送ったりもできるものである。会社としても、この賞与という名の一時金で、ある意味「毎年調整する形」が一般的とも言える。

 

では、このような日本的な風習?を断ち切って、この2年程はなぜベースアップを含んだ賃上げが積極化してきているのか、という点(背景や理由)についてまとめていきたい。

 

賃上げ積極化の背景:

■円安による物価高

少子高齢化による人手不足・人財の獲りあい

 ※初任給の魅力化による学生の取り込みの必要性を含め

■政府による賃上げ促進のための税制・圧力の拡大

日本労働組合総連合会によるアグレッシブな賃上げ目標(春闘方針)

経団連による各企業への積極的賃上げの検討・実施を求める姿勢の表明

■(上記を受け)春闘前に大幅増額の発表をした企業の報道の積極化

 

特に政府主導の賃上げの方針や施策など、企業経営者側へのプレッシャーが高まっていることもあり、多くの会社で賃上げ(特にベースアップ)に動く形となっていると言える。

 

②2024年賃上げの状況 

ここでは、実際の賃上げの状況についてまとめていく。

 

九電工 

定期昇給を含め平均8.2%の賃上げ

JR九州 

ベースアップ分平均7.7%の賃上げ

ニトリ  

総合職平均6.0%の賃上げ

JFE     

ベースアップ分平均10.2%の賃上げ(定期昇給2.3%含まず)

日本製鉄 

ベースアップ分平均11.8%の賃上げ(定期昇給2.4%含まず)

日産自動車  

定期昇給を含め平均5.0%の賃上げ

三菱ケミカル   

ベースアップ分平均4.0%の賃上げ

NTT        

ベースアップ分平均2.1%の賃上げ

みずほFG   

ベースアップ分平均3.0%の賃上げ

三菱重工  

定期昇給を含め平均7.11%の賃上げ

パナソニック  

ベースアップ分平均3.4%(定期昇給2.1%含まず)

旭化成     

ベースアップ分平均3.8%(定期昇給2.2%含まず)

東レ      

ベースアップ分平均3.8%(定期昇給1.9%含まず)

日本航空    

ベースアップ分平均4.0%(定期昇給2.0%含まず)

※インターネット上で情報が出ていた知名度の高い企業をランダムに抜粋

 

中小企業の賃上げに関する記事もかなり多数出ていたが、その中で2024年4月4日に日本労働組合総連合会(連合)が発表した中間集計(第三回)では、社員300人未満の中小企業によるベースアップと定期昇給を合わせた賃上げは4.69%(中小組合データ)とのことであった。

   

 

③賃上げと早期リタイア

では最後に、この賃上げトレンドと早期リタイアについてまとめていきたい。先の賃上げの背景にも記載しているが、賃上げにはいくつかの背景や根拠がある。

 

例えば、人材不足に起因した賃上げ合戦というだけであれば、その上昇した賃金分は自身の生活や資産の形成の+αとできうるものと言える。

 

一方で、物価が上昇していたりインフレしていることに呼応した賃上げの場合、その物価上昇に追いつかない賃上げであれば、実質的な賃金の目減りということともいえる。

例えば、インフレ(物価上昇)が10%であり、モノやサービスの値段が10%上がってしまっている中で、賃上げ(定期昇給やベースアップ)が5%しかないのであれば、同じ水準での生活を継続した場合、結局生活が苦しくなったり、資産形成が鈍ったりすることになる。

 

そして、この賃上げブームの報道についても、その表面的なパーセンテージ(%)だけでなく、中身もしっかり見ていかねばならないとも感じている。

 

賃上げ報道で、「定期昇給を含めて○○%」という表記があるが、この定期昇給については昇給制度のある企業に属していれば、いわば放っておいても享受できるものでもあるため、やはりベースアップ(ベア)がどう妥結するのか、そして物価がどう推移しているのかということを意識して情報を取得していかねばならないと感じている。

 

私のライフプランシート上では、年金収入の減額想定だけでなく、かなり厳しめに設定した配当金・分配金や家賃収入など不労所得でのリスク想定もしているが、早退実現までの資産形成編での計画含めて、インフレによる支出額そのものの影響は加味されていない。

つまり、この先インフレ(物価上昇)に賃上げが追いつかない状態が続いてしまう場合は、生活の質を落とさない前提では、実質的に支出が増加する形となり、収入の更なる増加を目指さない限りはアーリーリタイア実現のタイミングが後ろ倒しとなってしまう。

 

以前の記事でも記載したが、インフレ時は、不動産(やその賃貸収入)や株式については、その上昇に呼応して値段が上がっていくケースが多いため、一般的に「価値の低下」は起こりにくいと言える。つまり、インフレで考慮しなければならないのは、日々の生活費、娯楽費を含めた支出パートのみとなる。

 

現在、早退実現へ向けた(純)金融資産形成目標を8,000万円と設定しているが、インフレが続く場合は、これも厳密にいうと適正金額の再評価が必要となってきそうである。

 

引き続い経済・自身の会社の動向を含め、様々な観点で見つめていくことを続け、ライフプランの検証を進めていきたいと考えている。

 

 

 

 

 

▼Success is doing, not wishing.▼
本日もありがとうございました。

【早退関連111】終活の前の老活とは?

お越しいただきありがとうございます。

 

本日は、老活についての話題となります。

 

これまでに「終活」という言葉を目や耳にされた方は多いかもしれません。私自身も高齢になりつつある両親もいることから、終活には随分前から触れていたのですが、この「老活」という言葉を知ったのはつい最近でした。


老活は「おいかつ」や「ろうかつ」と呼び、終活の前に実施すべき活動とされています。

 

ここからは、この老活について簡単に紹介し、その上で私自身の老活状況についても記していきたいと思います。

 


①老活とは?

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老活とは、素晴らしい老後が過ごせるための活動(Wikipedia引用)である。つまり、老後を楽しむための事前準備活動と言える。


終活と老活の違いについて、終活は遺産相続や葬式の想定、私物の整理など、自身が死ぬことへ備える活動であるのに対して、老活は一般的にその前段階である、仕事をリタイアした後の第二の人生を楽しむために備える活動とされている。

 

一時、頻繁にメディアでも取りあげられていた「老後2,000万円問題」なども同じであるが、老後のための様々な備えを若いうち(今)から始めておくべき!というような啓蒙活動や問題提起が今後もますます積極化されていく流れにあり、この老活という言葉も今後一般化していくことになると思われる。

 

次に、老活の具体的な活動内容について掘り下げてみよう。これには明確な定義があるわけではないようであるが、以下インターネット上で様々に纏められている項目を抜粋していく。

 

▫️老前整理
→身の回りにある私物や財産の把握、整理や処分

▫️老後住まいの検討
→例えば、夫婦二人だけであれば、適切な間取りへの住み替え、また高齢化を見据え戸建てからマンションへの引っ越し、バリアフリー化へのリフォームなどの検討

▫️老後資金の確保
→年金制度にのみ依存しない資産形成や、老後を充実させるための余裕資金作り

▫️健康管理
→リタイア後を健康に過ごすための健康維持活動

▫️長く付き合える趣味作り
→仕事や会社以外での交流、自分の居場所づくり

▫️やりたいことのリストアップ
→思いついた老後にやりたいことのメモ、リスト化(忘れてしまわないように)

▫️生活の見直し
→資産状況に応じた適切な老後生活費の設定、現在の生活からの見直し、各種保険の適正化など

 

どれも至極当たり前の内容ではあるのだが、実際にはリタイアはまだまだ先であるからと、これらの検討や備えを後回しにしがちという方も多い。一方で、すでにある老活の関連記事の多くでは、直前であたふたしないためにも、40代から着手するべきである!などの主張が目立った。

 


②私の老活について

 

私は、30代中盤の初海外駐在で派遣員の特権に触れたことにより、この海外駐在の継続による本業収入の増加、住居費や水光熱費、医療費などの会社負担による現地生活費支出の減少、持ち家の貸し出しによる資産運用、これら三拍子により、定年より少しだけ早退し、第2の人生をフライング的に始めるというプチ アーリーリタイアというものを企画し、適宜見直しを加えながら、日々その実現へ向けた準備に取り組んでいる。

つまり、その前倒しを含めて、この老活項目の殆どを既に推進していると言える。

 

老前整理の中にある財産の把握や整理については、資産形成(やポートフォリオの評価)として鋭意取り組み中であり、老後の住まいについても、移住先候補も含め検討が進んでいる項目であり、趣味づくりや、やりたいことのリストアップも、バケットシート(死ぬまでにやりたいことリスト)を作成し都度更新している。老後資金の確保生活の見直しについてもまた然り、こちらの点についてはシミュレーションも万全である。

 

一方、ここで取りあげた項目の内、私もできていない点は、
🔸(老前整理の中の)私物の整理
🔸健康維持
の2つである。私物の整理については、まだ子育て期間中にあり、増えていくものもまだまだあるため、プチ アーリーリタイア実現時の両実家の中間地点への移住時にまとめて実施する予定である。

健康維持は・・・出来ていないという指摘への反論が思い浮かばない。社会人となって以降、体重と腹回りばかり成長している状況からも、頑張らねば!としか言えない。

 

老活については、いつから考え始めても、早すぎるということはない。老後を見据え、個々にに違いもあるその人にとってのリタイア後のリスクを把握し(熟考し)、それに備えるというのは、今の生活を見直すきっかけに繋がることもあり、まさに良いことづくめでもあろう。

 

既に私の知人友人へは、ライフプランシート(将来にわたる収入、支出、資産状況の見える化を含めた人生設計)の重要性を説いている状況にあるが、今後はこの(終活の前の)老活というキーワードも交えて話をしていきたいと考えている。

※私自身、皆にアーリーリタイアを勧めているのではなく、ライフプラン(≒マネー)と向き合う癖をつける重要性の普及に取り組んでいるだけである点を申し添える。


引き続きプチ アーリーリタイア企画実現へ向け、老活にも邁進していきたい。

 

 

 

 

 

 

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本日もありがとうございました。

【早退関連110】持ち家 VS 賃貸 における「150の法則」

お越しいただきありがとうございます。

 

本日は、持ち家 VS 賃貸の検討に用いられるという「150の法則」についてとなります。

 

これまでにもこのブログ上で、持ち家と賃貸どちらが良いのか?という話題を取り上げたことがあるのですが、その際にも記載したように、これは比較検討のための前提条件をを付けずに議論しても結論に至りにくい事項となります。

例えば経済的(金銭的)にどちらが得なのかというような形であれば比較できるのですが、そのような前置きがなければ、双方に様々な分野のメリットが点在しているため、議論自体が平行線となってしまうことが多いということを記載しました。

hereticsalaryman.hatenablog.com

 

私自身も知らなかったのですが、経済的(金銭的)に持ち家と賃貸を比較する場合に、この150の法則というものが有効的なツールになりうるということのようです。

 

あくまで北米のケースで有効な法則とのことですが、折角巡り会えた情報でもありますので、こちらでこの法則とその考え方についてまとめていきたいと思います。

 

 

①150の法則とは


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150の法則とは、持ち家と賃貸を経済的(金銭的)に比較検討する際に、持ち家の毎月のローン返済額の150%(1.5倍)と、賃貸物件の毎月の賃料を比較し、安価な方に分があるという考え方である。


この法則は、カナダ在住のクリスティー氏によって提唱された。クリスティー氏は元コンピューターエンジニアで、30代で早期リタイアを成し遂げ、「FIRE 最強の早期リタイア術」という本を出しているのであるが、この中で上述のような150の法則というものを紹介している。

 

この法則を少し具体的に掘り下げてみよう。

一般的にマイホーム購入(例えば戸建住宅)を検討する場合においては、毎月の予定ローン返済額と、現在の賃貸物件の家賃を比較してどちらにするべきかを比較検討ことが、「ある意味」一般的だとされることが多い。実際に不動産の営業などから「今の家賃より安い返済額ですし、将来自分のものになるので持ち家購入が断然おすすめ!」というような謳い文句を聞いた方もいらっしゃるかもしれない。

 

検討例:
住宅ローン返済予定額 10万円/月
現在の賃貸物件の家賃 12万円/月

 

一見、この数字だけを見ると、家賃よりローンの返済予定額が2万円低いため、経済的(金銭的)な比較検討においても、持ち家購入で良い!という考えになる方もいるかもしれない。

しかしこの法則では、持ち家の場合、購入後の維持管理のための費用固定資産税、銀行などへ支払うローン金利売却時の手数料諸経費などを加味する必要があるため、賃貸との比較対象としては(北米場合では)、ローン返済額の150%と設定するべきであるというもので、今回のケースの場合では、持ち家10x1.5=15万円と、賃貸の家賃12万円の比較となり、経済的(金銭的)には賃貸の方が依然としてお得であるという結果となる。
※色々と言いたいこともあるが、ここでは内容の紹介のみに努める。

 

実際、こちらは平均的な北米地区での費用シミュレーションとして紹介されているようで、実際にクリスティー氏が試算した内容によると、住宅の所有にかかる追加コストは、(30年ローンの内)9年間の一般的な住宅ローンの利息とほぼ同額となり、その利息分はこの9年間のローン返済額のおよそ5割を占めている。つまり、毎月のローン返済額の150%のコストとなるということが言えるそうだ。そのため、北米では持ち家はローンの金額だけでなく、その150%が実質的なコストとなるという考え方とのことであった。

 

日本のケースでは、金利も違えば、毎年の不動産価格上昇率も、北米のそれとは違うため、この150%(1.5倍)という値自体は参考にならないのであるが、少なくとも持ち家を持つということは、それに付随する維持管理費、固定資産税、ローンの金利だけでなく、売却時には少なくない手数料や経費などもかかることを理解しておかねばならないという警鐘としての役割は大きいと言えよう。

 

本件は北米のケースで、この150%というものを導くために、同氏が実際に調べた具体例(根拠)も紹介されていたが、ここではそちらの紹介は割愛する。

 


②私の150の法則の捉え方

 

いきなり少し脱線するが、この法則の発案者は、所有者にとって自身が住む前提での持ち家は最悪の投資資産であるとも言っている。だからこそこの法則は、持ち家の場合の正しいコスト把握についての警鐘をならしているとも言えるのであるが、私自身、この持ち家が最悪の投資資産であるという点については、現在の日本においては半分は正解で、半分は不正解とも感じている。

 

あくまで経済的(金銭的)にどちらが得なのかという話なのではあるが、リセールバリューが保ちにくい(人口減少、都心一極集中が進む)郊外や田舎での持ち家となれば、持ち家は確かに最悪の資産ともなり得る。

 

一方で価値が上がっている、または長期にわたって保たれうる都心部の駅近物件であれば、その持ち家はインフレにも強い優良資産となる。

例えば20年後に買値で売却できた場合は、その20年間は管理修繕の費用、固定資産税、ローンの金利(超低金利)+再販にかかる費用(税+諸費用総額)のみで住むことができた魅力的な物件であるとも言えよう。
(資産としての持ち家を考えた場合であり、郊外や田舎の持ち家の場合でも、経済的・金銭的価値以外の面でも劣であるということは言っていない点、お含みおき願う。)

 

さて、本題のこの150の法則についてであるが、全てに当てはまるものではないが、非常に重要な着眼点であるとは言える。


私の実家のあるような辺鄙な片田舎で持ち家を検討するような場合は、持ち家は優良な資産とはなりにくいという点からも、(150%という値は別として)単純に家賃とローン返済額を比較するべきではないと言う点に激しく同意できる。更には将来自身が他界した際に、残された家族が固定資産税を払い続けなければならないという負のオマケまであるため、クリスティー氏の言う、持ち家は最悪の投資資産という主張も心に染みてくる。

 

一方で、やはり持ち家が善良な投資資産となるケースも、自身で体感している。10年以上前に購入したマイホーム(マンション)は、今でも購入価格を遥かに越える価格で取引されており、手数料を差し引いても当面買った値段より高く売れるという状態にある。更に駐在期間中に貸し出していた家賃収入まであるときたものだ。

 

今回、この法則に触れ、物事を比較検討をする場合は、与えられた表面上の情報だけを鵜呑みにせず、正しい基準で比較をすることが大切であるということを自身へリマインドすることにも繋がった。

 

早退実現のその時まで(そしてその後も)、世の中に溢れている未知なる考え方に触れて学んでいきたい。

 

 

 

 

 

 


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本日もありがとうございました。

【早退関連109】投資の三原則の重要性

お越しいただきありがとうございます。

 

本日は、投資の三原則とも言われております、「長期」「積立」「分散」についての話題となります。

 

既に投資活動を始められている方の多くは、この三原則を理解されている、またはこれらの原則に則った運用をされているかと思います。

かく言う私も、定年より少しだけ早退し、第2の人生をフライング的に始めるというプチ アーリーリタイア企画を十数年前に旗揚げして以降、「長期」「積立」については、所属している会社の持株会制度にて実践しており、その効果や重要性をひしひしと実感できているところです。

※海外駐在により、日本の非居住者となっている都合上、株式などへの投資活動が一部制限されており、「分散」投資は出来ておりません。

 

一方で、これまでにリスクを伴う投資活動をしたことがないような方の中には、例えば株式投資などはギャンブルだ!と感じていらっしゃる方も少なくないでしょう。

確かに、多くの投資活動では元本を割り込むリスクがあります。ただ、このリスクを最小限に抑えるためにも、この三原則は大きな役割を果たしますし、投資自体をギャンブルという「偏見」から、資産形成のための重要な「方策」へ変換させる鍵になるものだとも考えております。

 

ここからは、まず基礎の「き」でもあるこの投資の三原則についてそれぞれのポイントをまとめた上で、私のこれまでの投資活動について、この三原則に当てはめた評価をしていきたいと思います。

 


①投資の三原則 について

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投資行為には、そのリスクを低減させ、安定的に収益をあげるための鉄則とも評される、「長期」「積立」「分散」という三原則がある。

以下、夫々を詳しく見ていく。

 

a)長期
投資活動は、長期間の運用であればあるほど、複利効果が期待できるというものである。

 

過去の記事でも取り上げているが、複利とは投資・運用によって得た利益を元本に追加し、更に運用していくことを指す。

例えば、100万円を税引き後5%の配当が出る株式へ投資し、1年目にそこで得た配当金5万円を元本へ追加した場合、2年目は105万円からスタートできることになる。そして3年目には110.25万円となる。これが長期間続くことで、元本は次第に大きくなり、得られる利益も増大することになるのだ。

複利の力として、こちらも以前の記事で登場した「72の法則」に当てはめた場合、この初年度の100万円は約14年で倍となる200万円を突破することになる。(72÷配当5%=14.4年)

 

株式などの投資活動をしていると、ついつい短期的な値動きに振り回されがちであるが、経済成長がある市場の場合、長い目で見るとその資産自身も一緒に成長していくのが一般的とされ、時々による凸凹はあれど、長期保有しているとその資産自体が配当なども相まって右肩上がりになる傾向がある。

 

これが原則の1つ目、長期運用である。


b)積立
次は積立についてである。投資活動では、一定金額を定期的に投じる(=積立する)ことで、ドルコスト平均法による購入単価の平準化が進み、リスクを減らす効果が期待できるとされている。

 

ドルコスト平均法とは、前述の通り、一定金額を定期的に投入する手法である。こちらも株式投資の例として見た場合、毎月定額の10,000円で、ある株式を買い続けるという行為となるのだが、ある月の株価が1株1,000円だった場合、10,000円では10株購入できる。翌月1株1,500円に値上がりすると、同じ投資金額では約6.7株の購入となる。しかし、その更に次の月に株価が急落し1株500円に下がってしまった場合、同じ金額で20株購入できることになる。これらの3ヶ月間では30,000円を拠出して計36.7株を購入したことになる。


一方で、例えば同じ株式を毎月10株ずつ定数で購入していた場合は、この3ヶ月間では同じ30,000円の拠出で30株しか買えていないということになる。
つまり同じ30,000円の投資でも6.7株もの差が生まれることになるのだ。


また、これら以外の購入方法として、初月に一括購入する場合も考えられる。1株1,000円である初月に30,000円一気に買うケースだ。この場合も30株購入となり、同じくドルコスト平均法と比べると6.7株分を儲け損ねていることになる。

※但し、早くから大金を投じている点から、この一括購入は配当金による福利の効果が最も大きいとは言える。(ここはあくまで移動平均単価の優位性としてまとめている。)

 

定額購入の場合(ドルコスト平均法
N月     10,000円 10株購入 (株価1,000円)
N+1月 10,000円 6.7株購入 (株価1,500円)
N+2月 10,000円 20株購入  (株価   500円)
この場合、合計30,000円で36.7株購入できている(平均株価817円)

 

定数購入の場合(10株ずつ購入)
N月     1株1,000円を10株購入 10,000円
N+1月 1株1,500円を10株購入 15,000円
N+2月 1株   500円を10株購入   5,000円
この場合、合計30,000円で30株しか購入出来ていない(平均株価1,000円)

 

一括購入の場合(初月に全額購入)
N月 1株1,000円を30株購入 30,000円
この場合、合計30,000円で30株しか購入出来ていない(平均株価1,000円)

 

ここで注意したいのは、ドルコスト平均法も万能ではないという点である。例えば、株価が下落を続けている局面では、ドルコスト平均法(定額購入)の方が、上記で言うところの毎月定数の株式を購入する場合に比べて、損失が拡大することもあるし、逆に株価がずっと上昇を続けるような場合は当然、初月に一括購入する形が最も稼げる手法となる。前出の通り、損失のリスクを軽減する効果は確かにあるのであるが、場合によっては損してしまうケースや、大きな儲けに繋がりにくいというデメリットも把握しておかねばならない。


c)分散
最後の分散についてであるが、これは投資対象を分散させることでリスクを軽減するというものである。たまごは1つのカゴに盛るな!という格言にもあるように、投資も一極集中だと万が一の事態にその影響を丸被りしてしまう。

 

分散という考え方について、株式投資内での話の場合、
・複数の企業(分野)の株に分散させる
という狭義の分散も勿論あるのだが、そもそも国によるリスクを考慮し、
国内と外国の株式に分散させる
というような分散も効果的だと言えよう。更に、
株式だけでなく、不動産、金、債権などへ分散させる
というような、性質の異なるものへの分散もある。

 

自身での分散が困難な場合は、投資信託を活用する(プロの分散投資運用に任せる)というのも、信託報酬次第ではあるが、悪くない選択肢なのかもしれない。

 


②自身の投資活動と三原則について

 

私も社会人となってすぐに、口座管理手数料が無料であったミニ株から始め、これまでの20数年で紆余曲折、時に大損失などを経験してきている。


短絡的に国内株式の短期売買をしていた、所謂駆け出し時代における一番ひどいケースでは、株式保有していた会社が倒産したり、粉飾決算していたりなども重なり、一度に数百万円の損切りの実施というのも経験している。
この頃は、「短期」「スポット」「一極集中」と、言わばギャンブル的な火遊びであった。

 

ただ、このプチ アーリーリタイアを企画した10数年前からは、非居住者としての国内株式投資の制約もあることから、元々保有していた一部の他社株を除き、自社株への定額投資のみを粛々と実施してきている状況にあり、そこそこの金融資産評価額の増加につながっている。


そして今後も自社株による「長期」「積立」での運用を継続していく予定である。

 

この先、海外駐在が終焉し、再び国内勤務となってからは、持株会制度による自社株への投資は継続しつつも、それまでに蓄積している現金預貯金分を他の国内企業株や海外株式を前提とした投資信託などに振り分け、分散投資を進めていく予定である。

 

※海外駐在により日本の非居住者となっている今は、色々と日本国内投資への制約もあるため、株式投資活動としては自社株の定額購入のみとなっている。給与・賞与などの本業の収入だけでなく、株式投資でも自身の属する会社に依存する形となっているため、業績不振時などにおけるリスクが大きすぎるとも言えるのであるが、購入時に奨励金として10%の補助が付く点は捨てがたく、本帰国した後も、この持株会制度での自社株購入は限度額一杯で継続していくことにしている。

 

色々と記載してきたが、今後もこの投資の原則に則った運用のスタンスは崩さず、資産形成を進めて行く予定だ。

 

そしてこの先も、投資は決してギャンブルなどではなく、お金に働いてもらうという意味で、資産形成に必要な方策の1つであることを周囲の知人友人へも説いていきたいと考えている。勿論、投資は自己判断であり、リスクを伴うことも添えて。

 

 

 

 

 

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