突然の逮捕! 弁護士がアドバイスする、家族のためにすぐに行うべきこと
1.はじめに
(1)逮捕は突然やってくる!
逮捕は、予期せぬ瞬間に突然訪れます。特に、警察官は、逮捕のために早朝自宅に来ることが多く、学校や職場に行こうとしていたところ、そのまま連れて行かれてしまうということになります。
そうすると、その日以降の日常生活や学業・仕事に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
(2)家族が逮捕されたときの動揺と混乱
家族が逮捕されたときの動揺や混乱は、誰もが日常経験することのない特殊な状況です。
家族の突然の逮捕は、本人はもちろん、家族全体をパニックに陥れ、いったいどうすればよいのか、わからない状態にしてしまいます。
私も、逮捕された方の家族から緊急連絡を頂くことがありますが、家族の方が相当に動揺していることが感じられます。
しかし、まずは、冷静さを保ってください。家族の命が取られたわけではありません。
一方で、すぐに、具体的にアクションをすることが必要です。
おそらく、そのような状況では、大半の方がインターネットで法律事務所の記事を読み漁っているのではないでしょうか。あるいは、色々な知人に電話して相談しているかもしれません。
この記事をご覧になっている方は、もうそのアクションクションを始めていると言えます。
そうでない方も、ご自身や家族の万が一に備え、是非、読んでください。
(3)この記事の目的と概要
この記事の目的は、家族が逮捕されたとき、迅速に対応すべき事柄を順に説明することです。
2.逮捕された家族は、いったいどの警察署にいるか?
逮捕されると、通常は、警察署の留置施設に留め置かれます。たとえば、早朝、警察が家を訪れ、家族を逮捕していったのであれば、その警察官に聞いて教えてもらえば、どの警察署かは分かります。
一方で、別居している家族が、①逮捕されたことは知ったものの、どの警察署にいるか分からないという場合があります(たとえば、逮捕された方と一緒にいた友人から逮捕された旨を聞いたなど)。あるいは、②その家族としばらく連絡取れずに行方不明であるという場合に、何らかの犯罪の嫌疑で逮捕されている可能性もあります。
地方であれば、それほど留置施設のある警察署の数はそれほど多くないと思いますので、家族が、どの警察署で逮捕されているかは、比較的把握し易いかもしれません。
しかし、たとえば、東京ですと、逮捕された者が留め置かれる警察署は数多くあり、必ずしも、住居地の近くとも限りません。事件の現場で現行犯逮捕され、管轄の警察署に連れていかれたかもしれないからです。
もっとも、東京23区で、女性の場合には、東京で在監される可能性のある警察署は、①東京湾岸警察署、②原宿警察署、③西が丘分室の3か所に限られます(経験上おそらく)。
可能性のある警察署に連絡し、本人の家族であること等を告げ、在監の有無を確認することもできます。しかし、教えてくれないこともあるようです。
その際には、逮捕されたご家族の所在を確認すべく、すぐに弁護士に相談してください。
一方で、逮捕された本人が、家族と連絡を取りたいと警察に申し出る場合もあります。警察は、同居の家族であれば、本人の要望により、警察から家族に連絡してくれることもありますので、そのうち連絡がくるかもしれません。
もっとも、その家族と別居していたり、あるいは、(知人に過ぎず)親族関係でなかったりすると、警察が連絡をくれないことも多いです。
3.面会について
警察署にもよりますが、一般的には、平日の朝から夕方5時くらいまで(役所の通常の勤務時間帯に)面会ができることになっています。
しかし、逮捕直後から勾留されるまでは、事実上面会ができない場合が多いです。
というのは、逮捕の翌日ないし翌々日は検察庁へ送致(送検)され、その日は警察署から検察庁へ1日中出かけており、警察署に帰ってくるのは、夜になるのが一般的で、その日は事実上面会はできません。
また、その翌日も、勾留するか否かを決める勾留質問で裁判所に行っており、事実上面会はできないことが多いです。
ですので、弁護士に依頼し、家族の代わりに面会をし、逮捕された家族を、法的にも精神的にも、サポートすべきということになります。弁護士は、(私がここで書いているような内容を説明し、今後の見通しを述べ、)ご家族の不安と取り除くという意味でのサポートもします。
なお、逮捕に加え、勾留という言葉を使いました。
ここで、勾留について説明します。
逮捕から72時間以内に、①検察官が勾留請求をするか(さらに10日間、被疑者の身柄を留めおくかするか否か)を判断します。そして、検察官が勾留請求すると、②裁判官は勾留をするか否か決定します。検察官の勾留請求を却下すれば、その日に釈放されます。しかし、裁判官が勾留決定されると、通常、勾留請求日から数えて10日間は留め置かれることが多いです。更に、10日勾留が延長されることもあります。
刑事事件の弁護人として重要なのは、①検察官・裁判官に働きかけてこの勾留(決定)を阻止すること、②仮に勾留決定された場合でも準抗告で争い、被疑者ができる限り早期に釈放されるために活動することです。
しかし、逮捕されてから勾留まで2~3日の勝負です。如何に早く弁護士に依頼するかが重要かが分かります。
そうでないと、通常、10日勾留されてしまうと(逮捕から含めると12日)、通常は職を失ってしまったりしますよね。
もちろん、その間、(夜に)本人と面会してサポートし、更に、(家族から頼まれた、あるいは、本人から頼まれた)お金や衣類などを差入れします。なお、お金は、警察署の中で日用品を買う場合などに使用します。
4.終わりに
以上のように、家族が逮捕されたときの流れや弁護士に依頼することの重要性やメリットは十分にお分かり頂けたのではないかと思います。
弁護士(弁護人)は、家族の不安を取り除き、家族と協働して、逮捕された方のサポートをしていくのです。
逮捕されてから勾留決定がなされ得るまでの2~3日が勝負です。
しかし、ご家族としては焦ってしまうと、兎に角、弁護士に依頼しないとと思うかもしれませんが、弁護士費用がどれくらいになるのか気になりますよね。一般の方の感覚だと結構な高額になる場合がありますしね。
それは、まだ、次回記事にしたいと思います。