フルータリアンの備忘録

フルータリアンとは、果物を主食にしているベジタリアンのことです。人間は果食動物? 果食動物で死ぬ?

フルータリアンの基礎は菜食にあり――知っておきたいロマリンダ食

2022-03-30 | 20 世紀に学ぶ
■ フルータリアンにいたる道

普通の食生活をしていた人が、いきなりフルータリアンの食生活を始めるのは珍しいことです。
私の場合もそうでしたが、多くの場合、次のようなステップを経てフルータリアンに近づいていきます。

ベジタリアン(菜食主義)

ヴィーガン (完全菜食主義)

ローフード (生菜食) の導入(生食率を30%→50%→70%と徐々に上げていく)

フルータリアン(果菜食)

それぞれの段階に応じて超えるべき壁のようなものがあり、少しずつステップを踏みながら体を慣らしていく方が、最終的には長続きします。
実際、既にヴィーガンを実践していてローフードやフルータリアンに興味を持ち始めたという人の方が、圧倒的に長続きする可能性が高いです。

よって、今まで普通の食生活を送っていた人でフルータリアンを実践してみたいという人がいたら、「まずは菜食から始めてみてはどうか」「果物多めの菜食スタイルを試してみてはどうか」と提案すると思います。

例えば、日本でヴィーガンを実践する上で超えるべき壁の一つとして、スープに使われている出汁 (だし) をどうするかという問題があります。
大半の出汁は鰹節が使われているため、これを避けようとすると外食での選択肢は大きく狭まります。
だからといって自分で出汁を準備するのも手間だったりします。

そこで、うどんやそばを出汁を使わずに美味しく食べる方法はないだろうかと考えるようになるわけです。
そして、実際、四国地方には醤油うどんというメニューがあることに気付きます。
残念ながら現在の醤油うどんは出汁が使われているのですが、20 世紀前半頃、うどんに純粋な醤油だけをかけて食べていたという記録があり、しかも大変なご馳走であるとされていました。
そして今度は、どんな醤油がうどんに合うだろうかと試行錯誤を始めるようになります。

このような模索を重ねながら、そして、その過程で得られる様々な気づきを増やしながら、少しずつステップを踏んでいくわけです。
やはり食生活というのは、子供の頃から何十年もかかって身につけてきた習慣ですから、急激な変化には耐えられないのだと思います。

多くのフルータリアンはこのようなステップを経てフルータリアンになっているので、自分はベジタリアンである、またはヴィーガンであるとのアイデンティティを持っていることが多いのです。
今のところ日本では菜食主義者は少数派ですから、同調圧力が強いと言われる日本社会の中で、嫌でも自らのアイデンティティを意識せざるを得ないでしょう。
特に、「菜食主義者 VS 非菜食主義者」の健康上の議論に巻き込まれるのは必至です。

このような議論が巻き起こった場合、栄養学の最先端の論文を研究されている方などが、「最新の栄養学はますますプラントベースの食事を支持している」と総括して教えてくれることがあります。
これは世界中の研究者によって、もう何十年も前から叫ばれ続けていることです。
その一方で、菜食は健康に悪いという記事や論文も少なからず見つかることから、これらが非菜食主義者に取り上げられて、議論の応酬が続くことになります。

このような場合、両陣営とも、比較的最新の研究を持ち出してきて議論し合うことが多いようです。
しかし、そのような最新の研究に頼らなくとも、菜食の健康上の優位性という点については、20 世紀の時点で既に証明されているのだと思います。

それを最もわかりやすい形で示しているのがロマリンダ食です。

■ 禁煙・禁酒・菜食の町 ロマリンダ

ロマリンダとは、米国ロサンゼルスの東方 100 キロメートルに位置する小さな田舎町のことです。
ロマリンダは、キリスト教の一教派「セブンスデイ・アドベンチスト」(Seventh Day Adventists = SDA) の信者によって作り上げられました。
町の多くの住民は菜食主義者であり、町ぐるみで健康食・自然食運動が実践されてきました。

現在においてもロマリンダは有数の長寿地域として知られ、"アメリカにおける唯一のブルーゾーン"とも言われています。
ブルーゾーンとは、作家で探検家のダン・ビュイトナーによって調査・提案された、現代世界における 5 大長寿地域のことです。
(イタリアのサルデーニャ島、米国カリフォルニア州のロマリンダ、コスタリカのニコヤ半島、ギリシャのイカリア島、沖縄の大宜味村)
"一般のアメリカ人よりも 10 年長く生きるスリムな人々"といった文句で紹介されることもあります。

ロマリンダで最も活発な産業は医療事業であり、多くの市民が医療活動に従事しています。
ロマリンダは、人口一万人弱の小さな町でしたが、1984 年にロマリンダ大学医療センターが、世界で初めてヒヒの心臓を赤ちゃんに移植するというショッキングな手術を行ったことで、世界的に有名になりました。
その次に活発な産業が出版・教育事業です。
出版・教育事業に力を入れているのは、同教派が「キリストの再臨のメッセージを全世界に宣べ伝えることを使命としている」ためです。
現在、信徒数は世界全体で 2000 万人を越えており、日本での信徒数は 1 万 5 千人余だということです。

本記事では、現在のロマリンダではなく、20 世紀後半のロマリンダに焦点を当てようと思います。
大規模で貴重な栄養疫学調査の大半は、20 世紀後半に行われているためです (よって現在の状況とは異なる記載もあります)。

アドベンチストが菜食を実践するのは、聖書に
「神がはじめに穀類、堅果類、果物、野菜などの菜食を人間の食物として与えられた」(創世記第一章)
ことが記載されているためです。

また、次に挙げる五つの生活原理を日常生活の心がけとしています。

[1] バランスのとれた食事をする

[2] 自然治癒に努める

[3] 病気にならないよう予防を心がける

[4] 精神衛生に注意する

[5] 神と人間に対して愛を持つ

これら生活原理の内、特に[1][2][3]を忠実に守ろうとすれば、菜食だけではなく、禁酒・禁煙の習慣にもつながっていくわけです。
酒やタバコは、はっきりと「有害なもの」として認識され、町のスーパーマーケットでも売られていませんでした。
また、精製した小麦や砂糖のような"非自然食品"は、食料品売り場の片隅に追いやられていました。
香辛料やカフェインの入ったコーヒーやコーラなどの嗜好品も、"反自然飲料"と考える人が多く、避けられる傾向にありました。
[3]の病気の予防の観点から、適度な運動を心がけようとする人も多く、健康維持のために様々なスポーツやエクササイズが実践されていました。

■ SDA 栄養疫学調査

ロマリンダのような、禁煙・禁酒・菜食を実践する社会集団は珍しく、熱心な研究対象になってきました。
代表的で重要な疫学調査を取り上げたいと思います。
なお、各調査では、セブンスデイ・アドベンチストのことを「SDA」と簡略的に表します (Seventh Day Adventists = SDA)。

☆ セブンスデイ・アドベンチストの 5 つのダイエットグループと、グループ別の疾患発症リスク

最も大規模な疫学調査の一つが、2002 年から行われている AHS-II (Adventist Health Study II) と呼ばれる調査です。
米国とカナダの約 10 万人の SDA が調査対象になっています。
セブンスデイ・アドベンチストの食スタイルで最も多いのが卵乳菜食でしたが、信仰の度合いや信仰を食生活にどれほど反映させるかによってばらつきが生まれます。
本調査では、研究対象の人数が多かったこともあり、以下の 5 つのグループに分類して健康状態を比較することができました。

・グループ 1:ノンベジタリアンの SDA (ノンベジ)

SDA の中で最も大きな割合を占めるグループで、全体の 43.7%を構成。
果物、野菜、乳製品、卵、魚、鶏肉、赤肉を含むすべての食品群を食べる。
5 つのグループの中で最も不健康なグループ。

・グループ 2:セミベジタリアンの SDA (セミベジ)

すべての食品群を食べるものの、魚・鶏肉・赤肉の消費量が極めて少ないグループ。
SDA 全体の 8.3%を占める。
健康状態は、ノンベジタリアンよりも優れている。

・グループ 3:ペスコベジタリアンの SDA (ペスコ)

果物、野菜、魚、卵、乳製品は食べるが、赤肉や鶏肉は食べないグループ。
SDA 全体の 9.7%を占める。
赤肉や鶏肉を食べるグループより健康状態が優れている。

・グループ 4:ラクトオボベジタリアンの SDA (ラクトオボ)

動物性食品の内、卵と乳製品は食べるが、魚、鶏肉、赤肉を食べないグループ。
卵、牛乳、チーズ、ヨーグルト、バター、アイスクリームなどの卵・乳製品を食べる卵乳菜食。
SDA では二番目に多く、全体の 34%を占める。
魚、鶏肉、赤肉を食べるグループより健康状態が優れている。

・グループ 5:ヴィーガンの SDA (ヴィーガン)

食事のすべてが植物性食品から構成され、魚、鶏肉、赤肉など一切の動物性食品を口にしないグループ。
いわゆる完全菜食主義者で、SDA 全体の 4.3%を占める。
最も素晴らしい健康状態を享受している。


各グループの割合と特徴を以下のようにまとめることができます。



次に、疾患別に、グループ同士で疾患リスクの比較が行われました。

・グループ別糖尿病リスク


ノンベジの罹患リスクを 1 とした場合、セミベジが 0.72、ペスコが 0.49、ラクトオボが 0.39、ヴィーガンが 0.22 と、ヴィーガンが最も低い。

・グループ別高血圧リスク


ノンベジの罹患リスクを 1 とした場合、セミベジが 0.77、ペスコが 0.62、ラクトオボが 0.45、ヴィーガンが 0.25 と、ヴィーガンが最も低い。

・グループ別体重比較 (BMI値)


ノンベジの BMI 値は28.3、セミベジは 27、ペスコは 25.7、ラクトオボは 25.5、ヴィーガンは 23.1。
ヴィーガンのみが、普通体重の範囲内。

☆ 平均余命の調査

次は、1974 年から 1988 年にわたって行われた AHS-I (Adventist Health Study I) と呼ばれる調査です。
カリフォルニア在住の 25 歳以上の SDA 信徒 34192 名が調査対象になっています。

・世代毎で平均余命を比較 (男性の場合)

すべての世代において、SDA の平均余命は、カリフォルニア住民を上回っていることがわかります。

・世代毎で平均余命を比較 (女性の場合)

男性の場合に比べると平均余命の上げ幅は少ないものの、女性の場合もすべての世代で、SDA の平均余命の方が長くなっています。

☆ SDA の死亡原因の比較

次は、SDA 信徒と 普通の食事をしている人とで、死亡原因を比較したデータです。
ロマリンダ大学で、1958 年から 1965 年までの 8 年間にわたって行われた調査で、カリフォルニア在住の約 5 万人の SDA 信徒 (35 歳以上) が調査対象になっています。
カリフォルニア全州の住民と比較しています。

平均寿命を比較すると以下の通りとなりました。

・カリフォルニア男性:71 歳
・SDA 男性:77 歳
・カリフォルニア女性:77 歳
・SDA 女性:80 際

個別の疾患毎の死亡原因発生率は以下の通りです。
カリフォルニア住民の値を 100 とした場合の SDA の値が示されています。


このように、すべての疾患において、SDA の方が低いことが示されました。
がんによる死亡についても、すべての部位のがんで、SDA の方が低い発生率となっています。
喫煙と深い関わりのある死亡原因、肺がん・口腔がん・咽喉がん・喉頭がん・気管支炎・肺気腫・膀胱がん、においてはかなり低い発生率となっています。
また、飲酒と深い関わりのある死亡原因、食道がん・肝硬変・交通事故においても明らかに発生率が低くなっています。

非喫煙の習慣のみが、低い死亡率に寄与しており、菜食の習慣は関係ないのではないかと考える人もいるかもしれません。
そこで、非喫煙の SDA と非喫煙の非 SDA のがん罹患率も比較されています。
そして、この比較においても、やはり SDA の方が低い値でした。

[非喫煙の SDA と非喫煙の非 SDA のがん罹患率を比較]

・がん全体の死亡率は、SDA 男性の場合で 85%、SDA 女性の場合で 78%。

・肺がんによる死亡率は、SDA 男性の場合で 67%、SDA 女性の場合で 42%。

・結腸直腸がんによる死亡率は、SDA 男性の場合で 67%、SDA 女性の場合で 42%。

・乳がんによる死亡率は、SDA 女性の場合で 81%。前立腺がんによる死亡率は、SDA 男性の場合で 93%。

・リンパ腫または白血病による死亡率は、SDA 男性の場合で 93%、SDA 女性の場合で 89%。

・全ての死因を総体的に比較すると、非喫煙 SDA 男性の死亡率は、非喫煙非 SDA 男性よりも 21%低く、非喫煙 SDA 女性の死亡率は、非喫煙非 SDA 女性よりも 9%低い。
冠動脈心疾患や卒中などのがん以外の死亡率も、SDA の方が低い。

この頃の日本では、一生涯のうち日本人の 4 人に 1 人はがんにかかると言われていました。
それが 21 世紀を迎える頃には、3 人に 1 人になり、今では、2 人に 1 人となっています。
これらは 50 年以上も前のデータですが、現代の日本人においてこそ意味のある調査研究でしょう。

菜食をするとがんの発生が少なくなる理由については、はっきりとしたことはわかっていませんが、2 つの観点から因果関係を推測することができます。
まずは、植物性食品に豊富に含まれる食物繊維、ビタミン類、ポリフェノール・カロテノイドなどの抗酸化物質が、がんを抑制する働きをしていることが考えられます。
もう一つの観点としては、肉を焼いたり揚げたりした場合に変異誘発物質が発生すること、また、PCB・PCD などの発がん性のある農業・工業用化学物質は、肉・魚・乳製品・油脂類に蓄積されやすいことなどが考えられます。
農薬というと果物や野菜を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実際には動物性食品に高濃度で検出されます。
世界的な環境活動家のジョン・ロビンズ氏も、
「すべての有害な残留農薬の 95~99 %は、肉・魚・乳製品・卵から体内に取り込まれている」
と述べています。
農薬の付着した飼料を家畜が食べることで、脂肪組織や筋肉組織に汚染が蓄積・濃縮されていくためです。

■ 日本の中のロマリンダ

「ロマリンダ」または「アドベンチスト」という名がつく病院があれば、菜食に理解のある病院である可能性が高いです。
最も古く長い伝統を持っているのが、1929 年に開設された東京衛生アドベンチスト病院です。
キリスト教系の病院ということで理由のない迫害を受けて、1945 年に閉鎖に追い込まれたものの、数年後に再度活動を再開して今日に至っています。
病院では菜食メニューが振る舞われ、禁煙教室や菜食料理講習会などの活動も盛んに行われてきました。

その他としては、神戸アドベンチスト病院や沖縄のアドベンチストメディカルセンターも長い伝統を持っています。
神戸アドベンチスト病院は、菜食レストランや菜食教室も運営しており、菜食のレシピ本なども出版しています↓

知花雅之著『神戸アドベンチスト病院栄養科スタッフがつくる おいしくて体にいい穀菜食レシピ』福音社

一度覚えてしまえばずっと使えそうなレシピが多く参考になります。

私は、事故や大病をして入院した経験などはまだないのですが、このような菜食に理解のある病院が日本にもあることを心に留めておきたいと思います。

セブンスデー・アドベンチスト教団の食品事業部である三育フーズも、菜食食品の会社として様々な菜食食品を手掛けています。
グルテンを抽出した代替肉を販売したのは三育フーズが日本初であり、昨今のヴィーガン食品への関心の高まりとともに菜食食品の需要も拡大しているようです。

このように、ロマリンダは遠く離れた日本においてもその活動を広げて、少なくない影響を与えてきました。  
日本人目線でロマリンダの存在を知ったときに改めて感動することは、飽食・肉食大国のアメリカにおいて、
ごく少数の社会集団でありながら、差別を受けることなく社会的に認められて、医療・出版事業を中心に大きな役割を果たしてきたことです。

これが日本であればそうはうまくいかなったかもしれません。
同調圧力の強い社会の中で、不当に差別されたり、偏見を持たれたり、嫌がらせを受けたりする可能性が高かったことでしょう。

アメリカには、互いの考え方の違いを自由として尊重する文化があります。
様々な人種がいるので、考え方の違いを認め合わないと社会的にやっていけないという側面もあるでしょうが、日本人としてはその態度に学ぶ点も多いはずです。
また、菜食同士の夫婦であっても、細かなスタイルの違いはどうしても出てくるものですが、こちらにおいても個人の自由としてお互いのスタイルを認め合う傾向が強いようです。

■ セブンスデイ・アドベンチストは果物をどのように捉えていたか

セブンスデイ・アドベンチストは果物をどのように捉えていたのでしょうか?
セブンスデイ・アドベンチストのリーダー的存在であり精神的な支柱でもあったエレン・グールド・ホワイト (1827 年~1915 年) の言葉を基に推察してみたいと思います。

エレン・グールド・ホワイトは、宗教家・教育家・著述家として、セブンスデー・アドベンチスト教会の創立において指導者的役割を果たした人物です。
「預言者」とも呼ばれており、生涯で見た幻の内容は文書として大切に保存され、教会の中では聖書に次ぐ重要文書という扱いを受けています。

☆ 果物から受ける祝福

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アダムがエデンの家郷を失ったとき、主が果物の供給を断たれなかったことに対し、私は神にとても感謝している。

『Statement from E.G.White Manuscript files』157 節、1900 年
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年間の大部分を通じて新鮮な果物が得られる国々に住んでいる人は、そのような果物によって受ける祝福に気付くよう主は望んでおられる。
木から採ったばかりの新鮮な果物に頼れば頼るだけ、その祝福も更に大きいのである。

『Testimonies for the Church. Vol.7』126 節、1902 年
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→ もともと初期の人類は果実が豊富に採れる森に暮らしていましたが、道具を発明して狩りをすることを覚えたり、農耕技術を発展させたりして、自らの生存領域を森以外に拡大させていきました。
人間は森を捨て去りましたが、森は人を見捨てませんでした。
その果実を通じて人間の健康を支え続けたのです。
アダムとイブは、旧約聖書の『創世記』に登場する理想郷「エデン」を追放されることになりましたが、それでも神によって果物の供給だけは断たれることがありませんでした。
果食に原始回帰的な意味合いを見出す人もいます。
失われてしまった森とのつながりを果食を通じて取り戻すという感覚です。

☆ 果物は最上の食物、しかし食後の果物は NG

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加工されず、単純であるが、量の豊富な果物は、神の働きのために準備している人々の前に備え得る最上の食物である。

『Statement from E.G.White Manuscript files』103 節、1896 年
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健康を支える仲介者として、我々は特に果実を推薦する。
しかし、他の食物で十分にまかなった食後に食べてはならない。

『Statement from the E.G. White Manuscript files』43 節、1908 年
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→ 加工されていない自然のままの果物が、最上であると言っています。
また、食後に果物を食べるのは良くないことも指摘しています。
消化が複雑になるためでしょう。
ビタミンという言葉すらも存在しない時代に、この原則を見抜いていたのはすごいことです。

☆ 食事の際に大量の飲み物を飲むのは変?

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大量に食塩をとってはならない。
ピクルスや調味料の入った食物を用いることを避け、豊富に果物を食しなさい。
そうするならば、食事のときにあれほど飲物を要求させた刺激は、大部分消失するであろう。

『Medical Ministry』305 節、1905 年
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→ ローフードは、食べ物自体にたっぷり水分が含まれているので、飲み物を特別に添える必要がなくなります。
逆に、普通の食事をしていたときはなぜあれほどまでに水分を欲したのだろうかと考えたくなります。
その一つの原因として、加熱食品特有のある種の"刺激"が考えられます。
単に水分を補給するためだけではなく、この"刺激"を抑えるためにドリンクを飲んでいたのかもしれません。

☆ 臨時のフルーツファスティング

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不摂生な食事が、しばしば病気の原因であって、身体が最も必要とすることは、これに負わされた無理な重荷を除くことである。
いろいろな病気の場合に最もよい治療法は、過労した消化器官が休息する機会を得るため、患者が一度か二度食事を断つことである。
数日間、果物だけの食事をとることは、しばしば頭脳労働者の荷を大いに軽減してきた。
多くの場合、短期間絶食をし、その後に単純で過度の食事をすることにより、自然そのものの回復力が働いて、全快に至らせた。
一、二ヶ月の節制した食事は、多くの苦しむ人々に、克己の道が健康への道であることを確信させることだろう。

『Medical Ministry』235 節、1905 年
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→ 不摂生な食事が多くの病気の原因であることは、この時代に既に知られていました。
また、酷使された消化器官の負担を取り除く上で、果物だけの食事が有効であることも知られていました。
果物だけの食事は、消化器官を休めるのに役立つだけではなく、豊富な栄養と浄化力によって、自然そのものの回復力が働くのを助けます。

☆ 有害な食品の代わりとして

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我々の医療機関においては、禁酒について明瞭に教えるべきである。
患者に、人を酔わせるアルコール飲料の害と絶対禁酒の祝福を示さなければならない。
彼らの健康を破壊したものを廃止するよう患者に求め、このような食物の代わりに、果物を豊富に与えるべきである。
オレンジ、レモン、プルーン、桃など、またその他多くの種類の果物を手に入れることができる。
骨折って努力が払われれば、主が造られた世界は実り多いからである。

『Statement from E.G.White Manuscript files』145 節、1904 年
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→ アルコールや砂糖などの健康に良くない食品の摂取を完全に断つのは難しいことです。
それらを断つことだけに意識を集中するのではなく、代わりの食品として果物を導入するのはよい方法です。
果物を多く食べていると、味覚が自然な状態に近づき、有害な食品が与える強い刺激に違和感を感じるようになります。

☆ 果樹園から採れたての果物は格別

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家庭も機関も、土地の栽培と改善のため更に努力することを学ぶべきである。
土地が季節に従って生じる地の産物の価値を人々が知りさえすれば、土を耕すために、もっと勤勉な努力が払われるはずである。
果樹園や農園から採れたての果物や野菜の特別な価値を、すべての者が知るべきである。
患者や学生の人数が増加するにつれて、更に広い土地が必要になってくる。
ブドウの木を植えて、その機関がブドウを生産することもできる。
また、その土地にオレンジ畑も有利である。

『Statement from the E.G.White Manuscript files』13 節、1911 年
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→ 土地の有効利用について述べた言葉です。
採れたての果物や野菜こそ健康に最善であり、果樹の栽培を積極的に検討すべきだと言っています。

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【参考文献】

1. 箕浦 万里子『ロマリンダの長寿食―アメリカの町ぐるみ自然食実践レポート』自然の友社 (1985)
2. 知花雅之『神戸アドベンチスト病院栄養科スタッフがつくる おいしくて体にいい穀菜食レシピ』福音社 (2013)
3. Elvin Adams MD MPH. The Healthiest People: The Science Behind Seventh-Day Adventist Success. iUniverse (2019)
4. Ellen G. White. Counsels on Diet and Foods. Ellen G. White Estate, Inc. (2010)
5. エレン・G・ホワイト『食事と食物に関する勧告』サンライズミニストリー (2002)
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4 コメント

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Unknown (フルータリアン修行中)
2022-04-13 12:29:44
仕事の日や外出時のお昼なども、生のフルーツを持参していますか?
Unknown (管理人)
2022-04-13 13:37:42
仕事は在宅ワークなので、自分の食事は全部自分でコントールできるのでその辺は恵まれています。外出時は、デーツを持参することもあります。会社員時代は、朝と夜の2食で、「昼ご飯は食べない人」という感じでした。「昼ご飯食べると眠くなって仕事に集中できないから食べない主義なんです」って言ってました。フルータリアンであることは自分からは言ってなかったですね。
Unknown (フルータリアン修行中)
2022-05-09 19:03:53
ありがとうございます。
私も仕事の日は昼ごはんを食べないことにしています。
デーツは食べ過ぎると「糖化」を起こして、老化を促進するというのは本当なのでしょうか?
Unknown (管理人)
2022-05-10 20:44:29
「糖化最終生成物であるAGEが、老化を促進する」ということで記事になったり、話題になったりしていますね。
私もそこまで詳しいわけではありませんが、
ネットで、「AGE 量 ランキング」などで一度検索してみて欲しいと思います。
基本、高温調理でAGEが増加するので、焼き肉系食品のAGE量 (100グラムあたり)が最も多く、4桁~5桁レベルです。
それに対して、果物は圧倒的に低く、リンゴで13(ku/100g)くらい、焼きリンゴでも45(ku/100g)くらい。

デーツは、木の上で天日干しされたものを収穫するので、高温処理はされていません。
何千年もの間、美容食品として親しまれてきた食品ですが、この伝統をさしおいて「デーツは老化する」と意見するには、専門家として随分と勇気がいることだと思います。
でも、きっと、そのようなお医者さんもいるのでしょうね(特に、低糖質食を推進している方々)

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