子供の頃にうっすら考えていたこと
もしかして僕は監視されてるのでは
この世にいる人は僕だけなのでは
そんな妄想をこっそりと隠していた
物心ついてから僕は知ることになる
この世に同じ妄想をしてる人がいる
外国映画しかり手塚治虫作品しかり
造られた虚構に住む主人公がいた
僕以外の人は僕が役を演じるため
予め作られた役割を果たしている
この世に存在する物質はすべて
僕が喜怒哀楽を示すための道具
たくさんある国々の歴史も虚構で
日本で起きる様々な事件も虚構で
ひとたび僕がその場から離れれば
それは無用になり消去されるもの
そんな自己中心的な妄想をしてた
子供の頃の自分はやはり我侭で
平気な顔して他人の心を傷つけた
ごく簡単に他人の尊厳を傷つけた
他人も己と同じ悩みを持つ存在で
他人も己と同じ痛みを感じることを
想像ができる大人に成長するまで
僕はずいぶん嫌な性格だったかも
いつしか他人をいたわることを覚え
己を殺して他人を生かすことを知り
我侭で最悪な性格を捨て去ったとき
僕の隠し持ってた妄想は消えていた
~サラリーマン吟遊詩人