KAWORUの山日記~今日も雲の上!

百名山や日本アルプスの旅の記録

大歩危・祖谷から剣山~四国の秘境でゆる登山 2021.10.30-31 [剣山1,955m]

2021-11-08 14:33:59 | 中国・四国・九州の山

大歩危駅を昼過ぎのバスで発つ。特急が停車する無人駅は珍しい。見ノ越までバスは曲がりくねった祖谷の山間を進む。平家落人伝説の地で、山の傾斜地に集落が散在している。乗客は私たち以外におばあさんが一人。阿波池田まで2時間かけて買い物をしてきたようだ。「どこに行くの」と話しかけてきた。私たちがこんな田舎に何しに来たのか不思議だったのだろうか。見ノ越に近づくと紅葉シーズンのためマイカーであふれていた。

登山口の見ノ越から西島まで標高差300m。歩いて登れば1時間だが、登山リフトを使えば15分で着く。西島から山頂まで道は3本あるが、道を間違えて直登コースに入ってしまった。トラバース道で軌道修正して大剣神社に出た。ご神体らしき大岩の下に神社がある。このあたりは道が縦横にあるのでどこを歩いても1時間以内で山頂にたどり着く。

西島から40分ほどで剣山と次郎笈(ジロウギュウ)の分岐に出た。次郎笈までミヤマクマザサに覆われたなだらかな道が続く。ここは太平洋からの風の通り道なのか、強烈な風に指先の感覚がなくなった。あまりの寒さで次郎笈登山をあきらめ、峠手前から分岐に引き返して剣山を目指す。歩いた距離はわずかなのに疲れた。山頂は平らで広く、木道が一帯に敷かれている。私たちが山頂に到着するのを待っていたかのように周囲はガスに覆われた。

山頂直下、神社に並んで頂上ヒュッテがある。この雰囲気は石鎚山と似ている。数年前に改装されたそうで、木をふんだんに使った屋内は気持ちがいい。わずかな追加料金で個室も使える。風呂があり、アルコールの種類も多い。さらに山頂測候所のおかげで電気が通っている。消灯時間がないので個室で一晩中飲みあかせる。私たちのようなのんびり登山派にはありがたい。田中陽希さんが訪れた際の写真が飾ってあった。外気温5度。

翌朝は雨。雨上がりを待ってふたたび山頂を散策。雨の後の次郎笈が美しい。遠く三嶺からの縦走路が望める。南は太平洋、北は瀬戸内海。天気が良ければ大山まで見えるそうだ。リフトの休憩所に観光ポスターがあった。農作業中のお年寄りの写真と「ななめの畑で、真直ぐ生きる」のキャッチコピー。祖谷の生活をうまく表現している。リフトで下山。

見ノ越からバスで新祖谷温泉のホテルかずら橋へ。昼食プランは、でこまわし、祖谷蕎麦、シシ鍋、アユの塩焼き、…、豪華だ。祖谷にはケーブルカーに乗って露天風呂に行くホテルが2軒あるが、ここはそのひとつ。遊園地のアトラクションのようで面白い。天空露天風呂からは目の前に里山風景が広がる。緊急事態宣言が解除されてから連日満室だとか。お昼の客が私たちだけなで、秘境の生活を根掘り葉掘りたずねたが、ていねいに教えてくれた。

フロントでかずら橋まで行くと伝えたら、ありがたいことに車で送ってくれた。かずら橋を見るための橋が隣に架かっており、夕暮れ時なのに観光客が多い。平家の落人が追っ手を退けるために、切って落とせるカズラで作ったのが始まりだとか。現存するのは3つだが、この橋を渡るために遠くから多くの人が訪れる。小さな橋を観光資源にした発想は素晴らしい。

夕方、大歩危駅で観光協会の方が私たちの忘れ物を手にして待っていてくれた。祖谷の人は素朴で親切だ。

「ななめの畑で、真直ぐ生きる」

過疎地、限界集落などと呼ばれる村の暮らしを垣間みた山行でした。



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