【厳選】たった一冊で満足できる傑作マンガ
知らないマンガを読んでみたいけど、長いのはちょっとなぁと思ったことありません?
僕はあります!(断言)
そこで、今回はそんな時に読みたい、一巻できっちり完結するおススメマンガをご紹介します。
ストーリー重視派なので短編集は入れていません(連作短編集はあり)。ちょっと時間が空いた時に読むといいと思うよ。
3巻未満で完結するおススメマンガはこちら
『ベンケー』(さそうあきら)
走る。ただそれだけに青春のすべてを賭ける!
陸上の短距離走に青春をかけている女子高生と、彼女の家に居候することになった男の子、そして天才短距離走者の話。
『神童』や『トトの世界』などで知られるさそうあきらの隠れた名作。
下手に見えてじつは上手いのほほんとした絵と、繊細この上ないストーリーが見事にマッチしています。スポーツ漫画好きにもおススメ。「胸が邪魔だ」は名台詞だと思う。
得意なこととやりたいこと、夢と現実。青春のまぶしさと残酷さが全部つまってる
『シーソーゲーム』(さそうあきら)
淡く交差する少年と少女の恋物語
だらしない野球部員と幼なじみで野球をこよなく愛する女の子の話。
これまたさそうあきらのスポーツ物系青春マンガ。
すれ違ったり近づいたりする主人公とヒロインの距離がたまらなくいい。決して熱血ではないんだけど、なんか熱くなるスポーツ物。スイカのエピソードは必読!
儚くも微笑ましい。懐かしい初恋をきっと思い出す一作
『マイ・ブロークン・マリコ』(平庫ワカ)
圧倒的な画力に酔いしれろ!
自殺してしまった元同級生の親友の骨を奪い、旅に出る女性の話。
平庫ワカのデビュー作。物語もキャラもすべてがいいんだけど、それをもかすませるぐらいに絵が上手い。どのページもすべてがポスターにできそうな品質。そのうえ、マンガとしての表現も秀逸。すべての絵が訴えかけてくる。壮絶な物語を最高の絵で楽しもう。
表情、構図、演出、見せ方、すべてが一級品
『雑草たちよ 大志を抱け』(池辺葵)
人のやさしさに涙がこぼれ落ちる
あまりパッとしない女子高生たちの青春を描いた連作短編集。
ほんわかとした絵とは裏腹に内容はかなりシビア。とはいえ決して暗くはなく、むしろ優しさに満ち満ちている。どこにでもいるような女の子たちの姿は、とんでもなく共感を呼ぶ。何度読んでも泣いてしまう、女子高生モノの傑作。ひーちゃん、最高。
これ読んで泣かない人とは友達にはなれません
『リバーズ・エッジ』(岡崎京子)
読む者を圧倒する青春マンガの金字塔
いじめられっ子の男の子と死体を見に行く女子高生の話。
たぶんものすごく有名な作品です。岡崎京子の描くマンガって、好きなことをやってるチャラ系の人たちが「それでも時にはさみしいよね」とか言ってるようなイメージがあって、そんなに好きではないのですが、これは別物。アンチ岡崎京子ファンさえも唸らせるとんでもない一作。映画を観てダメだった人にもぜひ読んでもらいたい。
人間の持つ陰の部分がぐいぐいと心を鷲づかみにしてくる
『X細胞は深く息をする』(やまあき道屯)
映画を思わせるような壮絶な人間ドラマ
心臓病で亡くなった初恋の女性を思い、それぞれに別の医療の最先端の道を究めようとする二人の男の物語。
絵柄は好き嫌いが分かれそうですが、物語の濃度はすさまじい。まるでサスペンス映画のようなドキドキ感と、すべてが収束する強烈なラスト。かなり分厚い一冊だけど、読み終わったあとの満足感はほかでは味わえないと思います。
東野圭吾の作品とか好きな人はハマるはず
『あどりぶシネ倶楽部』(細野不二彦)
夢に向かう人たちはカッコ悪くて美しい
大学の映画研究会の面々の地味な映画作りを描いた一作。
『ギャラリーフェイク』などで知られる細野不二彦の隠れた名作。
映画に情熱を燃やす登場人物たちがひたすら熱い。ものづくりの楽しさを再確認させくれるマンガです。これ読むと、なんか作りたい気持ちにさせられます。
文科系青春モノの元祖。『左ききのエレン』とか『映像研には手を出すな!」とか好きな人向き
『うにばーしてぃBOYS』(細野不二彦)
何も考えずに読めるお気軽コメディ
何にもしないぐうたら大学生たちのはちゃめちゃな日常を描いたマンガ。
これまた細野不二彦の傑作。恋愛したり、パーティーに行ったりして、騒いでいるだけのマンガなのですが、キャラがみんな弾け切ってなくて地味に染みてきます。『あどりぶシネ倶楽部』と読み比べたいマンガ。それにしても細野不二彦はお話づくりが上手い。
現実の大学生はみんなこんな感じ。きっとどこかで共感できるはず
『アレルギー戦士』(石坂啓)
生きていることがつらいと感じているすべての人に
不良のレッテルを貼られた女子高生が、未来から来たおじさんと世の中を変えようとする話。
最近では政治的発言で目立つようになってしまった石坂啓の隠れた名作。
生きづらさということに焦点を当てて、現代社会を風刺したSF的作品。メッセージ性は強いけれど、どこか納得もさせられてしまうマンガとしての力強さがある。これを読むと、ああやっぱり石坂啓は手塚治虫の弟子なんだなぁとあらためて思わされる。
青臭いけれど真っすぐ。こういうマンガ、最近あまり見かけません
『私たちの幸せな時間』(原作:孔枝泳 漫画:佐原ミズ)
愛と死と生を考えさせられる究極の恋愛物語
ある死刑囚と自殺願望を抱えた女性との心の邂逅を描いた人間ドラマ。
愛とは何なのか、生きるとは何なのか、という問題を真正面から取り扱っている骨太マンガ。美しい絵と心をえぐるような物語が胸を打つ。原作は韓国の小説で、翻訳を北朝鮮拉致被害者の蓮池薫さんがしているのも意外な注目ポイント。
生きている意味とか真面目に考えたいときにおススメ
『とどのつまり』(原作:押井守 漫画:森山ゆうじ)
意味わからん! でも面白い!
記憶をなくした男が自分探しを続ける未来のおとぎ話。
押井守が作り上げた意味不明の世界観を森山ゆうじが力技で作品に落とし込んだような感じ。正直、わけがわからないところも多いのだけれど、勢いと爽快感は素晴らしい。変わったマンガが好きな人には絶対におススメ。
真面目に考えはじめると頭が爆発するのでご注意を
『外天楼』(石黒正数)
世界がひっくり返る驚愕の展開
外天楼という名のアパートをめぐって起こる出来事を描いた連作短編集。
一部で熱狂的なファンを持つ石黒正数の怪作。
読みはじめと読み終わりで180度世界が変わる。本当にもう驚きのひと言しかない。最初の話がつまらないと思っても、絶対に最後まで読んだほうがいい。よくぞ一冊でここまですごいことをやってのけた、とひたすら感心する、まさに怪作。
たぶん二度読みしてしまいます。それぐらい複雑で奥が深い
『童夢』(大友克洋)
AKIRAの影に隠れた大傑作SFマンガ
お爺ちゃんと小学生が超能力で殺し合う、という奇抜な設定がまず目を引く。しかも、舞台はある意味閉鎖空間とも言える超巨大団地。緻密な風景を描かせたら右に出る者のいない大友克洋の実力が存分に味わえる。ホラー的な要素もあり、ドキドキ感も半端じゃない。AKIRAで目立った球形に力が発揮される超能力も、この時点ですでに描かれている。
一気に読める芸術娯楽作品。相当に面白いです
『ハッピーエンド』(ジョージ朝倉)
依存しないではいられない三人の女性の青春物語
少女マンガ界の鬼才・ジョージ朝倉が描く青春とその後のお話。
男や友達にどうしても「依存」してしまう三人の女の子たちが、どんな青春を送って、どうその先へと足を進めたかを描いています。
描写のひとつひとつが、セリフのひとつひとつが、胸に迫るというのはこういうことを言うのでしょう。たとえ共感できなくても、彼女たちの姿には生きることのつらさや厳しさ、楽しさを感じられるはずです。少女マンガが苦手な人にもおススメ。
これは映画化してほしいなあ。それぐらいリアル
一冊もののマンガって、長編と比べるとどうしても物語やキャラクターが弱くなりがちですが、逆を言えば、一冊で仕上げているレベルの高い作品とも言えます。
たった一冊で読者を唸らせ、満足させる出来は感動もの。すぐに読めますので、ぜひチャレンジしてみてください。
※買ったけど読んでない一冊もののマンガも結構多いので、今後、また傑作を見つけ次第、随時追加していこうと思います。