定年帰農の成れの果て

定年で帰農し、「都市近郊における露地野菜経営の確立」を目指した20年弱の体験をもとにしたエッセイです。

3 北海道を離れる

2020-02-07 18:29:09 | エッセイ


 2001年7月。一郎と昭子は、小樽港発23時30分、敦賀港行きのフェリーのデッキに居た。
 小樽の夜景が、どんどん小さくなっていく。
 思えば、18歳の年、将来北海道で酪農をやろうと思い、上野駅から特急「はつかり」、真夜中の0時から青函連絡船「摩周丸」、5時函館発特急「おおぞら」に乗り次いで、初めて北海道に渡った。
 あれから途中中抜けはあるものの、通算30年の間、いい人や環境に恵まれ、当初の夢はかなわなかったものの、楽しい人生を送ることができた。
 昭子とは同郷での見合い結婚だった。
 赴任先の稚内に嫁いできた。
 結婚してから25年間に9回も引っ越しをした。その他、単身赴任1回。昭子は、慣れない土地で出産、子育てなど、苦労したと思う。
 今は、子供達も独立し、夫婦2人だ。
 夜景が見えなくなり、船室に戻っても次々と思い出がよぎってくる。
しかし、これからは、これまでの人々の恩は大切にしなければならないが、甘えてはならない。気持ちをリセットし、ゼロからの出発であることを覚悟する。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿