(参考資料:道立自然公園野幌森林公園要覧より)
1999年、秋、どこまでも広い空は、真っ青というより、ちょっと薄い青という感じ。一郎はこの薄めの青が好きだ。真っ青だとなぜか重圧感を受けてしまう。
ミズナラの群生した茶色の葉がまたいい。地味だが見ていると落ち着く。
ここは札幌の中心部から東方約12kmの野幌森林公園の一角にある北海道百年記念塔の前です。
この塔は、北海道開道百年を記念して1971年に一般公開された。
一郎は、ちょうどその年に札幌で就職し、よく独身寮の連中と、ここに来たものだ。
当時、開道百年と聞くと、長い間かかって発展してきたと感じていたが、それからもう30年弱も経ってしまっているのだ。
塔は、鉄骨でできているのだが、その錆が目立つ。
一郎は、公務員として北海道で公共事業の面から農業の開発に携わっている。
この30年の農業発展はすさまじく、酪農、水稲をはじめ、バレイショなどの畑作も機械化、大規模化が進み、サラリーマンの年収をはるかに超えた農家も数多くあり、家族で法人化し青色申告している農家もある。住宅も青や赤い屋根で見違えるほどモダンになった。
就職当時に道北の酪農家を見て回る機会があったが、厳寒の中、脆弱な住宅が気になってしかたなかった。
また、その頃の北海道産米は、全国的な米余りの中にあって、ヤッカイドウ米と言われていた。今はやっと品種改良が進み、内地米と肩を並べるまでになった。
北海道は、冷害に強く、多収が育種目標であったが、新潟県などに比べ、良食味米の改良が遅れた。しかし、今後、圃場の大区画、逆に冷涼な気候を生かし、低コスト、良食味米の生産が可能であろう。
<参考>あれから23年、「あの空に立つ塔のように」2023年NHK紅白歌合戦で大泉洋さんが歌いました。あの塔は、北海道百年記念塔をイメージされたものと推察します。この塔は2023年夏に解体されました。
2023.6.18撮影