陸奥・相馬中村城
所在地:〒976-0042 福島県相馬市中村北町。
城地種類:平山城。
築城年代:延暦年間頃か?
築城者:坂上田村麻呂?。
歴代城主: 相馬氏。
文化財史跡区分:県指定史跡。
妙見曲輪の空堀
福島県相馬市に、日本100名城や続日本100名城ではないが、県の史跡として良く整備された山城があり、巨大な水堀や空堀、桝形虎口等が施された見事な平山城があるというので行ってきました。2023.10.8.登城。
相馬中村城概要:
福島県相馬市の海岸近くの丘陵の先端に位置しており、(標高23m、比高15m)小高い丘陵の先端に築かれた平山城。1611年(慶長16)、相馬利胤が築城して小高城から移り、以後、明治初年に廃されるまで、260年にわたる相馬氏歴代の居城として、藩政の中心として機能しました。
東三の丸駐車場
こちらの東三の丸に駐車して場内を散策します。もとは重臣泉氏の屋敷がありましたが、のちに南二の丸より厩が移されて馬場となったとされています。車はここに停め、いったん東南の外堀まで移動します。
中堀・東南
こちらの中堀は南側~東側~北側へと、ぐるりと囲むように巡らされています。ここから外大手一の門へと向かい、内部へと入って行きます↓
こちらの中堀のフェンスは、こんな感じのオシャレな作りになっています。
外大手一の門
相馬義胤が武蔵国川越城の城番のときに、城門の堅固さに感動し、その門を真似て城門を改造したと云われています。では、早速内部へと入って行きます↓
当時の石?
先程の門を入ってすぐに、こちらのブルーシート上に置かれた石材が置いてありました。よく見ると石の表面に化粧が施されており、また矢穴も確認できました。
矢穴の跡がはっきりと確認できます。
武者落としの堀
外大手一の門と二の門の間にある桝形の突き当りに、「武者落としの堀」と呼ばれる堀がこちら↑
武者落としの堀にはこのような土塁が盛られ、この土塁上に狭間がついた土塀が設置されていたとされています。ここから東二の丸方面へと進ます↓
東二の丸・内堀
こちらの東二の丸の内堀は、埋め立てられる事なく、現在でもその姿をよくとどめています。
中の門・桝形虎口
こちらの桝形虎口、文政頃(1818~1830)までは二階建ての二の門がありました。こちらの桝形虎口東側に土塁があったので見てみます↓
桝形内部の東側となります。ここから東二の丸方面へと進みます↓
馬出の一部
東二の丸と本丸との間に丸土張(馬出)と呼ばれる施設がありました。その一部を現在でも見る事ができます。
内堀跡と鉢巻石垣
本丸の周囲は高く鋭い切岸で囲まれており、切岸の上部には鉢巻石垣がグルリと積まれています。これで本丸へと進みます↓
こちらの赤橋を渡って本丸内部へと入ります。
色々な石材
化粧が施された石材や、柱を差しこむ礎石と思われる石材もありました。
本丸相馬神社
かつてここ本丸の西南隅には、三重の天守が建てられていたが、寛文十年(1630年)に落雷で焼失し、以後再建される事はありませんでした。ここ本丸跡に相馬中村城の説明看板があったので見てみます↓
これで本丸の散策は終了、西へと向かいます↓
本丸黒橋付近の石垣
本丸の西南、黒橋付近に石垣を見る事ができます。石垣の下から2段までは遺構の感じがしますね、その上に積まれているのは恐らく近代の修復だと思います。
この辺りも下段の化粧が施された部分は、往時の石材っぽいですね。この黒橋から本丸の切岸と鉢巻石垣を見てみます↓
かなりの高さがありますね、しかも急斜面!土でこの角度は初めて見ました!
妙見曲輪の切岸
本丸の南西に位置する、妙見曲輪の切岸となります。この辺りから西側は、中世の土の城だった頃の名残りを見る事ができます。
この様な横堀が、妙見曲輪を囲むように掘られている様はまさに圧巻の一言。
西三の丸・空堀
こちらは西三の丸西側に施された横堀で、曲輪の北側~西側~南側までをカバーしています。
北二の丸・西門付近の空堀
本来、本丸の内堀は水堀なので水があるはずなのですが、訪れた当日は水が無い状態でした。
先程の場所から北側はご覧の通り、蓮池と呼ばれる池が広がっています。ここから対岸の北三の丸へと向かうのに桝形虎口があるので見てみます↓
土門・桝形虎口
北側から敵が侵入する場合、必ずここを突破しなければならない。だが、周りを蓮池の水に囲まれているので、狭い通路からの移動と攻撃を強いられるため、この桝形虎口を突破するのはかなり苦労する事が予想される。(よくできてるな)
外蓮池門跡
かつてここまで中堀があり、橋の辺りに蓮池門がありました。その遺構が現在でも少し残っています。
下城
これで相馬中村城の散策は終了、次の城へと向かいました。
陸奥・相馬中村城
見所ポイント:本丸、各曲輪、桝形虎口、鉢巻石垣、水堀、空堀、土塁、馬出、等
駐車場: 東三の丸駐車場(30台)。
総評:現在の福島県相馬市に位置し、標高23m(比高15m)小高い丘陵の先端に築かれた平山城。相馬氏260年の歴史を垣間見る事ができるここ中村城は、現在でもよくその遺構を残しており、日本100名城や続日本100名城にもまったく引けを取らない程の名城となっています。特に本丸周辺の切岸、鉢巻石垣、桝形虎口、城域西側の中世時代の空堀跡などはとても見応えがあります。こんな見応え抜群な相馬中村城に週末あたり訪れてみてはいかがでしょうか。