若林栄四 ニューヨークからの便り wakabayashi

円高へのカウントダウン

2025/02/07

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ドル円は昨年7月3日の天井161円97銭からの31週目の2月4日辺りから警戒警報を発していたが予想通り2月5日に2円近い大陰線を引いて、局面転換を示唆した。

すでに申し天井上げているように昨年7月3日の天井161円97銭は、2007年6月22日の高値124円16銭からの17年サイクルトップであった。2007年のもう一つ前の17年サイクルトップは1990年4月2日の160円33銭である。

1990年4月の160円から1995年4月の79円75銭の超円高ピークまで50%、80円の円高、2007年6月の124円から、2011年10月の円最高値75円53銭まで39%の円高と17年サイクル・トップの後は強力な円高が進行している。

今回は昨年7月の天井に次いで2番天井1月10日の158円88銭までご丁寧にやっているのでますます、そのあとの円高はスピード、幅ともに厳しいものになるだろう。

為替相場は金利差で動くなどというデイトレーダー派の似非エコノミストの言辞を信じてはいけない。そうしたフローの要因と、もう一つは相場にはバリューの要因がある。

株価でも経済好調で上がり続けるということはない。どれだけ好調でもバリューがついていけないのである。

株価と違って、為替のバリューは複雑だが、金利差だけではついていけない限界があるのだ。

そのバリューの限界に達したのが昨年7月の161円97銭である。

円相場はいよいよバリュー調整の段階に入る。フローよりもストックが重視される流れにはいるのである。

日銀の金融政策で円高になるわけでも、FRBのやることで円高になるのでもない。ましてやトランプの発言で円高になるわけではない。(デイトレーディングでなければ)フローは無視してストックの材料で円高になるのである。ネガティブキャリーだから円高になりにくいというのは典型的にフローの発想である。

NYに在住すると、物価の高さに驚く。円換算すると恐ろしい物価高である。ラーメンが3000円するのはラーメンが高いのではなくて、円が安すぎるのである。

百歩譲って、1200円が正しい値段とすると、1ドル60円辺りが正解ということになる。

この恐ろしい円安はバリュー調整にさらされるはずである。

そう思うと日本の個人投資家の海外資産偏重は恐ろしい。ドル円が100円を割ったところから強烈な円高が進行しそうだ。

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プロフィール

わかばやし・えいし
若林栄四

1966年東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍中。

【著書】
・黄金の相場予想
・世界一やさしい図解FXの教科書
・異次元経済 金利0の世界
・富の不均衡バブル
・etc

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