徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

芦屋のヨドコウ迎賓館を見学してから、PACオケでアルミンクのブルックナー

週末遠征は想定外の事態で予定変更

 この週末は西宮までPACオケのコンサートに繰り出すことにした。通常ならJRと阪急で出かけるところだが、今週は仕事がハードだったせいで疲労が濃く、電車に長時間揺られる体力がないことから久しぶりに車で出かけることにした。

 土曜日の朝だが、起床時から体が重い。やはりかなり心身の疲労が溜まっている模様。コンサートの前売り券を買っていなかったら、今日は一日家で寝ているという選択肢を選んだろう。とりあえず気合いを入れて起き上がると出かける準備。

 午前中に家を出るが、それはコンサートで出かける以上はやはり美術館に立ち寄りたいという考え。今回は立ち寄り先を2箇所ほど想定していた。まず最初の立ち寄り先である小磯記念美術館に向かう。

 阪神高速が渋滞のために予定より遅れたが六甲アイランドに到着、美術館地下の駐車場に車を入れようと車をそちらに回したら・・・入口が閉鎖されている。「?」と思ってよく見ると「駐車場閉鎖」の案内が出ている。工事でもするのか1ヶ月ほど駐車場を閉鎖するらしい。こんなことになってるなら、美術館HPにデカデカと書いておいて欲しかったところ。それともここには六甲ライナーで来いってことか?

 これは全く想定外。探せばどこかに駐車場はあるんだろうが、予定より遅れていることもあって探す時間もないし、離れた駐車場から歩く気力もない。仕方ないので諦めて次の目的地に向かうことにする。

 

 

ヨドコウ迎賓館に立ち寄る

 次の目的地はヨドコウ迎賓館。以前に芦屋川地区を訪れた時に時間不足と心臓破りの坂にひるんで見送った場所だ。現在はひな人形公開中とのことで、時間予約制になっているが11時半からの見学会を予約している。現地に到着した時には11時10分ぐらい。駐車場に車を入れるとしばし待つ。

迎賓館前のロイド坂は心臓破りの坂でもある

駐車場から仰ぎ見る迎賓館

入口

斜面に合わせて建てられている

こちらが車寄せ

 ゾロゾロと予約客が集まってくるが、25人ぐらいというところか。11時半になったところで名簿を確認して順次入場。見学時間は12時45分までである。

入口前でしばし待つ

 

 

 ヨドコウ迎賓館は帝国ホテルなどを設計した建築家、フランク・ロイド・ライトが手がけた建築である。元々は灘の酒造家の8代目山邑太左衛門氏の別邸として設計されたもので、1947年に淀川製鋼所が所有して今日に至っている。かつてはマンションへの建て替え計画なども持ち上がったらしいが、1974年に貴重な建築物であるとして鉄筋コンクリート建築物では初の重要文化財に指定されたという。

建物の外観模型

 建物は芦屋の山の手の斜面を利用して建築されており、内部は4階立てになっている。玄関をくぐるといきなり階段で2階に上がり、広い応接室に出る。大谷石と木で作られた室内は高級感と落ち着きがある。

広い応接室

暖炉が作り付けてある

その奥は給湯室

窓周りなども実に凝っている

家具は作り付け

バルコニーに望む

 

 

 3階は奥まで続く廊下があり、その右手に和室が続いている。ここに雛人形が展示されているが(撮影禁止)、これは山邑氏が長女の誕生を祝って京の老舗の人形店に製作を依頼したものであり、素人の私の目から見ても贅をこらした逸品であることは分かる。造り酒屋といえば大抵その地の名士であるが、山邑氏の財力のほどが覗える。

3階には長廊下

その右手が和室

窓の意匠なども和洋折衷で凝っている

 この和室が和洋折衷の趣がある。欄間などにある銅の装飾は緑青で緑になることで草の葉をイメージしているのだとか。

欄間など随所にある銅版の装飾

 3階の奥は寝室とのことで、近くに使用人部屋があるのはやはり身の回りの世話などのためだろうか。

3階の手前の家族の寝室

3階奥の寝室

 

 

 4階は食堂であり、厨房が隣接している。なお厨房のドアからは使用人らの部屋などにつながって、そのまま裏手の勝手口に通じる構造。食堂には暖炉が設えてあって落ち着いた雰囲気となっている。

落ち着いた雰囲気の食堂

天井の意匠も独得

窓なども洒落ている

4階の食堂にも暖炉が

奥は厨房

厨房のドアからは使用人部屋などに通じる

寝室の脇にある使用人部屋

 

 

 ここからバルコニーに出ることが出来るが、このバルコニーも多層構造になっていて、他の部屋に通じていたりなど仕掛けが多い。なおここからは芦屋の町並みを広く見渡すことが出来る。

ベランダに出る

振り返って

見晴らしは抜群である

芦屋の風景

 凝った建築だなと言うのが正直な感想。かなりの傾斜地だけにそれを活かして多層建築にしていて、内部の変化につなげているのが特徴。また使用人などの裏方と居住者や来客の動線を完全に分けてあるのがよく分かった。考えて設計してあるという印象。また多層のバルコニーが別の部屋につながっていたりなどの隠れ家的な楽しさもある。もっとも内部に階段が非常に多く、今時のバリアフリーの対極の構造なので、老後に足下が弱ってきたら住みにくいようにも感じたのではあるが。

なんせ傾斜地で、こんな驚くような住居もある土地なので

 

 

西宮で洋食ランチを

 ヨドコウ迎賓館の見学を終えると、ホールに向かう道すがらでどこで昼食にしたい。このルートだと思いつくのは阪急高架下の「ダイニングキノシタ」。ここは週末は一杯のことが多いが、私の到着時にはどうにか車を置くスペースがあるので入店する。

ダイニングキノシタ

 ランチのメニューは多数あるが、季節限定の牡蠣フライと海老フライにハンバーグを組み合わせた「しおかぜ」のセット(2080円)を注文する。

 表に「持ち帰り注文が多数来ているので遅れることがある」と書いてあったのが気になったが、まあ今日はまだ時間的には余裕があるからゆっくり待っていたら数分で最初のサラダが出てくる。酸味のあるドレッシングが爽やかで美味い。どうやらラズベリーソースの模様。

甘酸っぱいドレッシング美味いサラダ

 それを食べ終わった頃にはスープが。温かいカボチャのポタージュのようだが、よくある甘ったるいスープでなくて美味い。

カボチャのポタージュも美味い

 その後にメイン登場。肉々しいハンバーグが意外にあっさりとしていて美味い。昔にここのハンバーグを食べた時に、無駄に肉汁が多すぎるせいでベチャベチャしたことがあったが、どうやら私好みに進化した模様。大粒の牡蠣フライも非常に美味いが、プリプリとした海老フライが美味い。最近多いタイプの有頭海老でないことから少々嘗めてかかっていたのだが、なかなかどうして納得の海老フライである。

メインのフライ

 正直なところ、昨晩の夕食がモスバーガーだったため、洋食はしつこいかなという気もあったんだが、サッパリしたハンバーグに爽やかなタルタルソースのおかげか、揚げ物にも関わらずむかつくしつこさを感じなかった。満足した昼食である。

 

 

 昼食を終えたところで、今日の兵庫芸文は大中小ホールすべてで催しがあるらしいことから、ホール駐車場が満杯になるのが怖いので、まだ若干早めではあるがさっさとホールに向かうことにする。

 ホールまでは10分程度。幸いにして駐車場には空きが多数あった。無事に車を入れるとホールの喫茶でアイスコーヒーを頂きながら、この原稿執筆で時間つぶし。

アイスコーヒーを頂きながら、マッタリと原稿執筆

 さて今日のコンサートであるが、「進撃のアルミン君」ことアルミンクによるブルックナー。どんな演奏が飛び出すか楽しみではある。

本日のコンサート

 

 

PACオケ第157回定期演奏会 アルミンク ブルックナー7番

前半は14型、後半は16型

指揮:クリスティアン・アルミンク
トロンボーン:中川 英二郎
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団

中川英二郎:Trisense
ブルックナー:交響曲 第7番

 一曲目はトロンボーン奏者・中川英二郎による自作自演である。クラシックからジャズまで幅広いジャンルで活躍するトロンボーン奏者ということもあり、曲自体はジャズの要素が入り込んだクラシックという印象。いきなり哀愁を帯びた旋律が惹きつける美しい曲である。

 中川の演奏は非常に美麗でなおかつ明快ないわゆる冴えた演奏。私はトロンボーンなる楽器はその構造上、もっと鈍い音程になると思い込んでいたのだが、彼の演奏を聴いたことでトロンボーンがこんな音を出せるのかと感心した次第。

 中川の軽妙にして見事なパフォーマンスに会場は大盛り上がり、ここで彼のアンコールがスティーヴィー・ワンダーのオーヴァージョイドというのがいかにも。実に多彩な音色を聴かせてくれる。

 後半は一転して重厚なブルックナーの大曲。アルミンクのアプローチはとにかくドッシリと構えたテンポで弦を中心に美麗に聞かせる。若いPACオケはとかくバリバリと演奏しがちなのだが、そこに適度に抑制をかけてドッシリとした安定感のある演奏を引き出している。とにかく弦楽陣を良く歌わせる。

 アルミンクの演奏は、安定感はあるが音楽自体は軽快。そしてブルックナーらしい重厚さよりもむしろ旋律を強調してくる印象。ブルックナーの曲ってこんなに美しい旋律があったっけと再発見すること度々。良くオルガンに喩えられる重厚で重層的な音楽構成でなく、軽快で美麗で弦楽器を思わせる旋律的な音楽である。

 全編を通して華麗だが統制がとれて節度のある演奏。その端正な容姿の通りの品のある音楽という印象である。これはこれで私にとってはなかなか聞きやすいブルックナーだったのは事実だったりするのである。

カーテンコールは撮影可

満場の歓呼に答えるアルミンク