定年と5分間とフキノトウと | イカポッポーのブログ

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感じたモノはなんでも撮ります。

 

 

 

宮城県仙台市でカフェを営んでいた時の

 

お話し。

 

 

丁度今頃の季節だっただろうか。

 

いや、まだ冷たいカラッ風が吹いていたから

 

2月頃だったかな。

 

ある日から、初老に見えるスーツ姿の男性が

 

毎日仕事帰りに寄って頂くようになり、

 

最初からカウンターに座られた。

 

店は夕方からワンショットのアルコールも

 

出していた。

 

当時、カフェ&バーというのが流行っていて

 

所謂それに近い店にしていた。

 

その男性は必ず珈琲ではなくバドワイザー

 

を飲んだ。

 

1本だけ注文し、飲み干し、5分もいるか

 

いないかで店を出た。

 

この繰り返しを平日毎日毎日。

 

 

 

ある日、ご本人の口から、

 

自分は近くの郵便局の局長であり、

 

徒歩で帰路の途中に私のカフェができた

 

事に気づいて、寄ってみたと話し始めた。

 

店は1,950年代~60年代の古き良き

 

アメリカの雰囲気にしていたので、

 

それが居心地が良く、毎日仕事帰りに

 

寄るようになったと語られた。

 

家に帰る前に一息つくには丁度良いんだよ

 

と仰っていた。

 

 

 

その日から私はその男性を局長さんと

 

呼ぶようになったのだけれど、

 

ある日、局長さんの口からこんな話しが

 

ポツリと出た。

 

「自分はもうすぐ定年退職なんだ。」

 

その一言だけ話して、その日は帰られた。

 

 

翌日、私から、「定年退職しても、

 

この店には通ってくださいね。」と言うと、

 

「仕事帰りの一杯だから美味いんだよ。」と

 

話され、すぐに話題を変えるかのように、

 

「ビールというのは喉が渇いているから

 

美味いんであって、この寒い冬の方が

 

乾燥していて夏よりも美味いんだよ。」と

 

話された。

 

そして、この会話の翌日から局長さんは

 

店には来なくなった。

 

おそらく、定年退職を漏らした翌日が

 

退職日だったのだろうと推測した。

 

 

 

局長さんが店に寄るようになった期間は、

 

約1ヶ月。

 

毎日カウンター席で帰路途中の5分間だけ

 

一息をつき、その5分間は、一息という

 

よりも、これまでの長い郵便局勤めを

 

振り返り、いろんな事を回想していたのでは

 

ないかと想像した。

 

そう思うと、感慨深かったな。

 

店をやっていた時の思い出として、

 

この局長さんとの毎日の5分間も

 

強烈に心に残っている。

 

 

 

この事を思い出して記事にしたのは、

 

今月、ブロ友さんが定年退職を迎えた

 

という記事を読んだから。

 

長いお勤め、お疲れさまでした。

 

次の人生も謳歌してくださいね。

 

確か故郷は北海道だったはず。

 

今の北海道、

 

ようやくフキノトウが顔を出していますよ。

 

(^_^)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の1曲は、エルヴィス・プレスリー

 

「Memories」を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     最後までお付き合い頂き

     ありがとうございました。