ある寒村のドラゴン退治#7 ◇535年 11の月 ドラゴンの再来、専門家の逃亡 | 白鴉(shiroa)のビバラムービー

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専門家だからって、何でもわかってるわけじゃない。

 

しろあです。

 

前回はこちら。

 

村の運命はどうなっていくのか?!

ぜひ、あなたならどう対策していくといいだろうと想像しながら読んでみてください。

ではどうぞ。

 

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◇535年 11の月 ドラゴンの再来、専門家の逃亡

専門家はドラゴンについて新たに下記の点を指摘した。

・ドラゴンは爬虫類のため、変温動物である。
・夜行性である。
・昼間は日当たりのよい岩場で太陽の熱を受け眠る。
・夏場の昼間は暑すぎる為、森の中に穴を掘り、そこで眠る。
・ヤツバグサと小動物を主食とする。
・体を維持する為、たんぱく質を月に1度大量に補う。
・グラン種もアカグサの臭いを嫌う。

専門家は上記の理由を論文に詳述し、のちに学会に発表するという。

そして月の半ば、立ち去る日がやってきた。
村長はじめ村人が見送っていたところ、急に夜のように空が真っ暗になった。
見上げた空には、2体のドラゴンが目に入ったという。

ドラゴンは丘の巣に着陸すると、眠りについた。
村は騒然となった。

なぜドラゴンは2匹になったのだろう。
なぜ戻ってきたのだろう。
専門家に質問が集中したが、答えは無かった。

専門家はアカグサを巣の近くに焚き、もう一度追い払うように提案した。
監視役たちが決死の覚悟でアカグサを持ち近づく。
目を開き警戒を見せるぎりぎりまで近づき、
風下にドラゴンの位置がくるところで焚火をする。
火を焚くと、監視役たちはその場を立ち去り物見に移った。
するとドラゴンは目を閉じた。

アカグサの煙に被われたドラゴンは無反応で、そのまま2匹とも眠りについていた。

帰ろうとしていた専門家は引き止められ、会議に強制的に参加させられた。
しかしその会議の席で専門家は的確な意見を述べることができなかった。
月も末が近い。
とりあえず村長と顔役の意見により、
ドラゴン2匹分の贄を献上台に準備することとなった。

ドラゴンは翌日の朝方、贄を食むと2匹とも森に潜った。
アカグサはどうやら効果は無いようであると、専門家は語った。
村人はそれに怒り、支払った報酬の返却を求めた。

しかし報酬は返却されず、通訳と共に姿を消した。

翌年、専門家が発表したグラン種についての論文には、
『アカグサの臭いを嫌う』という項目は削除されている。