明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2404)このままではさらなる過酷事故の発生は必至!原発を即刻止めるべきだ!(『福島第一原発事故の「真実」』の読み解きから-その7)

2024年04月23日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20240424 23:30)

連載『福島第一原発事故の「真実」』(講談社文庫)の読み解きを続けてきましたが、このところ、少しく思考が拡散し過ぎ、続きを書くのに時間がかかってしまいました。すいません。
まだまだ掘り下げられる点がありますが、そろそろ一つの区切りをつけようと思います。これまで論じてきたことから何をつかみとるのかですが、それはもう「原子力は止める以外にない」という点につきます。


原子力はまったく統御できていない。止める以外にない!

これまでこのNHKの書をつぶさに分析しながら置きかけてきたのは、13年も経って明らかになった福島第一原発の事故の進展、深まっていた巨大な危機の実相でした。
事故後、ながらく「2号機が最大の危機の直前にあった」と語られてきましたが、実際には1号機、3号機の方が、巨大な危機に向かっていた。しかもそれは人為的ではなく、偶然に、しかも人知れずおさまっていたのでした。

その点で事故時に、現場の人々は炉内で起きていることをほとんどつかめていなかった。事故がどう進展しうるのかの予測も大きく外れていた。
いや現場だけでなく、東電本店も政府もそうでした。しかもそれが13年も経ってようやく見えてきたのです。

このことが突き出しているのは、原子力の統御など、全くできていないという冷厳たる事実です。原子力は技術としてあまりに未完なのです。
だから原子力への関わりは即刻に止めるべきなのです。原発の運転も再処理工場もすぐに止めるべきです。ここからは既に作りだしてしまった膨大な核のゴミの安全管理と、できるだけ安全で犠牲の少ない処分方法の開発に徹するべきです。


本書が突き出しているのは「原子力は止める以外にない」ということ!


そもそも壊れない水位計すらできていない。過酷事故時に原子炉の状態を把握できる保証がない!

そのことを象徴することの一つに、水位計の問題があります。というのはこれまで見てきたように、1号機は長い間空焚きを続け、3号機もメルトダウンしていることを把握できないまの注水で、水-ジルコニウム反応を促進させるばかりだったのでした。
こうなった原因の一つは、両機の水位計が故障してしまったことでした。実際よりも高い水位を示し続けていた。

実際にはどちらでも早い段階で核燃料の先端より水位が下がり、メルトダウンが始まっていたのですが、現場は「まだ核燃料がまだ水の中にあり冷却されている」と誤認し続けました。
水-ジルコニウム反応は、核燃料が水の中にあればまだ加速度化しにくく、注水も有効でしたが、とにかくそのための炉内の一番大事な情報がつかめていなかった。

この点に関してはこんな風に証言されています。「(原発事故のように)圧力や温度が通常とは大きく異なるような条件下であっても、水位を正しく測定できるセンサーは、現時点ではまだ存在しません」(福島第一原子力発電所廃炉検討委員会委員長・宮野廣ー本書検証編544頁より)
ようするに未だに炉内の状態を確実に把握できる技術すらつかめていない。これだけでも原発の運転は、即刻止めるべきです。


消防車からの注水は
実際には図のようにならずほとんど届かなかったが、水位計が壊れていたため、現場は届いていると誤認し続けた


このままではさらなる過酷事故の発生は必至!

にもかかわらず、原子力産業はいまも暴走を続けています。日本だけでなく世界中で。だから福島第一原発事故に続く過酷事故が、どこで起きても不思議はないし、今度こそ、究極のカタストロフィに至ってしまうかも知れない。
それを回避するには、一にも二にも原発を止めること。核産業に終止符を打つこと。危険な核の廃棄プロセスに移行することです。

しかもこれが可能で、合理的な道なのだということもぜひ知って下さい。なぜって既に原子力が採算にあまりに合わず、しかも技術的展望もないことが実証済みだからです。原子力マフィアがそれでも続けようとするのは自分たちの既得権を守るためだけ。核戦略の護持のためだけです。
しかしそのために恐ろしい事故の大きな可能性が放置されている。そんなことが許されてよいはずがありません。これ以上、原発によって環境を傷つけてはならないし、未来世代に押し付ける核のゴミも、もう少しも増やしてはいけない。

『福島第一原発事故の「真実」』から学ぶべきことは、この点に尽きます。
このことをしっかりと押さえて、核なき未来へともに歩んでいきましょう!


高浜原発が立地している福井県高浜町内浦湾 原発からの温排水で生態系が手酷く傷つけられた (青葉山より守田撮影)

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