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『空蝉の廻』 Switch版 フルコンプ感想【ネタバレON/OFF有】

本記事ではNintendoSwitch版空蝉の廻(うつせみのめぐり)のフルコンプ感想およびレビューをまとめています。

この記事で分かること

・どんな作品なのか
・面白かった点、いまいちだと感じた点
・主人公(ヒロイン)や声優の情報
・個別ストーリーのネタバレ感想
・個人的な評価を☆1~5で判定

・ネタバレを含む部分は、「続きを読む」ボタンでワンクッション置かせて頂きます。

「どんな作品か気になるけどネタバレは踏みたくない!」「他の人の感想を読んでみたい!」という方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

それでは、本日もよろしくお願い致します!

目次

『空蝉の廻』作品紹介

人気タイトルのNintendoSwitch移植版

『空蝉の廻』は、2024年1月25日にMatatabiから発売されたNintendoSwitch向け乙女ゲーム。

2017年に発売されたPSVita版を移植したタイトルで、フルHD対応により、美麗イラストを大画面でも楽しめるようになりました。

追加要素などはないものの、攻略対象外のキャラクター 「紫月丸」の声優さんが、遊佐浩二さんから河田 吉正さんへ変更となっています。

現在のところパッケージ版は存在せず、ダウンロードのみの販売となっています。

鬱々とした雰囲気が特徴のダーク×和風ファンタジー

作品のテーマは、「鬼と人との宿命と禁断の恋愛」

本作の舞台となる「冥島」には鬼と人間、2つの種族が暮らしています。

島には死の国へとつながる2つの門が存在し、人間は死者の魂を死の国へと送り出す役割を、鬼は成仏できずに出てくる魂を死の国へと送り返す役割を担っていました。

しかしある時から門に異変が生じ、「死」に関わる魂の廻りに滞りを感じた主人公・鎮宮天音は、鬼と力を合わせ異変解決への道を探ることに……

実は鬼と人間は、過去の因縁からお互いを嫌っており、会話シーンでは常に殺伐とした空気が流れています。

そんな状況なのでストーリーの雰囲気は全体的に暗め

人間・鬼ともに民度が低く、ルートによっては主人公や攻略キャラクターが酷い目に遭ったり、心無い言葉を投げかけられたりするため、苦手な方はトコトン苦手なタイプの作品では……と思います。

かくいう私も、やりたい放題の村人たちにイラッとする場面が多々ありました(爆

攻略キャラクターたちから主人公へ向けられる感情も、初めのうちは決して良いものではありません。

しかし、好感度マイナスの状態から少しずつ心の距離が近づく、丁寧な恋愛過程に尊さを感じました。

むーちゃん

雰囲気の近い作品を挙げるなら、TAKUYOさんの『月影の鎖』かなー

みーちゃん

『マツリカの炯』もなかなか……

陰or陽 真逆の展開が楽しめる4つのエンディング

個人的推しポイントは各キャラクターそれぞれに用意された4種類のエンディング!

本作の物語は選択肢によって「陽ルート」「陰ルート」の2種類に分岐し、陽ルートでは「幸福エンド」「禁断エンド」を、陰ルートでは「狂乱エンド」「悲恋エンド」を見ることができます。

それぞれの内容は以下の通り。

① これ以上ない幸せな終わり方「幸福エンド」
② 鬼と人との許されざる恋「禁断エンド」
③ 彼の闇に囚われともに堕ちる「狂乱エンド」
④ 2人の悲しい別れを描く「悲恋エンド」

実のところ、4つ中3つがバッドエンド寄りの内容となっており、特に狂乱エンドではどの攻略キャラクターも病みます。

溺愛から執着・憎悪まで、病みパターンはさまざまですが、バリエーションが豊富な分、人によっては地雷に感じるシチュエーションもあるかもしれません。

実際、基本なんでも来い精神の私でも「無理!」と感じるエンドがあるくらいです。

ただ全キャラヤンデレエンドを楽しめる作品なんてそうそうありません。メリバ&ヤンデレ好きさんにはたまらない作品ではと思います。

個人的レビュー

個人的には『良作』です
本作のポイント
  • 鬼と人、2種族の対立と共存を描いた和風ファンタジー
  • 5人の攻略キャラに4つのエンディングが存在
  • エンディングによっては全キャラヤンデレ化

共通ルート終了まで大体5〜6時間個別ルートは2~3時間ほどのボリューム感でした。

Vita版では空飛ぶカツラバグ・フリーズなど、全体的にバグが目立ちましたが、Switch版はプレイしていて1度も遭遇しなかったので一安心。

内容のしんどさについてはルートによって差がありますが、個人的には泰臣>魁>結鶴>颯=知影の順に村人たちの風当たりが強く、遊んでいて辛く感じました。

どちらかというと闇に比重を置いた作品ですが、「良かったねー!!」全力で祝福したくなるような、幸せなお話もしっかり楽しめるのでご安心下さい。

苦しみを乗り越える恋、問題を乗り越えらず彼と一緒に病んでいく恋。いわば希望側と絶望側が両方楽しめるなんて、IFシチュエーション的に最強すぎませんか…?

むーちゃん

空飛ぶカツラバグってなに!?

モッチ

キャラの立ち絵が髪の毛だけ空に浮いて表示される、シュールなバグがあったんだよね……

Vita版のレビューはこちら

ストーリー概要

日本全体が平穏な暮らしを送っていた江戸時代。

本土から海を隔てた孤島には、「死の国」とつながる二つの門があった。
亡くなった人の魂を死の国へ送り出す灯巌門を祭るのは鎮宮一族と鬼たち。
門は二つで一つの魂の廻りという役目を担うものであったが、人と鬼は過去の因縁から長らく憎みあってきた。

それでも、魂の廻りはうまく回っていたはずだった。
ただ一つ、鬼や人を襲う妖魔が出てきてしまうことを除いては。

それ故、鬼の役目は妖魔を斬って死の国へ送り返すことが主体となっていた。
妖魔を死の国に返すには、魂を送る鎮宮の力を借りることが必要だった。
そのため、鎮宮と魂宮だけは儀式で定期的に顔を合わせていた。
しかし、それは人と鬼の融和には結びつかなかった。

その儀式は鎮宮にとって、島を守るための義務でしかなかった。
魂宮には、憎き人の力を借りなければならない忌々しい事態でしかなかった。

そんな中、二つの門に原因不明の異変が起こり始める。
それは、「死」に関わる魂の廻りが滞ることを意味していた。

そして、不吉な予兆のように、おびただしい妖魔があふれ出てきた。
こうして、鎮宮である主人公と鬼たちの魂の廻りを守る戦いが始まる---

引用元:https://matatabi.tv/utsusemi/

スクロールできます
作品情報制作スタッフなど(敬称略)
ディレクター:SAYA
原画:PURU
主題歌:いとうかなこ
CERO:「D」(17才以上対象)
対応機種: Nintendo Switch / Nintendo Switch Lite

ヒロイン紹介

主人公:鎮宮 天音(しずみや あまね/名前のみ変更可能)

灯巌門を祭る中心的な存在である祈女。

何事にも一生懸命で、祈女としての品があり、皆から慕われている。

自分より他人優先で、いつも自分の幸せより人の幸せを考えている。

引用元:https://matatabi.tv/utsusemi/

攻略キャラクターとおすすめ攻略順

攻略キャラクターは5名。

柊 知影のみ攻略制限があり、他4名を攻略してからルートが解放されます。

1~4人目までの攻略順は好みでOKですが、真相を少しずつ知りたいのであれば魁→ 颯 → 結鶴 → 泰臣 → 知影の順がおすすめです。

参考までに私は颯 → 結鶴 → 魁 → 泰臣 → 知影の順に攻略しました。

みーちゃん

気になるキャラから攻略しても全く問題ないよ!

攻略キャラクター&キャスト紹介

キャラクターキャスト
魂宮 魁(たまみや かい)CV:谷山 紀章さん
颯(はやて)CV:内田 雄馬さん
結鶴(ゆづる)CV:田丸 篤志さん
相良 泰臣(さがら やすおみ)CV:興津 和幸さん
柊 知影(ひいらぎ ともかげ)CV:立花 慎之介さん

個別ルート感想 (ネタバレON/OFFボタンあり)

颯 CV:内田 雄馬さん

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誰に対しても一歩距離を置く、冷静沈着な討伐隊隊長。

鬼の村と人間の里を行き来する天音の護衛役を務めることになった颯は、天音と交流を深めていくことになります。

颯にとって天音の護衛は魅からの命令であり、いわば当然の仕事。それでもことあるごとに感謝の言葉を伝え、手を差し伸べる天音に徐々に心を開いていくのでした。

颯は誰よりも強い実力者。しかし他の鬼より発作が起きやすく、暴走すると敵味方関係なく襲いかかってしまいます。

そんな彼には7年前、人間の村を訪れた際に発作を起こし、養父を死なせてしまったことをきっかけに、極力人と関わらないよう生きてきた悲しい過去がありました。

正直、空蝉の廻で1番記憶に残っているのが颯のDVだったりするんですが、同じような方、結構いらっしゃるんじゃないかな……

乙女ゲームで主人公が殴られる展開はなかなか見かけないので当時かなり衝撃的でしたね。

DVを心の片隅に追いやったうえで、改めて読み進めた陽ルートのシナリオはめちゃくちゃ良く、トラウマを乗り越えて幸せを掴み取る流れが綺麗で好きでした。

最初のうちは「正直煩わしい」と思われており、マイナススタート&塩対応だったのが、甘々へと変化していくギャップも良かったですね。

幸福エンド

事件の後、改めて鬼と人との交流が始まり、颯が正式に天音の護衛役として人間の村で暮らすことに。

当然風当たりは強いだろうと予想できますが、どんなことがあっても2人で乗り越えていけるだろうと希望を持てる良き終わり方でした。

禁断エンド

事件の後、カイは鬼全体に厳しいルールを設け、鬼と人との交流を禁じます。同様に人間側では首謀者が魂宮家の鬼だったと分かったことで、これまで以上に鬼への風当たりが強くなっていました。

そんな中で2人は駆け落ちし、鬼の領地の外れでひっそり暮らすことに。使命を放棄した罪悪感を感じながら、愛に生きる仄暗さの残る幸せエンドでした。

しかし人間側の風当たりについては幸福エンドより説得力がある気がする。鎮宮の鬼が犯人だったと分かったら、普通に「やっぱり鬼なんて信用できない…!」となりますよね。

一定タイミングまでに好感度が低いと陰ルートに突入します。

颯が発作で暴走しかけた際、思わず手を引っ込めてしまった天音は、颯の暴走を止められず、彼に殺されかけてしまう。

正気に戻った颯から自分を殺して欲しい(できなければ離れて欲しい)と頼まれるも、恋慕う人を殺せるわけもなく、颯の暴走は日に日に酷くなり……といったお話です。

実は鬼の発作には「相手を強く想えば想うほど執着心が強まり、周りが見えなくなる」といった症状もあるのだそう。

かくして天音が周りの男性と話しているだけで、どこからか暗い瞳を向けてくる颯が爆誕したのでした。毎晩乱暴にされる天音が痛そうで見ていて辛いルートです。

悲恋エンド

暴走の末、ついに主である魁のことまで分からなくなり、自害しようとした颯を庇った天音が死亡。

天音の死がきっかけで発作を抑え込めるようになったのは良かったのかもですが……救いのないエンドでした。

狂乱エンド

じ、地獄だ……

殴られてボロボロの天音と、恐ろしい形相で天音を殴る颯のスチルが悲しすぎる。

恐らくこうなるずっと前に、たとえば陰ルートに入った辺りで望み通り殺してあげるのが最善だったんじゃないかな、なんて思ってしまいますね。選択できなかった故の悲劇。

どれだけ純愛を貫いてもDVの存在感が強すぎて、最終的にDVしか頭に残らないんですよね……強烈です。

颯ルートで印象的なのが毎晩おにぎりを差し入れるシーン。もはやおにぎりが繋いだ絆と言っても過言ではありません。

あとは皆の前で颯が「天音」と呼び捨てで呼んだ際、周りがポカンとするシーンが面白かったです。

結鶴 CV:田丸 篤志さん

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鬼族の村で暮らす気さくな少年。実は鬼と人とのハーフであり、周りから冷ややかな扱いを受けている。

結鶴に対する印象としては「表向きは明るいけれど何を考えてるのか分からない」が正直な感想でした。

明るい顔は仮面のようなもので、実際には両親の命を奪った妖魔への復讐心だけで生きている。仄暗い心を秘めた少年でした。

実のところ心の壁がめちゃくちゃ厚く、人を信用できなかったり、大切に育てられた天音に嫌味を言ったりするのですが、本心では愛してくれる存在を望んでいます。

自分を受け入れてくれたうえ、危険を承知で仇の妖魔討伐に力を貸してくれた天音に深く感謝し、愛情を深めていくのでした。

結鶴が賢く、割と早い段階で柊さんの企みを見抜いてくれるので安心感がありますね。

黒幕が分かったとして、魁に伝えても信じてもらえず、途方に暮れる不憫な場面もありますが、天音と泰臣という味方の存在が結鶴を支えている感が良かった。もうずっと人間の村で暮らすといいと思います(何

結鶴の母はカイさんの叔母で、父が泰臣の兄(つまり結鶴は泰臣の甥)だったとサラッと明かされるので驚きますが、年齢どうなってるのかな?
※ 泰臣ルートで兄が12歳年上だと明かされる。奥様との駆け落ちは11年前なので、最高でも10歳前後ってコト……!?

幸福エンド

事件の後、カイから正式に鎮宮家の一員として認められた結鶴ですが、鬼の屋敷で暮らす誘いを断り、人間の村に住むことに。

無事泰臣に甥であることも伝えられ、天音の従者見習いとして平和に暮らすのでした。

お節介かもですが、周りからの風当たりとか大丈夫なのかなとちょっと心配になったのは内緒の話。

禁断エンド

結鶴の禁断エンドは身勝手な感じが正直好きになれません(直球

今まで散々結鶴に酷いことを言ってきた鬼たちが、急に掌を返して「さすがは鬼の一族」みたいに盛り上がり出すのもクソだし、柊さんがいなくなったことで結鶴に縋り出す魁もクソ。

結鶴も居場所ができたことで天音のことをサクッと諦め、これからは魁の片腕として生きると言い出すし……

「そんな簡単に……?」と何もかもにモヤってしまいました。

しかし結鶴的には鬼たちから1人の鬼だと認められて悲願叶ったりだし、鬼と人が分かり合えない冥島の環境的に、結鶴の言い分もどこまでも正しいエンドだなとも思う。

好感度が足りなくて辿り着くエンドゆえに仲間>天音になるのも、リアルだなーと思ったり。

などと物分かりが良い風に、好意的に解釈してみたものの……やっぱりモヤモヤするー!現状空蝉の廻におけるNo.1モヤモヤエンドに認定です(オイ。

陰ルートでの結鶴は、仇の妖魔を自分で倒すことができず、代わりに倒した柊さんを新たな仇として認定してしまいます。

普段と変わらない笑顔でいともあっさり柊さんを攻撃し出すのでもはや狂気です。こんな危険な奴野放しにしておけねぇ……ということで、結鶴は幽閉。

幽閉された結鶴は普段と変わらない無邪気な様子ですが、実際のところ天音以外とは口を聞かず、天音に対して「僕のものになってよ」と懇願します。

天音が断れないよう自害をチラつかせてつけこむ様はもはやあざとさとは呼べず、策士な感じがスゴイ。

天音への愛情は本物なのか、復讐のための力が欲しいだけなのか、ちょっと判断に悩んでしまうのですが、本物だと信じたい。

狂乱エンド

最後は結鶴を守るために柊さんを殺した天音が復讐の対象となり、憎しみと愛情を一心に注がれる展開は恐ろし……いやエモすぎて、ウワアァァとなりますよね!

天音が小刀を手に柊さんへと走った時点で、私の中をよく分からない感情が駆け巡りました。

語彙力が無くて申し訳ないのですが、幼児退行×愛憎というマニアックなシチュエーションに脳内が大混乱。結鶴も天音、どちらも大概狂っていて最高なエンドでした。特大の闇を浴びてしまった。中毒性の高いエンドです(

悲恋エンド

柊さんの命を奪った後、ぬけがらのようになってしまった結鶴を連れて山奥で2人暮らしを始めた天音。

しかしいつまで経っても結鶴に心が戻ることはなく、時間だけが過ぎていきます。そしてある晩、妖魔に襲撃された天音の命の灯が消える瞬間、結鶴の意識が戻り……という悲しいエンドでした。

なんというか、結鶴には天音が必要だなと強く感じます。天音がいなかったら誰が結鶴を認めてくれるのかなとか、復讐を果たしたらふらりといなくなってしまいそうだなとか、もしもの心配が尽きません。

好きなシーンは、結鶴が怪我をおして両親の仇である妖魔を1人討ちに行くシーン。隠してきた辛い本音を天音にぶつけるところでウッとなります。

あとは陽ルートの終わりの方で、魁からボロクソに言われた結鶴を天音が庇うシーン。

生まれで差別するな(直訳)を強い口調で言い切る姿に、本当それ!よくぞ言ってくれた…!とジーンとしました。

魂宮 魁 CV:谷山 紀章さん

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自ルートと他ルートとでの温度差が激しいキャラNo.1。

幼い頃から、家族を見捨てられた経験から人一倍人間を憎んでいる魁。

最初のうちは天音に対しても厳しい態度で接しますが、共に過ごすうちに対等な人であると認め、距離を縮めていきます。

親しくなったと思った矢先、照れ隠し(?)なのかいきなり冷たくなるのは「??」でしたが、基本的には王道ラブでよかったなと。

魁のルートでは鬼と人との間に存在するわだかまりに焦点が当たります。

鬼から暴言を吐かれたり、仲間であるはずの人間から不信感をぶつけられたりと、THE人間の闇的なシーンが多く、なかなかに辛いルートでありました。陰陽ルートの展開が真逆なので温度差で風邪ひきそうになります。

陽ルートでは、魁と協力して鬼と人が笑い合える世界を作り上げていく、理想的かつ王道な物語が展開されます。

天音たちの想いが通じ、人と鬼の若い衆が、ぎこちないながらも手探りで共存の道を探る感じが良かった。おばあさまを説得するのは大変でしたが、魁が協力的だったのでほとんど不安や心配はありませんでしたね。

割と初代当主たちの過去も明らかになり、天音と魁のように愛し合っていたことが分かって良かったです。

しかし幸せに包まれていたはずの初代様たちに何があったのか。なぜ人と鬼がいがみ合うことになったのかは後のルートに持ち越し。

初代様たちの夢ブースト効果で恋愛面はサクサク進んだ印象でした。

幸福エンド

祝言からの初夜でラブラブなエンドでした(もうちょっと語彙力なんとかしろ

当主である2人の結婚は人と鬼との絆の象徴でもあり、初代様たちの再現でもありました。魁と天音には、どこか運命的な関係性を感じますね。

禁断エンド

人と鬼との共存が叶いかけていた矢先、柊さんが人間の兵士を殺したことで、2種族の関係は再びふりだしに戻ってしまいました。

魁と天音は人目を忍んでときどき彼岸花の花畑で密会する関係に。いつの日か2人で暮らせることを信じて……ちょっぴり切ない終わりでした。

陰ルートでは天音が鬼の村に滞在を続けたことで「人間が魁様をたぶらかしている」的な噂が流れてしまい、鬼たちからの風当たりがどんどん強くなっていきます。

魁は魁で、古祭りを建前に天音を人の村へ帰さずにいるため、魂宮家自体の評判にも傷がつきつつあり、人的にも鬼的にも良くない状況となっていました。

そうして天音は人の村へと戻ることになるのですが、護衛を放棄した鬼たちのせいで泰臣と共に大怪我を負ってしまいます。

駆けつけた魁の助けで一命をとりとめるも、人間の村人たちは天音を「裏切り者」と呼び、助けようとしません。

村人たちは「天音が役目を放棄して自分だけ鬼の村に逃げた」と思い込んでいたんですね。

激怒した魁は深い傷を負った天音を鬼の里へ連れ帰り、人間への憎しみを燃やすと共に、「天音は自分が守る」と決意するのでした。

狂乱エンド

籠の鳥エンド。

療養中の天音を手厚く看病する魁。天音が人の村に帰ろうとするとすがるような態度で引き止められ、天音は突き放せずにするずると滞在を続けていました。

しかしその裏で魁は2つの門を占拠し、人間は全て鬼の奴隷になるべしという独裁体制を敷いていたという恐ろしい事実が。
実は魁、天音を死んだことにして囲い込んでいたのです。

危険をおして全てを伝えに来てくれた泰臣に涙。魁の側にいたい天音の意志を曲げてでも(あの泰臣がですよ)助けようとしてくれる姿に感動しましたが、当然魁に見つかり(´・ω・`)

恐ろしいのはもう逃げられない状況なのに、魁が天音の足に傷をつけ続けている描写です。

回復しかけの天音が妖魔に襲われて傷を負った時、「すぐ治療しないと!」と言いつつも、どこか鬼の里にとどまる口実ができたような空気を感じていたのですが、勘違いじゃなかったんだなと。

悲恋エンド

自分の意思で泰臣の手を取り、魁から逃げ出す天音でしたが、あと一歩で本土行きの船に乗れるというタイミングで、柊さんの言葉に惑わされ、人族の村へと帰ってしまいます。

民を思うゆえの行動でしたが、「裏切り者!」と怒り狂った村人により痛めつけられ、命を落としてしまいます。

間に合わなかった魁が発作で悪鬼と化して終わり。

相良 泰臣 CV:興津 和幸さん

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幼い頃から一緒にいる泰臣は、天音にとって兄のような存在。

距離が近すぎるがゆえの恋愛の難しさ、主人と従者の身分差など、さまざまな問題が降りかかるのかな、と予想していました。
が!!

まさか鬼になってしまうとは。

ちょっと予想の斜め上というか、そうくるかー!と当時驚きでした。

泰臣は攻略キャラクターの中で唯一の人間なので、正直人間のままでの恋愛を見たかったなと当時は思ったのですが、本作のテーマは「鬼と人との禁断の恋」。そう考えると鬼化展開も納得でした。

実際、妖魔に襲われた時に、人間の泰臣はあまりにも無力で、毎回ハラハラしていました。なのに「天音様は私がお守りします」的に前に出るので、なんというか不安しかないんですよね……(酷い

鬼と駆け落ちをした泰臣の兄の話が結鶴ルートで出ていましたが、その後相良家は禁忌を犯した者として、村中から白い目で見られていたこと判明。

慕っていた兄がいなくなり、村人からも辛くあたられ居場所のない泰臣にとって、天音からかけられた「ずっと傍にいる」という言葉は心の支えになったんですね。

しかし鬼になったことで人の村に居られなくなった泰臣は、天音の従者を辞めると宣言して村を出てしまいます。

鬼化により2人の絆、関係がどう変わるのか、が本ルートの焦点でした。

ようやく紫月丸にスポットが当たったのに、あっさり殺されてしまって残念。泰臣のルートでは助かるといいな、と期待した矢先、あまりにあっさり退場してしまったので……

キャラ的には泰臣が1番好きですが、シナリオ的には好きになれなかった。
正直、他ルートで天音に近づく男にチクチク小言を言ってる時の泰臣が1番輝いて見えた。

陽ルートでは想いを告げあって以降、必要以上にお互いを意識してしまってもだもだする2人が大変可愛らしかった。キスする時に歯が当たってしまい仕切り直すシーンが微笑ましい……笑

好きだと告げた天音に何度も「もう一度」と確認するシーンも、幼い頃からの想いが叶った瞬間が現実なのか、噛み締めるような描写がとても良かったです。

幸福エンド

騒動が落ち着いた後、結婚し子供をもうけた二人。

生まれた子供には泰臣と同じように角があり、泰臣は辛い目に遭わないか心配しますが、天音は「うちの村には人から信頼されている鬼がいるから大丈夫」と答えます。

従者で居続けること、身分を超えた結婚を認めてもらうあたりで一悶着あったと思うのですが、乗り越えられた2人ならきっと大丈夫ですよね。

禁断エンド

村の中で妖魔や柊さんと戦った結果、村人たちから恐れられてしまった泰臣。守ってもらったくせに「恐ろしいわ…」だの「争いを嫌う私たちに、あんな力は必要ないでしょう?」だの言う人間の身勝手さにイラッとします。

天音は泰臣と共に村を出ますが、3日間を一緒に過ごした後、泰臣は「天音は人間の村に必要な存在だ」と語り、1人去ってしまいます。残る人生を1番幸せな3日間の思い出とともに生きる、切ない終わり方でした。

陰ルートの泰臣は相変わらずの過保護ですが、「天音様を傷つける者は誰でもあっても許さない」(たとえ自分であっても)というやや過激なスタンス。

天音を守るためとあれば手段を選ばず、何もかもを排除する勢いです。

天音は鬼と妖魔の戦いに加わることも許されず、もやもやした日々を過ごしていました。

陰ルートの泰臣を見ていて辛いのは、天音が痛がっても強引に想いをぶつけるような描写。あんなに大事に思っていたのに、天音が嫌がっても痛がってもやめないんだ……みたいな。正直、天音を泣かせるんじゃねえ!と思ってしまった。

愛情が暴走する陰ルートは好みですが、正直愛情的な描写が物足りなかった。もっと天音に執着する泰臣が見たかったな、なんて思います。

狂乱エンド

敵対する者全てを妖魔だと認識するようになった泰臣。自分と天音を引き裂こうとしたおばあ様や父親を全員殺し、邪魔者はいなくなった的に笑ってみせます。

完全に狂ってしまった泰臣と屋敷で2人だけの幸せエンド。こんな感じだと、人間の村から人がいなくなる日も遠くないだろうなと思います。

悲恋エンド

狂乱と流れは同じですが、泰臣の意識ははっきりしており、罪を犯した自分は天音と一緒には居られない……と1人去ってしまいます。

泰臣に死なないでと告げ別れるも、残された天音はこれからどう生きれば……と1人途方に暮れる。

中途半端に残った良心に苦しむくらいなら、トコトン狂った方が幸せだったのかも、と思ってしまうエンド。

柊 知影 CV:立花 慎之介さん

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1周クリアするともう何をしていても怪しく見える柊さん。

柊さんが現れると大体悪いことが起こるから、警戒しかありませんよね……笑

陰ルートでは攻略キャラたち悪い方向へ導き、スッと闇堕ちさせていく闇堕ちの伝道師と化していました。

本ルートの内容をざっくりまとめると、鬼族の未来のため、孤独な戦いを続ける柊さんの唯一の理解者となるルートでした。

柊さんは鬼と人との諍いの歴史を尋ねた際、自分を気遣って答えられなかった天音の姿を見て。天音は妖魔に襲われ命を落とした人間に手を合わせる柊さんの姿を見て、

お互い「この人、普通の人間(鬼)とはちょっと違うかも?」からスタートする関係。

人間に対して鬼と変わらない態度で接してくれる柊さんに好感を抱いていた天音ですが、妖魔の襲撃も、紫月丸の死も全て柊さんの仕業と知り、当然怒りを覚えます。

しかし幼い頃、魁からもらったどんぐりを大切に保管している姿に、仲間を大切に思う気持ちは嘘ではないと知り、柊さんの目的を知りたいと思うようになるのでした。

天音はのらりくらりはぐらかしてくる柊さん相手に情報を得ようと奮闘するもうまくいかず。柊さん、本当に何も話してくれないので終盤の終盤まで真実はわからずじまいです。

終盤ようやく明らかになる事実は以下の通り。

・柊さんの祖先は時の権力者の命令で、古くから災いを起こす自然の穢れをどうにかする方法を探していた。そこで鬼に目をつける。

・鬼は人間が瘴気に触れると変貌する姿だが、瘴気に触れても死ぬわけではないので、ある意味理想的な穢れの保管方法。柊さんの祖先は鬼の魂に極限まで穢れを集めるよう、初代魂宮と鎮宮を使い、呪をかけた。

なんともひどい話ですが、柊さんの祖先も家族を人質にとられて従わざるを得なかったもので、悪いのは全て時の権力者でした。

鬼は穢れを負った人が変化したもの。鬼の魂は呪により穢れを引き寄せる。穢れた鬼の魂は門をくぐれず、死後は妖魔となる。

柊さんは祖先の行いのせいで永遠に苦しむ鬼たち=妖魔を救おうと動いていたんですね。

真実を知った天音は柊さんへの協力を決めます。

しかし儀式を行えばおそらく彼は命を落としてしまう……そのあたりも理解した上で、彼の儀式は正しく作用し鬼たちは救われるのか、見届ける役目を負うのでした。

柊さんの死が確定したうえで始まる恋だからこその切なさが凄いんですよね……

みんなを(特に魁を)裏切った後、柊さんがどれだけ苦しんでいたか分かって良かったです。

死後の世界で再会・幸せエンドも切ないですが、ラスト付近の演出も含めて心がぐぁぁっとなる感じが良いんですよね……

柊さんのしてきたことは許されませんが、鬼たちを救おうとした1人の鬼の誰も知らない物語、好きでした。

柊さんのルートをクリアすると、一見幸せに終わった他ルートの結末を思い辛い気持ちになります。攻略キャラクターたちが死後妖魔として彷徨うことになってしまうなんて辛すぎる……

妖魔は倒しても復活するうえ、これからも鬼の死者の分だけ妖魔の数も増えるのかな?と思うと、いずれ冥島は……

なんて考えてしまったりして、真の意味で島民が幸せになれるのは柊さんエンドだけなのかも。

そもそもなんで鬼の魂に自然の穢れを集めたのかなぁ。門だけで事足りるなら、別に鬼に一点集中しなくて良くね?などと考えていたのですが、ろくでなしな時の権力者が欲張ったのかも。

滞っていた魂の廻りが正常に戻り、妖魔が出現しなくなったことで島は平和を取り戻しました。その陰でひっそり命を落とした柊さん。

全てを終えた後で見るタイトル画面はなんだか切ないものがありますね。心にぽっかり穴が空いたような、そんな気持ちになるやるせないお話です。

柊さんはなぜ周りに相談しなかったのか?

柊さんの一族は時の権力者から監視の呪をかけられており、定期的に行動を見張られている。

皆に相談して反乱の意ありと見なされた場合、時の権力者らが冥島に武力を送り込む恐れがあり、皆に相談できなかった。

チャッチャと儀式済ませちゃえば良かったのでは?

監視の目を盗んで慎重に儀式の準備を進める必要があったため、即行動は難しい。

さらに妖魔の使役には激痛を伴うため、常に複数の妖魔を使役している柊さんは苦しんでいたはず。ということでサクサクとは進まなかった。

好きなところと物申したいところ

『空蝉の廻』の好きなところ

グラフィックの綺麗さ

2024年に発売した作品ですと言われても多分わからないレベルでイラストが美しい……!スチルも多くて素敵でした。

狂乱エンドの存在

じわじわと不穏な空気を漂わせる展開に、病み展開好きとしてはこれ以上ないほどテンションが上がりました。

『空蝉の廻』に物申したいところ

若干主人公が役立たず気味

笛の音色で鬼をサポートする能力があるものの、イマイチ効果が実感できず、戦闘シーンでは狙われて味方が負傷する、または足を引っ張ることが多々ありました。

いまいち祈女のありがたみが伝わらないので、もっと勾玉を作るシーンとか、儀式によって鬼たちの力が増す描写があると良かったななんて。戦闘における役立たず感が残念でした。

画面の切り替えが謎に遅い時あり

時どき画面の切り替えが遅くてバグったのかな?と不安になることがありました。

足音とかの効果音が長すぎるから?とも思いますが、Aボタンでささっと送れたら良かったなと。

総評

ストーリー  : 4 out of 5 stars (4 / 5)
グラフィック : 4 out of 5 stars (4 / 5)
音楽     : 3.5 out of 5 stars (3.5 / 5)

システム   : 4 out of 5 stars (4 / 5)
ボリューム  : 4 out of 5 stars (4 / 5)

総合評価   : A

共通ルートはやや長めですが、個別ルートのボリュームはそこまでなく、サクサク進められます。

元々は2017年の作品ではありますが、そもそも立ち絵+文章で物語が進むシステム自体は今も昔も変わり無いため、今プレイしても全く違和感なく楽しめるかと思います。

ただVita版同様に「次の選択肢までジャンプ」機能を使うと、未読部分も飛ばしてしまう時があり困りました。

そのため、1つエンディングを見終わった後、もう1つのエンディングを回収する際は、最後の選択肢を選んだ後、ジャンプは使わず未読部分までのスキップを利用した方が良いです。

まとめ

この作品がおすすめな人

病み要素に惹かれる人
糖度高めな描写が好きな人
・人外が好きな人

個人的に『空蝉の廻』はめちゃくちゃ思い出深い作品です。

私が乙女ゲームをプレイし始めた当時、過去の名作を片っ端からプレイしていたのですが、『Clock Zero』『AMNESIA』などを経て、順調にヤンデレ沼にハマるなか、新作として発表されたのが本作でした。

当時、未知の新作購入にはなかなか勇気が要りましたが、病みを感じる作品の雰囲気に大いに惹かれ、ドキドキしながら予約したのを覚えています。

過去作ばかりプレイしていた私が初めて予約購入した新作、といっても過言ではないかもしれません。

当時はまだブログを書いていなかったのでVita版の感想も残していないのですが、いつか感想を書けたらなと思っていたので、Switch版を機に再プレイができてうれしいです。

7年ぶりくらいに遊んでみた感想としては、何年経っても大好きな作品だなぁーと再認識できました。

日常シーンの会話のだらだら感とか、世界観設定のふわっと感とか、正直気になるところもありますが、妙に中毒性というか、心惹かれる要素のある作品です。理屈じゃ説明できないこの感じ、もはや恋かもしれない……(黙れ

あとはOP主題歌の「宿命の楔」の「空へと かかる雲」あたりがすごく好きで、当時何度も見返していたことを思い出しました。

改めてグラフィックの綺麗さにも驚きました。空蝉のイラストレーターさんの絵、繊細かつ煌びやかで好きだなぁ。もっと色々な作品で見てみたい。

シリアスな展開が苦手じゃない&病み要素が好きな方には是非プレイして頂きたい作品です。

長くなりましたが、お付き合い下さりありがとうございました!

Vita版のレビューはこちら

『空蝉の廻』が好きな方におすすめの作品

月影の鎖

かつて観光地として栄えた閉鎖的な孤島を舞台に、激動の時代を生きる人々の戦いを描いた乙女ゲーム。

はっきり言って鬱ゲーですが、独特の雰囲気になぜか惹かれてやまない作品です。

『月影の鎖』は2作品発売されており、錯乱パラノイアが本編、狂爛モラトリアムがFD(後日談・新規攻略キャラあり)です。

終遠のヴィルシュ

誰もが23歳までに命を落とす呪われた国を舞台に、死神と呼ばれ忌み嫌われる少女が、国に蔓延る呪いの謎を追うシリアスなストーリーが魅力の乙女ゲーム。

これ以上しんどい乙女ゲームはないって位、主人公が酷い目に遭いますが、絶望の中で幸せをつかみとる的な作品が好きな方は是非。

こちらも本編とFDがあり。ErroR:salvationが本編で、EpiC:lycorisがFDです。

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実際に遊んだ感想も記事にしているので、良ければレビューも参考にしてみて下さい!

この記事を書いた人

モッチと申します。
2022年からゲーム特化WEBライターとして活動中。
プレイした作品や漫画の感想をのんびり書き綴って行きたいと思います。
時々謎の生物にゃっこが出現します(誰

ゲーム特化のWEBライターとして活動しており、企業サイト様への納品実績があります。レビューなど仕事のご依頼はお気軽にご連絡下さい。
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