オーディオ測定、オーディオ用測定器の解説

 測定器と、他は過去に学んだことへのコメント。

選択レヴェル計 アンドウAD-2430

2023年05月19日 | 測定器

 

 

 

 
 選択レヴェル計   アンドウAD-2430

 ヤフオクで落札したもの。不動品となっていた。開けてみたら電子的不調は無く、機械的不調が見つかり簡単に直った。複雑な構成の測定器であっても、複数の箇所が壊れているなんてことはあまり無い。

 

 本格的に電子工学を学んでない人が新品価格なら数百万もする機械をテスターだけでスイスイ直すなんてことはよくある。

 

 さて、信号というものは或る単一の周波数(ここでは基本波と呼ぶ)のみで構成されていることは少なく、大抵はその高調波や雑音などから成り立っている。そこでその基本波や高調波をそれぞれ抜き出して測定する(メーターで表示する)のを選択レヴェル計と呼ぶ。

 

 構成はスーパーラジオと似ていて、先ず機器の中で局発と呼ばれる局部発振器を作りそれと機器に入ってきた信号とを混合する。2つの信号の周波数の差分をメーターに表示する。スペクトラムアナライザはこれをディスプレーで表示したものだ。勿論スペクトラムアナライザのほうが使い勝手が格段に良いが、価格は高くなる。便利であればあるほど高額になり数百万というのは珍しくない。


 高調波や雑音を測定できるなら歪み率も測定できるか?となれば当然測定出来る。歪み率の定義は高調波の平方和の平方根を基本波で除したものだ。実際には二次高調波、三次高調波を測定できればほぼ十分な場合が多く、四次や5次を測っても測定値に与える影響は殆ど無い。

 これは計算すれば明らかなので、例えば二次高調波が10%あって、三次高調波が5%とした場合、歪み率は0.1^2プラス0.05^2としてその平方和は0.0125である。その平方根は0.1118である。これは0.1と看做しても有意差は少ない。4次や5次は二次や三次に比してさらにさらに少なくなるので無視してしまっても実用上は問題無い。

 歪み率10%というのはかなり多い場合であり、もう少し少なく二次高調波を3%とし、三次を2%とする。0.03^2プラス0.02^2の平方和の平方根は0.036である。つまり3.6%である。

 計算すると分かるが、二次より三次の歪に10dB以上の違いがある場合は10dB少ないほうは無視しても実用上の誤りは無い。二次と三次の関係が逆でも同じだ。勿論この場合も4次や5次は無視してしまって構わない。


 此処から先は究極のぶっちゃけ話になる。アンプの歪み率は或る程度低ければよく、メーカー製半導体アンプのように滅茶苦茶低くなくて構わない。0.01%など目指さなくて良い。

 

 いくらアンプの歪み率を良くしてもアンプの後ろには思いっきりヤクザなヤツ(スピーカーのこと)が控えている。それだから全体の結果に齎す効果が極小のものに拘っても始まらないことになる。

 

 言いたいことは、情報量のさほど多くない測定器である歪率計などに過大な投資をせず、近ごろの低コストで流布しているFFTアプリやFFT機能のあるデジタルオシロの入手でも考えたほうが安上がり、ということ。

 

 

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