「管理職が自分の10分の為に部下の1時間をとる」時の話
管理職の10分はどこまで重要か?
朝令暮改・右往左往。。。
いろいろな言い方がありますが、まぁ要は上流で1ミリずれると下流ではもっと大きなずれが生じます。
上流から下流までが長ければ長いほど末端の動く距離は大きくなります。
その中でガンガン振り回された挙句、何もいいことがなかったなんていう徒労感は働く人の気持ちを大きく削ぎます。
結果につながっているかがわからない管理職の10分
まぁそれは企業たるもの至る所で起こる訳です。
そこのお前のいる外資系企業だってそうです。
グローバルのトップが来るからと言って日本では日本のトップをはじめとしてあらゆる管理職が資料作りや体裁の整えに奔走します。
それが大体3週間から1か月程度の期間で準備がなされるわけですが、ミーティングにミーティングを重ねて備える訳です。
まるで敵が侵略してきたかのような扱いです。
いわゆる非常事態宣言のようにどこもかしこも大慌てになります。
本業のビジネス活動に加えてこれらのたくさんの見せるためだけの仕事がOnされるわけで、時間は無駄になっていくわけです。
ぶっちゃく、来たからと言っていいことは基本的にはありません。
重要なビジネス判断を即断即決してくれる場合はいいですが、それは他で行われますし、もっと複雑なプロセスがこの即断即決を阻みます。
ちょっと粗が目立つと指摘を食らい、業績が順調だと満足して帰っていく。
なので、いかに良く見せるか?ということに奔走するわけです。
ただそれだけです。
何かが圧倒的に加速するとかよくなるということは滅多にありません。
言ってみれば無価値です。
圧倒的なスーパーマンであれば意味があるのかもしれませんがいかにグローバルエリートと言っても万物において全知全能というわけにはいきません。
ちょっとだけ寄った国のちょっとだけ見た資料の中ですべてを適切に判断することはできませんし、事実そのようなことが起こる確率は圧倒的に低いです。
なので、問題があることは国だってわかっている中で訪問し、それを殊更に指摘して帰っていくだけってことだってある訳です。
まぁ、そういう流れに陥ると絶望的なわけです。
というか、だいたいはそういう流れになってしまうことが多く、得られるものに対して失うものが多すぎることから、ネガティブな効果を生み出さないために万全を期す守りを固めるといったスタンスになります。
社内に対して守りを固めるというのは全く以って意味不明ですが、まぁ大企業になればなるほど必要とされる確率が高まります。
普段仕事をしているかどうか不明な上席の人間がいきなり接待用のお店の確保に時間を使ったりとか、ここぞとばかりに色めき立っていろいろ無茶な資料作成を実行させる上司も現れます。
まぁ普段上の立場にいる経営層や上司陣にとっては比較的珍しい彼らが一生懸命アピールをしなければならない機会です。
それだけに必死になるのでしょう。
わざわざのオンパレード
わざわざまとめたテンプレートを変えなきゃいけない。
わざわざ見たいように見れるように追加のエクセルワークを加えなきゃいけない。
わざわざ疑問の解消のために他の人に念のために確認をしなければならない。
わざわざ一度言われた内容の資料を変えなければならない。
時には必要なんですが、これが毎日の仕事となるとなかなか重たい。
もちろん上の職位になればなるほど時間に対して任される責任も多くなるし、判断がもたらす影響が大きくなり、対処すべき事柄も多くなるわけです。
が、どこまで許されるでしょうか。
もちろん長い付き合いになればだんだん必要なこともわかって来るので、シンクロ率が上がることである程度省略することができます。
が、これがない場合はどんどん地獄に近づくわけです。
同じデータに基づいていくつもいくつも書き直しや作り直しが発生します。
正直、社内での無駄な資料作りになることも少なくないわけです。
仕事に意味を見出したい欲求は部下にだってある
もちろん、これが重大な投資承認への資料であるならば万全を期すことにも効果がないわけではないです。
が、これが上司のアピールや個人的なこだわりだったらどうでしょうか。
一気にやる気がなくなるとは思いませんか?
むしろ自分でやれよとすら思ってしまうわけです。
まぁ生意気だとかなんだとか言われようとも人間の感情はそういうもんなのです。
これが重なっていくと人は仕事に対して大きくやる気をそがれます。
管理職の10分が会社のための10分になっていれば貢献することに対する肯定感も上がるものですが、これが管理職のためだけの10分で会社のためでも自分のためでもない10分に自分の1時間が取られることは金をどぶに捨てているようなものだなぁと思うわけです。
逆に外資系企業ではそのあたりを割り切ってエクセルとパワーポイントマスターになる社員を養成しているところもあります。
なんと、仕事のすべてがパワーポイントの作成とエクセル資料の作成です。
基本的に社内から情報を可能な限り集めて、それを纏めて経営層にレポートするだけの仕事というものがあります。
それでそのまま管理職にもなれる場合もあります。
ですから、いかに大企業の中には実際のビジネスとかけ離れた分野が存在するかというのがわかっていただけると思います。
社内での資料作成の為だけの仕事です。
なんならその作成を外部の専門企業に委託している場合だってあるのです。
それぐらい会社における資料作りというのはありふれたものになっているわけですが、一部の経営層すらも非常にキレイで洗練されたスライドを作らせていたりします。
しかし、自分が何かを成し遂げる訳でもなければ何かを変える訳でもありません。
ただただ自分ではない誰かやどこかの話をそのまままとめるだけです。
実はそれによって離職率は非常に高かったりします。
グローバル中央組織での職務に移ってから短期間経験したのち、そのまま本国に戻るということも数多くあります。
もともと実際の現場におけるビジネスで成果を出す事が好きな人にとっては物足りなさを感じてしまうわけです。
これには心理学的にも確かに理由がある訳ですが、要はやっている仕事の目的や価値に自信を持てないことが問題なわけです。
たまに資料作りをするのであればいいですが、それがあまりにも重なり、それが自分にとってさして意味のないものとなると問題なわけです。
自分の時間が使われている対象に対して誇りを持てなくなるわけです。
これも仕事さ
まぁこれで給料がもらえているんだからいいか
なんて騙し騙し進むこともありますが、これで変な上司あたってひたすらに資料作成の内容をめぐってギャーギャー文句を言われてはかないません。
だから、管理職として「部下は上司のためにどんなことでも時間を使ってくれる」と考えることは非常に危険なわけです。
特に優秀でやる気がある部下程、こういったことに対して嫌悪感を持たれると困ってしまいます。
だってすぐにやめていかれてしまうから。。。
これからの管理職は部下の時間の使い方にすら気を配らなければならないわけです。
もちろん、何が何でも周りの時間を自分の為に使わせることも一つの能力ですが、それは嫌悪感や反感を買わない範囲においてという条件付きです。
全く管理職は大変ですねぇ
なんてね。。。