かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 252

2024-04-29 16:43:08 | 短歌の鑑賞
 2024年版 渡辺松男研究まとめ30(2015年8月)
        【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)103頁~
         参加者:S・I、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
          レポーター:S・I  司会と記録:鹿取 未放


252 数知れぬ精霊蜻蛉浮かばせて秋空もまた地球と回る

      (レポート)
 秋空に数知れぬ精霊蜻蛉が浮かんでいる、いつしか秋空が回り、地球という天体も回っている。この歌は反復、循環という点で245番の歌(たえまなきみずのながれにみずぐるま未来回転して過去となる)に通じるものがあるが、精霊蜻蛉というきわめて土着的な語が用いられている。精霊蜻蛉とは、盆の頃に現われ「死者の霊が、トンボに姿を変えたもの」などといわれている。過去の時間へ消えてしまった数多くの死者の霊がこの世に現れ、回っている姿は、何かを語りかけているようだ、が、地球は止むことなく回り、死者を見送った人々もやがて死者となり、そして精霊蜻蛉となって、秋空に浮かぶのであろう。(S・I)


    (当日意見)
★精霊蜻蛉が一斉に回っているのは壮観ですね。(S・I)
★下句が上手。地球が回っているから秋空もまわっているように見えるんだけど。
   (慧子)
★意表を突いているけど納得させられますね。(S・I)

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