Don Henleyの1984年発表のソロ作
豪華ゲストを招いた贅沢な作りとなっている
相変わらずクオリティの高さはいうまでもなく、表題曲" ビルディング・ザ・パーフェクト・ビースト "
を始めとしてどの曲も彼らしい詞とリズムを味わうことができる
その中でもイチオシはやはり" ボーイズ・オブ・サマー "で、哀愁を誘うどこか物悲しい雰囲気の詞と曲
まるで目を閉じれば詞の情景がそっくりそのまま浮かんでくるようである
歌い方は、当然変わりないドン・ヘンリー節だが、トム・ペティの相棒マイク・キャンベルが本アルバム
で本当にいい仕事をしているので、その影響でフォークというより当時のアメリカン・ロックの作風が
心地よい
§ Recorded Music §
1 The Boys of Summer - ボーイズ・オブ・サマー
2 You Can't Make Love - ユー・キャント・メイク・ラヴ
3 Man With a Mission - マン・ウィズ・ア・ミッション
4 You're Not Drinking Enough - ユーアー・ノット・ドリンキング・イナフ
5 Not Enough Love in the World - ノット・イナフ・ラヴ・イン・ザ・ワールド
6 Building the Perfect Beast - ビルディング・ザ・パーフェクト・ビースト
7 All She Wants to Do is Dance - オール・シー・ウォンツ・トゥ・ドゥ・イズ・ダンス
8 A Month of Sundays - マンス・オブ・サンディズ
9 Sunset Grill - サンセット・グリル
10 Derivin' with Your Eyes Closed - ドライヴィン・ウィズ・ユア・アイズ・クローズド
11 Land of the Living - ランド・オブ・ザ・リヴィング
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多くの曲は、ドン・ヘンリーとダニー・コーチマー(g)中心の共作で、演奏にスティーヴ・ポーカロ
( TOTO )、デヴィッド・ペイチ( TOTO )、リンジー・バッキンガム( フリートウッド・マック )、
チャーリー・セクストンが参加している
プロデュースはドン・ヘンリー自身、ダニー・コーチマー、グレッグ・ラダニの3人
" ボーイズ・オブ・サマー "はドン・ヘンリーとマイク・キャンベルの共作でシングル・ヒットとなった
サウンドが洗練されている上に空虚で短く言葉を切った歌詞が巧みで、プロモーション・ビデオも
素晴らしい
" ビルディング・ザ・パーフェクト・ビースト "は、ドン・ヘンリーとダニーコーチマーの共作で、不思議
な歌詞 ’’ 完璧な怪物を想像している。生物が海から出て直立できるようになっても( 人類まで進化
しても )理解できないことがある。人類をメトシェラ( 旧約聖書の「 創世記 」に登場する969歳まで
生きたとされる伝説的な人物 )に変えよう ’’との内容
ドン・ヘンリーの書く歌詞というのは、上っ面だけではやたら陽気なカリフォルニア/アメリカへの
違和感や喪失感というのが込められているのだが、それが上質な西海岸のロックン・ロールにのると
うまく歌詞全体としてカリフォルニアの陽( 音 )と陰( 歌詞 )のバランスにマッチする
アメリカ人にとっては、ロックン・ロールが十分に深い感情や哀感を表現できるツールなんだという
ことを本作を聴いて再確認できるし、そいう意味ではシンセが活躍するモダンな音の本作を良しとしない
ファンの人もいるのもよく分かる
1982年に発表した前作はイーグルスのイメージが色濃く、本作はプロデュースのダニー&グレッグに
よる適度なテクノっぽさが絶妙で、彼のエモーショナルなヴォーカルと調和して、まさにアダルト・
コンテンポラリーな作品に仕上がっている
打ち込みのリズムに、表情豊かで印象的なギター、枯れたヴォーカル…この曲、そしてこのアルバムの
1969年以来のスピリットは切らしていますと歌った" ホテル・カリフォルニア "が70年代を代表する
ナンバーであるなら、道には人通りはなく、浜辺にも人影はないと歌い出す" ボーイズ・オブ・
サマー "は80年代を代表する一曲だといっても過言ではないだろう
何はともあれ、70年代、80年代のロックを生き、ロックを歌として歌える稀有な存在であるドン・
ヘンリーの本作に、一度耳を傾けてみてほしい