バンド・グルーヴを軸にギター・シンセサイザーなどを駆使して
ドラマティックなサウンドを構築した代表作
スティーヴ・ハケットのソロ第3作は、ジェネシスでも発揮された耽美で神秘的な面と、キャッチーな
面がバランスよくまとまったアルバムとなった
時代の空間をつかんだ勢いのよい曲に、しっかりプログレ・テイストを入れ込み、そして多彩な曲想も
彼ならではで、ダークな色合いが強調されるブリティッシュ・プログレだが、本作は元気で明るい面を
強調しているといってもいいと思う
エフェクトで加工されたエレキ・ギターと対象的なアコースティック・ギターの透明な音も印象的であり
また、ニック・マグナスによるキーボード・サウンドの充実もキーポイントになっている
ジェネシスのギタリストから個性的なアーティストへと一歩進んだイメージを与える名盤である
§ Recorded Music §
1 Every Day - エヴリ・ディ
2 The Viegin and the Gypsy - ザ・ヴァージン・アンド・ザ・ジプシー
3 The Red Flower of Tachai Blooms Everywhere - ザ・レッド・フラワー
4 Clocks - クロックス
5 The Ballad of the Decomposing Man - ザ・バラード・オブ・ザ・ディコンポージング・マン
6 Lost Time in Córdoba - ロスト・タイム・イン・コルドバ
7 Tigermoth - タイガーモス
8 Spectral Mornings - スペクトラル・モーニングス
§ Personnel §
Steve Hackett - スティーヴ・ハケット( G )
Pete Hicks - ピーター・ヒックス( Vo )
Dic Cadbury - ディック・キャドバリー( B,Vio )
Nick Magnus - ニック・マグナス( Key )
Jhon Hackett - ジョン・ハケット( Flt,B )
Jhon Shearer - ジョン・シェアラー( Ds )
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75年発表の1st" ヴォヤージ・オブ・ジ・アカライト "では、ジェネシスを踏襲したシンフォニックな
良質のプログレ作品、続く78年の2nd" プリーズ・ドント・タッチ "では実験色豊かな意欲作であった
3rdである本作は、それまでの軌跡を足掛かりに、より高いレベルでの内容を見事に具現化している
メロディックかつシンフォニック楽曲は、ロック・チューンからアコースティック・ナンバーまで
ユーモラスでバリエーションに富んでいる上に質が高く、それを表情豊かに描き出している演奏面も
充実している…バンド形式によって制作されたのも大きな要因だろう
これだけ色々なことをやっていながら、散漫にならずうまくまとっていて独り善がりな面は微塵も
感じさせず、自由な創作環境を得てそれをフルに活かして自身の理想を生み出した本領発揮の傑作である
英国トラッドや東洋音楽風味を効かせた過去を回想する曲がいくつか並び、最後に" 虹色の朝 "がくる
ソロ作品なのに非常にジェネシスらしい世界観を感じさせ、無邪気で残酷、幽玄でありながら重い音楽が
さらに天を駆けるような独特のギターのトーンは一度聴けばすぐに判別できてしまう個性である
楽曲はバラエティに富んでいて一曲一曲に個性があり、あまりギタリストだというのを全面に出さず
アンサンブルとアレンジで聴かせている
もちろん弾きまくるところは弾きまくっているが、スティーヴ・ハケットとシンセサイザーと聴き間違う
ギター・サウンドは癒やされる
内容は素晴らしいの一言に尽きる、アコースティック、エレクトリックを駆使してドラマティックな
曲構成と美しいメロディにあふれ、ポップな意匠を凝らした聴きやすさも兼ね備えている
" エヴリ・ディ " " タイガーモス "、そしてラストのタイトル・チューン、いずれもジェネシスの中期に
負けず劣らずの名曲名演だが、ヴォーカルが弱い
スティーヴ・ハケットがいかに初期のジェネシスに多彩なアイディアを持ち込み、メンバーに影響を
与えていたかがなんとなく想像できる
そしてもし彼が80年代のジェネシスに在籍していたら、なんて考えるのも楽しい