元Freetwood MacのBob Welchの傑作ソロ作
元フリートウッド・マックのメンバー、ボブ・ウェルチのソロ・デビュー作で、フリートウッド・マック
のアメリカでの成功の足掛かりを築くのに貢献した彼だが、その後のバンドの記録的な成功によって
その功績や存在が霞んでしまった感は否めない
しかし、彼自身のソロではそれなりの成功を収めている1977年発表の本作は代表作であり傑作である
アメリカ人ながら、ブリティッシュ・ロックにも通じる哀愁を帯びたポップなメロディを煮え切らない
ヴォーカルで歌い上げているし、エッジの聴いたギターと当時の流行を捉えたディスコティックな
ストリングスのアレンジも良い
§ Recorded Music §
1 Sentimental Lady - 悲しい女
2 Easy to Fall - イージー・トゥ・フォール
3 Hot Love, Cold World - ホット・ラヴ、コールド・ワールド
4 Mystery Train - ミステリー・トレイン
5 Lose My Heart - ルーズ・マイ・ハート
6 Outskirts - アウトスカーツ
7 Ebony Eyes - エボニー・アイズ
8 Lose Your - ルーズ・ユア
9 Carolene - キャロリーン
10 Dancin' Eyes - ダンシン・アイズ
11 Danchiva - ダンシヴァ
12 Lose Your Heart - ルーズ・ユア・ハート
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ボブ・ウェルチのヴォーカルは割と淡白で、逆にこのことがありきたりの音ではないソリッドなギターや
ベースの音をパリスで追求した理由のひとつでもあったのかもしれない
そして、この" フレンチ・キッス "では、ギターやベースがうねるようなメロディを作ったり、きれいに
音が散乱することで熱い気持ちを現しながら、ヴォーカルは淡々としていてフリートウッド・マック時代
そのままの優しさを持っている
" フレンチ・キッス "は、人工的な感触の音作りなのにポップで暖かな雰囲気を名盤となった
中期のフリートウッド・マックを支えたボブ・ウェルチが、パリスで培ったハード・ロックな音作りに
本来のポップな曲作りをミックスして作り上げたソロ・アルバムである
鳴かず飛ばずのブリティッシュ・ハード・ロック・バンド、パリスを経てポップス路線に戻った作品で
彼の本質を知るのふさわしいのは、ベスト・アルバムや過去の曲を再録したセルフ・カバーなどではなく
この" フレンチ・キッス "で、" エボニー・アイズ " " 悲しい女 "以外にもまずまずの佳曲揃いでビートルズ
チルドレンという共通項を持つELOのジェフ・リンにも通ずるポップ・センスと卓越したメロディ
メイカーとしての才能を感じることができる
以降、AOR路線が続くがパリスから引きずるハード・ロックの香りと微妙に屈折したポップ・センスの
微妙なバランスが成立し魅力的である
このアルバムは本国アメリカでも日本でも大変に売れたメジャーな作品で、シングル・カットされた
" 悲しい女 "は1978年の米ビルボードのHOT100チャートで最高位8位、同じく" エボニー・アイズ "が
最高位16位とヒットを記録した
この2曲は、当時日本でもラジオや有線で流されていて、後に流行するAORの先駆け的存在ともなった
シティ・ポップスである
ボブ・ウェルチは" 噂 "で大成功する前のフリートウッド・マックに在籍していたが、そのときのアルバム
例えば" フューチャー・ゲーム "も" 噂 "に引けを取らない作品なので、未聴の人も聴いててもらいたい
また、彼はパリスというハード・ロックのグループもやっていたが、それもシティ派の独特なハード・
ロックでお洒落だった