Tuesday 17 October 2023

歌詞 求めよ...運命の旅人算

BEYOOOOONDS(2023年)作詞:児玉雨子

旅人算

たまたまFMで聴いた,変わった名前のアイドルグループの曲です.問題も答も歌詞の中にありますが,歌ではなくしゃべっています.

【問題】A町とB町はビヨーンと5km離れています。西田さんがA町から徒歩で毎分50m、里吉さんがB町から自転車に乗って毎分150mで同時に出発すると、2人が出会うのは何分後になるか、求めよ。

♪ どうすんの? 足す? 引く?
♪ さあこうするの 足す! 引く!
♪ 1分間にほら 200mずつ 接近 距離を割れば…  
25分後! 

【問題 その2】平井さんは、ひと足先に夢に向かって3km先を毎分200mで走っています。江口さんが頑張って毎分450mで追いかけたら平井さんに何分後に追いつくか、求めよ。

♪ どうすんの? 足す? 引く?
♪ さあ今度はね 引く! 引く!
♪ 1分間にほら 250mずつ 差が 縮んでゆくよ 
12分後!

1問目は,1分間に200mずつ接近していくので 5000÷200=25分後でいいのですが,2問目の答はあり得ないですね.1分間に250mずつ差が縮むので 3000÷250=12分後でいいと思いそうですが,人間は分速450mで12分間は走れません.その距離は450×12=5400m になりますが,2023年10月現在,男子5000m走の世界最高記録は12分35秒,つまり人類は5400mを12分で走ることは不可能なのです.なので,正解は「追いつけない」ということになります.因みに,分速200mはフルマラソンを約3時間31分で走るペース,分速450mは男子1500m走の世界記録(3分26秒00)を少し上回るペースになります.

おっと,問題文には「走って追いかけたら」とは書いてないので,自転車などの乗り物に乗れば可能か! と思って動画を確認したら,案の定,走って追いかけていました(笑).やはりこれでは追いつけませんね.もし乗り物なら,分速450mは時速27kmなので追いつくのは可能でしょう.

https://www.youtube.com/watch?v=O3kaftbzX1s

ところで,このような旅人算をはじめとする,鶴亀算や植木算などはまとめて「特殊算」と呼ばれていることを最近になって知りました.

海外でもこのようないわゆる文章題 (word problem または problem solving) はいろいろあります.たまたま grade 6(6年生)の旅人算をひとつ見つけました.考えてみてください.

The distance between Harry and Kate is 2400 meters. Kate and Harry start walking toward one another and Kate' dog start running back and forth between Harry and Kate at a speed of 120 meters per minute. Harry walks at the speed of 40 meters per minute while Kate walks at the speed of 60 meters per minute. What distance will the dog have travelled when Harry and Kate meet each other?       (Free Mathematics Tutorials 改題)

ハリーとケイトは2400m離れています.ハリーは分速40mで,ケイトは分速60mで,お互いに向かって歩き始め、ケイトの犬はハリーとケイトの間を分速120mで行ったり来たりします.ハリーとケイトが出会うとき、犬は何m進んでいるでしょうか?(筆者訳)

[解答]
2人が出会うまでの時間は 2400÷(40+60)=24(分)で,その間に犬は行ったり来たりするけれども等速で24分間移動しているので,進んだ距離は 120×24=2880 (m) になります.

ただ,2人が近づくほど犬は短い時間に行き来しなければならず,その時間と移動距離は無限等比級数になってしまいます.その極限値が24分,2880mになることを確かめてみましょう.

出発してから経過した時間をx軸に,ケイトがいた場所からの距離をy軸にとると,それぞれの動きは次のような式になり,グラフに表すと下のようになります.

  ケイト $y=60x$, ハリー $y=-40x+2400$,
  犬   OA: $y=120x$,AB: $y=-120x+3600$,BC: $y=120x-1200$,
      CD: $y=-120x+4200$,...... 


各点の座標(犬が出会った時間,出発地点からの距離)を計算すると,次のようになります.
O(0, 0)   A(15, 1800)   B(20, 1200)   C($\frac{45}{2}$, 1500)   D($\frac{70}{3}$, 1400) ......

△OAB∽△BCDなので,対応する点を考慮して,AからC,BからDの変化を見ていきます.

出発して最初にケイトに出会うまでの時間(点Bのx座標)は20分,次にまたケイトに出会うまでの時間(点Bと点Dのx座標の差)は $\frac{70}{3}-20=\frac{10}{3}$ 分なので,かかった時間の和は,初項a=20,公比$r=\frac{10}{3}÷20=\frac{1}{6}$ の無限等比級数になり,その和は次のようになります.$$20+\frac{10}{3}+\cdot\cdot\cdot\cdot\cdot\cdot=\frac{20}{1-\frac{1}{6}}=24$$犬の移動距離は,OからAまで(点Aのy座標)が1800m, AからBまで(点Aと点Bのy座標の差)が600m,BからCまで(点Bと点Cのy座標の差)が300m,CからDまで(点Cと点Dのy座標の差)が100mなので,奇数番目の項の和と偶数番目の項の和は,それぞれ公比$300÷1800=\frac{1}{6}$,$100÷600=\frac{1}{6}$ の等比級数になり,その和は次のようになります.$$(1800+300+\cdot\cdot\cdot\cdot\cdot\cdot)+(600+100+\cdot\cdot\cdot\cdot\cdot\cdot)=\frac{1800}{1-\frac{1}{6}}+\frac{600}{1-\frac{1}{6}}=2880$$というわけで,行ったり来たりする犬の移動時間と距離を確認できました.でも実際,こんな動きは不可能ですよね(笑).

[Reference]

Grade 6 Maths word Problems @Free Mathematics Tutorials
https://www.analyzemath.com/middle_school_math/grade_6/problems.html

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