【どこかのものがたり】





ウチュウの企画屋さんたちは
企画書を手に持ち
さてどこへ持ち込むか、と
チキュウをながめていました

ひとり、ふたりと
チキュウへと降りていきます

あ、あの企画とおったんだ
この企画もとおったんだね
ウチュウにいる
企画屋さんたちは
チキュウを眺めていました

この企画はどこへ持ち込もう…
ウチュウにいる
企画屋さんたちが
思っていたあるひ
チキュウにスキマがみえました

あそこなら
この企画を見てくれるかもしれない

企画屋さんたちは
チキュウへ降りていきました

スキマにいた店長さんは
とても呑気

のんき
ノンキ

もうどの言葉でも表現出来ないくらい
暢気

なかなか企画書をみてくれません

企画屋さんたちは
列に並びながら
その時を待ちます

このひと
この列
みえてんのかな?

しかし
ある春の日に
店長さんは
企画書を見始めました

それは
まったく予想もしなかったことで
並んでいた企画屋さんたちも
びっくり

でも
店長さんは
数枚の企画書をみたあと
その次をみようとはしませんでした

企画屋さんたちは
考えました

ここで待つべきか
他へ行くべきか

でも
長い間ウチュウで待ったのです

スキマを見つけて
ここだ!と思って降りたのです

もう少し
もう少しだけ
列を作ることにしました

春の日から秋になりました

企画書がめくられる音がして
企画屋さんたちは
うとうとしていた目を覚ましました

店長さんが
なぜか
企画書を読み始めたのです

次の方どうぞ
と言う声が聞こえます

企画屋さんたちは大喜び

待った甲斐があるというものです

ニッチな企画書を
チキュウに持ち込みたくて
ウチュウをうろうろ

企画書さえ見てもらえればいいのです
チキュウにタネが降りれば
そうなれば
ウチュウの企画屋さんたちは
そこへ

**************


ウチュウの企画屋さんたちは
企画書をもって
列をつくります

チキュウノスキマ
そこが窓口

待ち望んだ窓口が
やっとひらいたのです

企画書を手に
企画屋さんたちは
今日もスキマのドアをくぐるのです


【どこかのものがたり】