2024年4月28日日曜日

25. 恐怖や他の情動的な問題が軽減され、そして、より適応的で機能的な社会的行動様式を通して社会的能力が改善されたとき、パーソナリティは変化するのか(ウォルター・ミシェル(1930-2018)

 恐怖や他の情動的な問題が軽減され、そして、より適応的で機能的な社会的行動様式を通して社会的能力が改善されたとき、パーソナリティは変化するのか(ウォルター・ミシェル(1930-2018),

 「恐怖や他の情動的な問題が軽減され、そして、より適応的で機能的な社会的行動様式を通して社会的能力が改善されたとき、パーソナリティは変化するのかという疑問はまだ残っている。

その答えはパーソナリティの定義によるだろう。重篤な吃音や制御できない顔面チックのような不利な行動を変化させることでも、苦痛で恐怖を発生させる情動的な反応を除去することでも、人々の自分自身や自己概念についての感じ方が改善するというかなりの証拠がある(例:Bandura,1997; Meichenbaum,1995)。

自己概念と自尊心は、少なくとも一部は個人の実際の能力や行動が他者によってどのようにみられているかを反映する傾向がある(例:Leary & Downs,1995)。

私たちの自己知覚は、私たちが自分の行動の適応適性について得る情報を含んでいる。そしてもしこれらの自己知覚がパーソナリティの一部であるなら、行動がより適応的で、満足できるものになったとき、パーソナリティは変化する。

より有能に仕事ができることを学習した人は、より多くの満足感を得て、自己に対するより肯定的な態度を発達させる可能性が高い。恐怖や不安を克服できた結果、人はさらに自信ももつようになるに違いない。」(中略)

「しかし、それはしばしば真実かもしれないが、いつでも必ず起こるわけではない。実際、行動療法を批判する人たちは、患者たちの行動が不適切だからではなく、それを不当に評価するから、苦しんでいると指摘している。つまり、遂行ではなく歪曲された自己概念の問題をもっている人たちがいる。

しばしば人は、自分のまわりやもっと遠くの社会にいる人たちよりも自分自身がたいへんに変わっているというラベルを張り、自分の行動に対したいへん変わったものであるかのように反応する。」

(ウォルター・ミシェル(1930-2018),オズレム・アイダック,ショウダ・ユウイチ『パーソナリティ心理学』第Ⅳ部 行動・条件づけレベル、第11章 行動の分析と変容、pp.360-361、培風館 (2010)、黒沢香(監訳)・原島雅之(監訳))

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