Yoっち☆楽しくお気楽な終活ガイド

Yoっち☆楽しくお気楽な終活ガイド

アラフィフの生活や周辺で起きたことを書いています☆
そしてときどき
終活のガイドをさせていただきます

現在、BTSの底なし沼にハマり浸かっております
ガチガチのグテペンです
現在、テヒョンとジョングクをモデルに小説を執筆中☆

アラフィフを迎え、好きなこと、やりたいことをやっております音譜
終活もチラホラ見え隠れし始めたお年頃
自分らしさを謳歌していきますよ(^∇^)



前回の物語

物語の続きが始まります✨✨✨



【ジョングクの祝賀会】


扉を叩く音が部屋に響く。パックスがヒョイと頭を上げた。
「失礼致します。」
ハンスがそっと扉を開けて入って来た。
「おやおや、、、」
ベッドを見て思わず笑みをこぼした。そこには、パックスを間に挟んで横たわる二人の貴公子が眠っていた。
ハンスが近づいていくとパックスがキュンキュンと鳴き出した。よしよしと頭を撫でてやる。

「ジョングク様、そろそろお時間でございます。」
「・・・ん、、、」
ハンスの呼び掛けに頭を上げた。もうろうとした中で状況を確認しようと辺りを見回した。相変わらずの寝起きの悪さにハンスが笑う。
「キム公爵、ハンスでございます。」
今度はテヒョンに声を掛けた。
「う・・・ん、、、」
寝たまま伸びをしてからて起き上がると、
「いつの間に眠ってしまったのだ?」
と辺りを見回した。
テヒョンの声でようやく覚醒したジョングクが、目の前のテヒョンの頭を見て笑う。
「寝癖が可愛らしい、、、」
そう言ってはねた毛先に触れた。
「笑ったな。」
テヒョンがふざけ半分でパッとジョングクの指を払う。ハンスが二人のやり取りを微笑ましく見ていた。

衣装係が部屋に来て、二人の衣服の乱れを整えて身支度を済ませる。

テヒョンやジョングクの足元を行ったり来たりしていたパックスは、飼育係に託された。

「そうだ、テヒョン様がこの子の名付け親になって下さり、名前がパックスに決まった。パックスと呼んでやってくれ。」

「はい、かしこまりました。」

飼育係は深々と頭を下げると、パックスを抱いてジョングクの部屋を出て行った。

「また後でな、パックス。」

テヒョンが髪を整えてもらいながらパックスに声を掛けた。

「寝癖のお姿も可愛らしくてよかったですが、いつもの凛々しいあなた様にすっかり戻りましたね。」

見惚れた視線のジョングクに、テヒョンは照れ隠しで少し頭を傾げて笑ってみせた。


二人は誕生会の会場となるチョン伯爵家の中で、1番格式の高い大広間へ向かった。
会場の前まで着いて係が大広間の扉を開けると、一斉に視線が入口に向けられた。ジョングクはテヒョンを先に行かせようとしたが、
「今日の主役は君だよ。」
と言われ前へ出るよう誘導された。
主役が会場に入ると、拍手で迎えられる。続いてテヒョンが入って来たので、更に拍手が大きくなった。

出席者に会釈をしながら歩いていると、ジョングクの席の近くに、ジョンソン夫妻が着席しているのが目に入った。
テヒョンがその隣の席に案内され、ジョングクはテヒョンの隣に座った。
「久しぶりだな、トーマス。」
「ご無沙汰しております。テヒョン様。」
「フランシスも体調は大丈夫なのか?」
「はい、おかげさまで。ご心配下さりありがとうございます。」
久しぶりの再会だったが、ここでは軽く挨拶をして食事会が始まるのを待った。

出席者が全て揃い、各々のグラスにシャンパンが注がれていく。テヒョンとジョングクのグラスも満たされた。
「キム公爵、どうぞ乾杯のお声掛けをお願い致します。」
ハンスに頼まれてテヒョンがジョングクの顔を見ると、笑顔で頷いている。
テヒョンは立ち上がってグラスを持った。
「皆様どうぞグラスをお持ち下さいませ。キム公爵から乾杯のお言葉を頂戴致します。」
ハンスが声を掛けると、出席者が皆グラスを持って立ちあがった。テヒョンは会場をぐるりと見回した。
「今日は私の優秀なる右腕、チョン・ジョングクの為にお集まり頂き、誠にありがとうございます。
チョン伯爵の幸せと、ここに集う皆様方の幸せを祈り乾杯の言葉と致します。乾杯!」
「「乾杯!」」
拍手と共に、
「ジョングク様おめでとうございます!」
「伯爵おめでとうございます!」
と、方方から祝福の言葉が飛んできた。
テヒョンも隣で拍手を送りながら、自分ごとのように皆からの祝福を喜んだ。

「ありがとうございます、テヒョン様。」
席に着くと乾杯の礼を言った。
「君の為ならお安い御用だ。改めてお誕生日おめでとう。」
テヒョンはジョングクの肩にそっと手を置いて、もう一度乾杯のグラスを傾けた。
乾杯が終わると、一斉に食事が運ばれた。この日の祝賀メニューは、全てジョングクの好みの内容になっている。
食事が始まると、そこここのテーブルからの談笑で賑やかになった。今回の出席者はジョングクと懇意にしている親類や、軍関係者達が集まった。

「皆様、こちらにご注目下さい。」
ハンスの呼び掛けに皆の視線が集まった。
「ジョングク様とご親交がございます、ジョンソン男爵夫人お手製のバースデーケーキでございます。」
厨房の職員の手によって、三段に飾られた美しいケーキがワゴンで運ばれてきた。その華やかさに会場内がどよめく。
「フランシス、妊娠中なのに私の為に作って下さったのか?」
「ええ。もう身体の辛い時期は過ぎましたので、楽しみながら作らせて頂きました。」
この位はどうってことない、といったようなフランシスの答えにジョングクは感動した。
「ありがとう!」
「今回のケーキも美しいな。この会場に居合わせた誰もが見惚れているぞ。」
テヒョンが周りの様子を眺めながら言った。

「さぁ!ジョングク様。こちらにいらして蝋燭の火を吹き消して下さいませ。」
ジョングクは呼ばれて照れながら、会場の中央に置かれたケーキの所まで来た。
「お願い事を心で唱えてから一気にどうぞ。」
ハンスがそっと耳打ちした。
ジョングクは胸に手を当てると、目を瞑り願掛けをする。ゆっくり目を開け視線の先にいるテヒョンと目が合うと、にこりとした。それから一気に蝋燭の火を消すと、会場から拍手が湧いた。
「これから皆様にご賞味頂きますので、今しばらくお待ち下さいませ。」
紅茶が淹れられると、バースデーケーキはその場でカットされ、各々のテーブル席に配られて行く。

「フランシスの作るお菓子は、本当に毎回毎回美味しいな。」
テヒョンが嬉しそうに頬張る。
「トーマスは幸せ者だ。」
ジョングクも心からそう思った。
「はい。ですが太らないように気を付けないと、、、。」
「そういうのを贅沢な悩みと言うのだ。」
テヒョンに言われてトーマスはにやけながら頭をかいた。

「そうだ、改めて妊娠おめでとうフランシス。我々も君達の子どもが生まれてくるのをとても楽しみにしているよ。」
「ありがとうございます、テヒョン様。」
フランシスは両手でお腹を包んで微笑む。
「この間初めてお腹の子の動きをこの手で感じられました!」
トーマスが興奮気味に自分の右手を掴んで話すので、フランシスが吹き出して笑った。
「まだ目立たない大きさですけれど、胎動というものが感じられるようになりましたの。」
「そうか、、、お腹の子も元気に育っていることが、触れて分かるようになってきたのだな。」
テヒョンは段々と家族らしくなっていくジョンソン夫妻をとても嬉しい気持ちで見ていた。

しばらく4人で談笑を続けていると、軍服に身を包んだ者達が、ジョングクに挨拶をしに来た。
まずその前にテヒョンに深々と挨拶をする。ジョングクが簡単に軍の関係者をテヒョンに紹介をして、
「少しすみませんテヒョン様。」

と言うとトーマスと共に中座した。

残された二人は見送っていたが、フランシスがすかさず話を切り出した。

「テヒョン様、そのブレスレットはジョングク様とお揃いでいらっしゃいますよね?」

「うん、、、今日の誕生日の為に僕が図案を考えて作らせた物だ。」
テヒョンは右手をかざしてフランシスに見せた。
「まぁ、これはお二人の誕生石が入っているのですね。素敵ですわ、、、」
微笑ましくそのブレスレットを眺めながら賞賛した。テヒョンは少し照れ笑いの表情になる。
「テヒョン様はとてもロマンチストでいらっしゃいますのね。」
「そうか?あまり意識はしたことがないが、、、」
フランシスは首を振って笑った。

「テヒョン様、、、」
今度は真剣な表情で話を切り出す。
「夫から聞いたのですが、ジョングク様の所属部隊が最近激務でとても大変らしいのです、、」
「うん。僕も本人から直接聞いている。」
「夫は近衛兵ですので宮廷でのお仕事が殆どだったのですが、最近実践訓練の時間が増えました。」
「そうか、、、」
「ヨーロッパ各地で暴動が起きて、戦闘に変わりつつある噂が、街なかでよく聞かれるようになりました。」
「うん。国王陛下はじめ僕の父上もセオドラ卿も、有事に発展しないよう奔走されておられる。」
「私は軍人の妻になるために、何事が起きてもしっかり支えになるよう、覚悟を決めて夫と一緒になりました。」
テヒョンはハッキリとした口調のフランシスに見入る。

「私が言うのもおこがましいことでございますが、、、お二人がお心を通わせていらっしゃると確信致しまして申し上げます。」
フランシスはそう言うと、一呼吸を置いてから続けた。
「ジョングク様を何があっても手放されてはなりません。」
「え?」
「あの方は貴方様を守る為に、黙ったままご自身の事を犠牲にしようとなさるでしょう。」
「いや、でも僕達は何事もお互いに打ち明け合おうと約束をしているのだ。」
「はい。勿論そのお言葉に嘘偽りなどあろうはずがありません。それは分かります。」
「ではなぜだ?どうしてそう思うのだ?」
フランシスはしばらく考えていた。
「私もうまくは説明が出来ないのですが、、勘なのです。胸騒ぎというか、、、もしかしたらジョングク様ご自身も意識をされているわけではないかもしれません。」
テヒョンは困惑した。
「私はお叱りを覚悟で申しております。お幸せそうなお二人を私も見守って差し上げたい。その一心でのお願いでございます。」
「僕があなたを叱るはずがないだろう。心配してくれてのことだ有り難いよ。」
「・・・戦争など争い事なんて無くなればいいのに、、、その先にあるのは家族や恋人と引き裂かれた人々と、弱い立場の子ども達だけです。」
フランシスは語気を強めて言うと少し涙ぐんでいた。

「よく分かった。あなたからの言葉はちゃんと心に留めておくよ、ありがとう。ほらほら、あまり興奮するとお腹の子によくないぞ。」
テヒョンの落ち着いた声にフランシスはやっと笑顔になった。
ヨーロッパ各地で勃発した暴動は、今や戦闘にまで変わり、ジワジワと隣接する地域や国に拡がりつつある。その脅威が軍や政府を越え一般社会にも影を落とし始めている事にテヒョンは憂いだ。
ジョングクとトーマスは軍の関係者達と談笑をしていたが、その内何やら込み入った話をし始めたようで、表情に緊張感が見てとれた。



【不穏な風と暗雲の雲行き】


ーー《チョン伯爵領内》ーー

チョン伯爵家領内にある、聖プレブロシャス教会には、実は隣接してもうひとつ会堂があった。
そこに国王、大公とセオドラ卿が顔を揃えていたが、もう一人、ナポリ王国からフェリペ国王の信任を受けて伯爵が派遣されていた。
その伯爵の名前は、ランベルト・ディ・ソレンティーノといって、セオドラ卿の妻方の兄弟で義理の兄に当たり、ジョングクの伯父である。
元々チョン伯爵家は《ヴァンティーダ族》という古くからの種族の直系本家であって、ソレンティーノ伯爵家は分家に当たる。また、英国のチョン伯爵家同様、ソレンティーノ伯爵家はナポリ軍で代々最高機密部隊を司る家柄だった。
今回ヨーロッパ中に拡がりつつある暴動の今後の対策と、万が一の時の防衛について話し合いの為に集まったのだ。

「セオドラ殿、確か今日はジョングクの誕生日でありましたな。」
「ええ、今は屋敷でちょうど会食中ですよ。」
「そうでしたか。あの子は既に軍務に就いていると伺いましたが。」
「去年に入隊致しました。」
「なるほど、しかし根が優しいあの子には任務とはいえ、私は少々気の毒にも感じているが・・・」
セオドラ卿は大きく頷いて、
「義兄上の言う通りです。が、、、優しいが故に万が一の事態には、自己犠牲に走るのではないかと懸念しております。」
と不安を漏らした。
ソレンティーノ伯爵はセオドラ卿の肩に手を置いた。

「フレデリック国王陛下、ナポリでは戦闘が起きている国に隣接する国境付近には、国境警備隊の増員をして、暴徒者の不法侵入に警戒を強めております。」
「我が国では、海軍と沿岸警備隊の相互により、全ての港での入国に目を光らせておる。まずは《手続き》を重視し、あからさまな軍備配置で煽ることがないように努めている。」
「はっ、それが賢明かと存じます。軍事攻撃はあくまでも最終手段ということで、ナポリ王国も足並みを揃えとうございます。」
「我が国とナポリ王国のヴァンティーダ族が率いる特殊部隊が、出動することがないよう致したいものですな。」
大公が重く語ったので、一同が深く頷いた。

「国境警備隊の人員配置については、特に密林地帯への増員強化を強く呼びかけたい。」
国王は考え尽くせるだけの想定でもって、密入国に漏れがなく監視の目を注ぐよう併せて指示をする。
「ヨーロッパ中のまだ火種が飛んできていない同盟国に、すぐさま通達をするように。」
国王は信書にサインをすると各国の大使を経由して本国へ送らせるよう命令した。


ーー《チョン伯爵家》ーー

ジョングク達の話も終わり、フランシスの大事を取って早く帰るジョンソン夫妻を見送ると、会場に戻ってきた。

「先程は中座をしまして、大変失礼致しました。」

「いや、君も忙しそうで大変だな。」

体を鍛えているとはいえ、さすがに疲労の影は隠せない。

「少し休んだらどうだ?」

「では、テヒョン様が、、そばにいて下さるのでしたら。」

テヒョンは優しく微笑んで、

「いいよ。」

と応えた。



祝賀会も全て終わりになり、会場内は後片付けが始まっていた。
テヒョンとジョングクは食堂に移って、ワインとチーズやお決まりのカナッペでゆっくり楽しむことにした。
「テヒョン様こちらに座りませんか?」
ジョングクはテヒョンをソファがあるテーブルの方に誘った。
二人は隣り合って座り、テヒョンが大公から一部を譲り受けたワイナリーから、この日のためにフランスより取り寄せたシャトーワインを開けた。
「テヒョン様のワインが頂けるなんて、とても嬉しいです。」
「まだまだ流通するまでの本数にはいかないから、しばらくはこうしてお祝いに使うつもりだ。」

お互いのワイングラスに真紅のワインが注がれて、二人だけで乾杯をした。
「本当におめでとう。」
「今日は沢山祝っていただいて、とても幸せな1日になりました。」
二人でゆったりと背もたれに体を預け、寄り添うようにしてワインを飲む。
頑張っていてもやはり日頃の疲労は隠せないジョングクは、酔いというよりも眠気でまどろみ始めていた。
「ジョングク、もうベッドに行った方がいいのではないか?」
「・・・いいえ、まだ一緒に飲みたいです。」
そう言ってワインボトルを掴んで持ち上げた時、勢い余ってボトルの底の部分がワイングラスを持つ手に当たった。

ガチャンという音と共にワイングラスが割れた。ジョングクは一瞬反動で割れたグラスを掴んでしまう。そしてグラスの破片が床に落ちた。
「危ない!何やってるんだよ、、、」
テヒョンはびっくりして、ワインボトルを取り上げるとテーブルに置いた。
「・・・っつぅ、」
テヒョンはジョングクの声で、出血している事に気付き、咄嗟に手首を掴むと傷口に唇を当てた。
「テヒョンさまぁっ!!!」
その瞬間、ジョングクは目を見開いてテヒョンを押しのけ叫んだ。

「誰か!ハンス!水を持って来い!」
ジョングクの形相が変わり半狂乱になる。テヒョンは驚いた。手元にあった布巾をテヒョンの口元に当てて、
「テヒョン様!お早く、唾を吐いて下さい!お早く!」
と泣きわめきながら言う。
「ジョングク、、どうしたのだ、、」
「お早く、、口の中のものを、私の血を吐いて下さいませ!!」
ジョングクはテヒョンの肩を掴んだまま離そうとせず、布巾を口元に当てたまま吐き出すように促すだけだ。
「ジョングク!!!離せ!しっかりしろ!」
「いかがなされました!」
そこでハンスが騒ぎに気付いて慌てて食堂に入ってきた。
「水は持ってきたか?テヒョン様が私の血を・・・早くうがいをさせてくれ!」
ジョングクは泣きながらハンスに訴える。

ジョングクの半狂乱ぶりにテヒョンは唖然としていたが、本人の訴え通りにハンスから水を受け取ると、うがいをして布巾に吐いた。ジョングクはテヒョンを強く抱きしめる。
「ジョングク様、、まずは出血を止めましょう。」
ハンスは落ち着いた様子で宥めた。
「テヒョン様が、、テヒョン様、、」
泣きながらずっとテヒョンを抱きしめている。
「ジョングク、、、教えろ。今日こそは僕に教えてくれ。どういうことなのかを、、、」
テヒョンは抱きしめられたまま、淡々と問い質した。
テヒョンの目にも涙が溜まっていた。

以前、血に触れる事を頑なに拒まれたあの日の事を忘れようがない。
ジョングクの隠された運命をあの日に気付いたのだから。
これで二度目。もう理由を訊かないわけにはいかなかった。
ハンスは黙ってテヒョンを抱きしめたままでいる、ジョングクの手の傷の手当をして、それが終わると床に散らばった割れたグラスの破片を片付ける。
ジョングクは観念したように、ゆっくりテヒョンから離れると、ソファにそっと座らせた。
「お体、、なんともありませんか?」
涙が止まらなかった。テヒョンの両肩を掴みながら何度も確認する。
「この通り、なんともない・・・
なぜそんなに動揺する?何があるのだ?包み隠さず教えてくれ、ジョングク!」

ジョングクは肩から両手を離した。
「私は・・・ヴァンティーダ族の血を引く人間です。」
ジョングクは真っ直ぐにテヒョンの顔を見て答えた。
「・・・ヴァンティーダ?・・って、あのヴァンパイア伝説となった、剣にも勝る《勇血》を持つと言われる豪族の?」
「はい、、、。暴れ龍とまで言われる我々の血液は普通の人間が触れれば死に至ることになります。」
テヒョンは全てを理解した。血相を変えて血に触れさせなかった事、唇への口づけが出来ない事、、、。
テヒョンは理由を知った途端、体に震えが起きて気絶した。

「テヒョンさまぁーー!」


ジョングクは叫んでテヒョンにしがみついた。



※ 画像お借りしました





前回の物語


物語の続きが始まります✨✨✨



【休暇明け】


「それでは殿下、お品物のお引渡しはこれで完了となります。」
去年の暮れに、フルオーダーで依頼していたジュエリーがようやく完成した。
「今回も想像以上に美しく仕上げてくれましたね。とても気に入りました。」
「ありがとうございます。私どもも制作を重ねながら、美しいフォルムにとても感動致しました。」
目の前で美しくラッピングされた箱が一つ、テヒョンが自身で身に着ける方は、ジュエリーケースのままベルベット地のトレーに乗せられ手渡された。
早速自分用を身に着ける。
「よくお似合いでございます。」
テヒョンは何度も角度を変え眺めた。
「本当にカルティエは、秀でた職人を沢山お持ちですね。さすがです。」
「お褒めに預かり光栄でごさまいます。殿下がデザインを考案された今回のジュエリー制作は、私共も心から楽しませて頂きました。本当にありがとうございました。」
カルティエのチーフデザイナーは、深々と頭を下げると、次の顧客の元へと移動して行った。人気のデザイナーは息つく暇もないようだ。

出来上がったジュエリーを持って自分の部屋に戻り、鍵付きの戸棚に大事にしまう。『喜んでくれるだろうか』受け取ってくれる人の姿を想像すると自然に顔がほころんだ。
部屋から執務室に移動する時もニヤニヤが止まらなかったようで、すれ違う職員達が皆振り返った。



夏休暇の間にそれなりに溜まっていた仕事に手を入れ始める。
ふと目に止まった私信の中に、プロスペクトニーのレオ・サイモンのサインがされた封筒を見付けた。ペーパーナイフを取り出して封を切る。
中からおぼつかなく折り畳まれた画用紙が出てきた。広げてみると子どもが描いたであろいう人物が二人いる。
テヒョンはふふっと笑うと更に封筒の中に入っていた手紙を開いた。
書面はレオからで、テヒョンから贈ってもらったクマとウサギのぬいぐるみのお礼と、ダニエルとルーシーから、そのお礼にと描いた絵について説明が書かれていた。

部屋の扉を叩く音がしてデイビスが紅茶を持って入ってきた。
「デイビス、この絵を見てくれ。」
「随分と可愛らしい絵でございますね。」
デイビスはティーカップをテヒョンの前に置きながら、向けられた画用紙の絵を見た。
「プロスペクトニーを訪問した先の子ども達が描いた私とジョングクだそうだ。」
「ああ、スミス様からうかがいました。殿下とチョン伯爵に、とても懐いていらしたという子ども達でございますね。」
「うん、そうなのだ。早速だがこれを額縁に入れてくれないか。飾っておきたい。」
「はい、かしこまりました。すぐにご用意致します。」
デイビスは絵を預かるとすぐに執務室を出た。

デイビスが詰め所に戻るとミセス・ブラウンがデイビスの手に持つ絵に気付いた。
「それは何です?」
「何に見えます?」
デイビスがそっと開いて絵を見せた。
「まぁ!可愛らしい絵ですこと。」
この時詰め所にいた他のスタッフ達も寄ってきた。
「殿下が御領地先で知り合われた子ども達が描いた、殿下とチョン伯爵の似顔絵だそうですよ。」
「私達にも見せて下さいませ!」
「どちらが殿下で、どちらがチョン伯爵でいらっしゃるのかしら。」
「でもとても可愛らしいわね〜。」
女中達が楽しそうに騒いだ。
「殿下がとても気に入られて、額縁を着けるように仰せつかりました。」
「テヒョン様は本当にお優しい方でいらっしゃる。」
ミセス・ブラウンはしみじみと言った。
デイビスは額縁を探す為、絵を大事に持って美術品の資材室へ向かった。

その頃テヒョンは更に私信の中に、ジョングクが差出人になっている封筒を見付けていた。
ペーパーナイフで丁寧に封蝋を剥がして中に入っているカードを取り出した。
テヒョンは書かれているカリグラフィー書体を見て驚いた。なんとも美しい手書きだったのだ。これはジョングク自身が書いたのだろうか。
誕生日の食事会への招待状になってはいるが、文中に《テヒョン様》の表記があり、更には甘い言葉が記してあったので、印刷ではなくジョングク自身が書いたのは間違いないだろう。
彼にこのような特技があるとは。と、テヒョンは感心した。
休暇中にジョングク自身から聞いたのは誕生日に迎えに行きますという事だけで、招待状を送ったなどということは聞いていなかった。
テヒョンは予想外のサプライズに益々、9月1日か楽しみになった。


テヒョンの仕事の中で最重要項目となった、領主の違う2つの土地を挟んだ農業用用水路建設は、各々の土地の測量が終わり、ニールが現地を周って最終確認をした。次に行われるのは国と両領主との調印式で、それが終わって正式に着工に入ることになる。
ただ調印式は形式的なものなので、すでに国家事業としての予算は組まれて、請負い業者の入札が始まっていた。
テヒョンの元には、双方の領地にとって用水路を通すのに、地形的にも利便性でも1番相応しい場所の特定と、その測量情報がニールからの報告書で上がってきていた。地図に分かりやすく目印を付けて、報告書のどこにそれが記されているのか見やすい工夫がされていた。
「ニールの優秀な仕事ぶりが手に取るように分かるな。」
テヒョンは報告書をスミスに見せた。
「そうでございますね。仕事が早いので段取りも組みやすいそうですよ。」
「よいことだな。ではこれらを調印式に持参する書類として綴っておいてくれ。」
「かしこまりました。」



【ジョングクの誕生日】


9月1日
この日の朝は早朝からテヒョンはそわそわしていた。
予定よりも早くジョングクが迎えに来ることになったのだ。
入念にスキンケアをしてヘアスタイルを整え、着ていく衣装のチェックをした。
珍しく遅く起きた大公が、なんとなくせわしない宮殿内に気付く。
「招待された側のテヒョンが、まるで主役のようだな。」
食堂で朝の珈琲を飲みながら笑った。
「テヒョン様の弾んだお声を聞くと、こちらまで楽しくなりますなぁ。」
オルブライトが大公の隣で一緒に笑う。

着替えを済ませたテヒョンは、しまってあったプレゼントの小箱を取り出すとポケットに忍ばせた。自分で物を持つことは通常しないが、こればかりは自分で持っておきたかった。
身支度が整った頃、デイビスが部屋にやってきた。
「殿下、チョン伯爵家からの馬車が到・・・」
言い終わらないうちにテヒョンは、デイビスの横をすり抜けて走って部屋を出て行った。
階段を降りて大広間まで来ると、ジョングクが待っていた。
「おはようございます、テヒョン様。お迎えに上がりました。」
笑顔で立っている彼の胸の中へ、飛びつきたい衝動を抑えて弾む声で迎える。
「おはよう!お誕生日のお祝いを言う前にジョングク、君に見せたいものがある。」
降りてくるなりジョングクの手首を掴むと、テヒョンはまた階段を上がった。

「テヒョン様!危のうございます、、、」
ジョングクは必死に付いていく。
そのまま執務室まで二人は走って行った。息を切らしながら部屋の中へ入り、テヒョンの机の所まで来ると、すぐ横の飾り棚の上を見て言った。
「これを見てよ。」
額縁に飾られた絵を指差した。
「随分と可愛らしい絵ですね。子どもが描いたものですよね。」
「うん。ダニエルとルーシーが描いた、僕と君だそうだ。」
「わぁ、、本当ですか?ん〜・・・さてどちらがテヒョン様でどちらが私なんでしょう?」
「眉毛がキリッとした方が君じゃないか?」
「なるほど。」
二人は笑った。
「それにさ、ほら見てよ。僕達ちゃんと手を繋いでいるんだよ。」
「あ、本当ですね!私達を仲良く描いてくれて、嬉しいですね。」

二人はじっくりと幸せな可愛い絵を眺めると、自然と視線を合わせた。当たり前のように近付いて抱きしめ合う。ジョングクが抱きしめたままテヒョンの頬にキスをすると、
「私もテヒョン様に早くお見せしたいものがございます。」
と耳元で言ったかと思うと、今度はジョングクがテヒョンの手首を掴んで歩き出した。
二人が大広間まで戻ってくるとスミスとデイビスが待っていた。
「いってらっしゃいませ、テヒョン様。」
スミスが笑顔で送る。
「行ってらっしゃいませ、殿下。ではチョン伯爵宜しくお願い致します。」
デイビスも深々とお辞儀をして送った。
「では行ってくる。」
テヒョンは満面の笑顔で返した。

馬車の前まで来るとジョングクが人差し指を唇の前に立てた。怪訝な顔をしたテヒョンに対してニヤリと笑うと、ゆっくり扉を開けた。
「さ、お乗りになって下さい。」
促されて馬車に乗り込む。するとシートの奥に少し大きなバスケットが置かれていた。ジョングクが続いて乗り込むと扉を閉めた。
この時、バスケットの蓋が動いたのでテヒョンは驚いた。ジョングクがその蓋を開けた。
「見て下さい!テヒョン様!」
何かがひょこっと顔を出した。見ると中に仔犬が入っていた。

「うわっ!仔犬ではないか!」
ジョングクは驚いているテヒョンの前で仔犬を抱き上げると膝の上においた。
「今朝、父から贈られた新しい家族でございます。」
「おお!そうか、、、可愛らしいな。ウェルシュ・コーギーだな。僕に抱かせてくれるか?」
「はい、どうぞ。」
テヒョンは早速仔犬を受け取ると膝の上に乗せた。仔犬は怖がることも嫌がることもなく大人しくしている。
馬車が静かに動き出した。その動きにも驚くことなくテヒョンの膝の上で寛いでいる。

「テヒョン様にお願いがあるのですが、、、」
「改まってどうした?」
仔犬の顎を撫でながら訊いた。
「この子の名前を一緒に考えて頂けませんか?」
「うん、いいよ。それで?もういくつか考えているのか?」
「はい、、、でもあまりピンとくる名前がなくて、、、」
「なるほど、、、僕も色々考えてみよう。」
「ありがとうございます。」
仔犬はすっかりテヒョンに甘えている。ジョングクは伯爵家に到着するまで、目の前の可愛らしいテヒョンと仔犬の様子をずっと眺めていた。

馬車が到着すると、伯爵家の前ではハンスと従僕や女中達一同がテヒョンを迎える為に並んでいた。
仔犬のバスケットを持ってジョングクが先に降りると、従僕の一人がそそと駆け寄りそのバスケットを受け取った。
そしてテヒョンが降りてくるとお辞儀をして皆が迎える。
「ようこそいらっしゃいましたキム公爵。」
ハンスが一歩前へ出て早速屋敷の中へ案内する。
「今日はジョングクのお祝いの為に楽しませてもらうよ。」
「ありがとうございます。是非に!」

「本日はセオドラ卿が夕方まで不在でございます。キム公爵をお出迎え出来ず、またご一緒出来ない事を残念がっておりました。失礼をお許し下さいと言付かっております。」
「ははは、相変わらず律儀なお方ですな。気にしてはおりませんよ。セオドラ卿もお忙しいのは存じておりますからね。」
「いつもながら恐れ入ります。ではどうぞごゆっくりしていらして下さい。」
テヒョンは直接ジョングクの部屋に通された。
「じきにジョングク様が参りますので、どうぞこちらでお待ちになっていて下さいませ。」
ハンスはそう言うとソファを勧め、既に用意されてあった茶器で紅茶を淹れるとテヒョンの前に置いた。
「では私はこれで。」
ハンスはお辞儀をすると部屋を後にした。

テヒョンは去年のクリスマス以来のジョングクの部屋を久しぶりに眺めながら紅茶を飲んだ。クリスマスのデコレーションが無い状態は初めて見る。
元々の彼の部屋は華美な装飾等は無く、数点の絵画が均等に飾られ、奇麗に整えられていた。
しばらくするとジョングクは仔犬と一緒に部屋に来た。
「お待たせ致しました、テヒョン様。」
入口から仔犬がコロコロ駆けて入ってくると、一目散にテヒョンの足元に来てまとわりついた。
「ははは、、、分かった、分かった。ほらおいで!」
嬉しそうに仔犬を抱き上げた。

「もうすっかりテヒョン様になついてしまいましたね。」
「僕を気に入って貰えて嬉しいよ。
やはり家庭犬はいいな。我が家も僕が10代の頃までは、家の中で一緒に暮らした子はいたけど、亡くなってからは迎えていないんだ。今では宮殿の護衛犬だけだからな。」
「この子を気に入って下さったのでしたら、どうぞ一緒にいつでも可愛がってやって下さい。」
「うん。是非そうさせてもらうよ。」
「昨日、父がこの子を誕生日に合わせて連れてきて・・・」
ジョングクは思い出し笑いをした。
「いきなりお前の弟だと言うんですよ。でも父が1番喜んでいるように見えました。」
「その時のセオドラ卿の顔が思い浮かぶな。」

ジョングクは笑ったが、どこか表情が重い。テヒョンはすぐに察して『・・言ってみろよ。』と言うように腕に触れ促した。
テヒョンの腕の中から仔犬を抱き上げると、
「最近の軍務は、より強靭な動きを鍛錬する実践訓練になっております。」
低く重たい声色で話した。テヒョンは黙っていた。
「父は帰宅してすぐにベッドに潜り込む私を気遣い、この子を連れて来てくれたようです。」
テヒョンはジョングクの毎日が心身を擦り減らすほど過酷で、疲れ果てているのだと悟った。例のヨーロッパのあちこちで起きている戦闘や暴動は、収まるどころか激化する一方だ。ここ半世紀近く戦闘がなかったからといって、この国に火種が飛ばない保証などなかった。軍に就いている者は役職に関わらず、誰もが瞬時に戦闘態勢に入れるよう訓練が強化されていたのだ。

テヒョンはジョングクの手にじゃれついている仔犬の頭を撫でながら言う。
「この子の名前だけど、Pax (パックス)はどうだ?ラテン語で戦争がない状態の《平和》を意味する言葉だ。」
「パックス・・・なるほど、素敵な意味ですし呼びやすいですね。」
ジョングクはテヒョンを見つめてにっこり笑う。
「ありがとうございますテヒョン様。この子の名前はパックスに致しましょう。」
「おめでとう。君の名前は今日からパックスだぞ。」
テヒョンがパックスと名付けた仔犬の顎を撫でると、その手にしがみついてじゃれてきた。
「どうやら名前が気に入ったようですね。」
パックスはテヒョンとジョングクの顔を交互に見上げていた。

「今日はこの子を早く見せたくて早い時間にお迎えに上がらせて頂きましたが、、、」
言いながらゆっくりとテヒョンの頬に触れた。
「何よりも早くあなた様に会いたかった、、、」
テヒョンは何も答えず、指の感触を頬で受け止めながら体をジョングクの肩に預けた。自分も同じ気持ちでいたなどと、わざわざ言わなくても分かってくれていると思っている。ジョングクの方も、自然に甘えてくるテヒョンの姿に胸一杯愛しさが広がった。
しばらく二人は黙ったままでお互いへの想いに熱を感じ、向けられる想いに浸った。

「ジョングク・・・」
テヒョンはパッと体を離すと、ポケットに忍ばせていたあの箱を取り出す。
「これを君に。」
「え?・・私にですか?」
「そうだよ。開けてみてよ。」
ジョングクは細く小さなリボンを解き、包を開けた。中には金の箔押しの飾りが施された真っ赤な箱があった。
その箱を開けると、ここでテヒョンがその中からジュエリーケースを取り出した。そしてジョングクに向けるとゆっくり蓋を開いた。
中にあるものを見たジョングクの瞳が、今大きく開いて輝いた。

「とても美しい・・・これを私に?」
テヒョンはにっこり笑って、ジュエリーケースの中からブレスレットを取り出すと、裏返して先ず刻印を見せた。チョン伯爵家の紋章の左右に《J》と《T》の文字があった。
「君と僕の名前の頭文字だよ。」
そして今度は表に向ける。
「これはね、東洋の陰陽太極図をモチーフにして僕がデザインしたんだ。」
陰と陽の勾玉模様が、赤と青の雲形の流線を描いているそのデザインは、赤の丸型の中心にターコイズの石がはめてあり、青の丸型の中心にはサファイアの石がはめてあった。それは cloisonne (七宝焼)で出来ていて金で縁取りがされていた。

テヒョンはブレスレットを撫でながら話した。
「宇宙はニつの太極で一つに成り立っている、相反する二つの内どちらかが欠けても成り立たない。そして、陰の中にも陽が、陽の中にも陰が備わっているという考え方が僕は好きで、、、まるで君と僕の事ではないかって思ったんだ。」
ジョングクは感動で泣きそうな顔をしてテヒョンを見た。
「さぁ、手首をこちらに出して。」
テヒョン自らジョングクの手首にブレスレットを着けてやった。そしてその上に手を置いて包み込んだ。

「お誕生日おめでとう。」
テヒョンは心から祝いの言葉を伝えた。
「・・ありがとうございます。テヒョン様。」
ジョングクは胸が一杯になって思わず肩を引き寄せ抱きしめる。
「待って、、、」
そう言ってテヒョンが一旦離れると、徐ろに右手首のカフスボタンを外して、袖口をめくった。
「ほら見て。僕もお揃いのを着けているんだよ。」
言いながらブレスレットを裏返す。
そこにはキム公爵家の紋章を挟んで、左右に《T》と《J》の文字が刻まれていた。

「お互いにこのイニシャルを手首の内側に当たるように着けてるから、僕の脈がここから熱となって君に届いて、君の脈も僕に熱となって届くよ。僕はそう信じている。」
テヒョンの情熱的な思想が、とてもロマンチックな祈りになってジョングクの心を射抜いた。
そして素材の金は熱伝導率も高く、肌に馴染みやすいこと、また錆が付きにくく肌身離さず着けていられることも考えられていて、いつも着けていていて欲しいというテヒョンの願いが感じられた。
ジョングクは激しい軍務の中でもバンドを巻けば常に装着出来るだろうと思った。
「私も肌身離さず、あなた様に私の想いを届けるためにずっと着けていたいと思います。」
テヒョンは嬉しそうにジョングクの手首にキスをした。

「あっ!パックス!」
ジョングクが急に大きな声を出した。
見るとパックスがカルティエの空き箱を咥えたり、転がして遊んでいた。
ジョングクが追いかけて阻止しようとする。テヒョンがそれを見て大笑いをした。
「パックス!頑張れ!」
「あ〜〜そんな煽ったりして、駄目ですよ〜〜テヒョン様、、、」
「空になった箱だ、いいじゃないか。」
「いいえ、あなた様から頂いた物は、例えリボンや包装紙でも私には大切な物です。」
言いながらパックスをなだめてそっと箱を取った。

彼の細やかな感性にテヒョンは感動する。続けてリボンや包装紙も拾い上げ奇麗にたたんで、一式を大事そうに棚の引き出しの中にしまうのも見ていた。
テヒョンはパックスを抱き上げるとベッドに座った。
ジョングクは棚の前から振り返ると、テヒョンがパックスと一緒にこちらを見ている姿が目に入った。あまりの愛らしさに目を細め、テヒョンの隣に腰を下ろした。
「小さい物まで大事にしてくれてありがとう。」
テヒョンはパックスを撫でながらジョングクに笑顔を向ける。
「あなた様は私の大切な宝物でございますから。あなた様に関わる全てが私には重要なことなのです。」
言い終わらない内に肩に腕を回すとパックスごとテヒョンを抱きしめた。

「テヒョン様、先ほどの陰陽のお話がとても素敵でした。」
「そうか?」
テヒョンはどこかに視線を向けて話す。
「陰陽の考え方は、想い人同士に於いてはお互い相手の要素も持ち合わせているとも解釈される。そう考えれば多種多様なものを人々は持ち合わせて世の中は成り立っているとも言えるな。」
ジョングクは、空を眺めながら話すテヒョンの横顔に、思慮深さや果てしなく世界の先を見据えている視野の広さに、益々惹かれていくのを感じた。

テヒョンの美学というものは、多分誰よりも沢山学び、知識を吸収し自分のものにして、またそれを知恵として活かし、時代を遥かに超える独自の哲学にしてきた賜物だろうとジョングクは感じた。
彼の美学は容姿の美しさに更に光を充てている。
今回はそれがジョングクの誕生日プレゼントに現れた。とても情熱的な形で。
こんなロマンチックで尊い贈り物があるだろうか?
『この方だけは一生かけても絶対守り通したい。』
ジョングクは着けてもらったブレスレットの、ターコイズとサファイアの部分を指でなぞり、そっと手のひらで包むと《念》を掛けた。


テヒョンはじっとジョングクを見つめていたが、彼の首元に右手を伸ばしてクラバットを解いた。そして躊躇することなくブラウスのボタンを3段目まで外すと、そのまま胸元に手を滑り込ませた。
ジョングクは眼の前でされるがまま、いたずらに笑って見つめてくる瞳をずっと見ていた。テヒョンはゆっくりと彼の胸元から、ネックレスに通された指輪を取り出した。
「この指輪にいつもテヒョン様への想いを込めておりますよ。あなた様も身に着けて下さっていますね。」
ジョングクはテヒョンの右手を掴んで、誕生日に贈ったお揃いの指輪に触れた。
これで、《指輪》と共に《ブレスレット》が揃いお互いに肌身離さず身に着けるものが増えた。

幸福な雰囲気の中、寄り添う二人の足元で、パックスが自分もかまって欲しいとキャンキャン鳴いていた。




※ 画像お借りしました



B★VERSE


行かれた方もいるかもですが


私も行ってきましたよ爆笑飛び出すハート

去年の10月に、グクがCalvin Kleinのグローバルイベントで来日して来場した
寺田倉庫G1ですよ💕もう寺田倉庫G1は聖地だね✨👍✨


外の看板
グテだけ抜粋🤣

これも外看板

雨の中でしたけど☔
パートナーから貰っていた誕生日プレゼントチケットでしたので、一緒に行ってきました
推し活に付き合ってくれるのが有り難い🙏

まずね、メインのVRシアター

グテの2人の各々から
見おろされる衝撃びっくり飛び出すハート

3D、 3D❗❗立体よ立体❗
会場もみんなどよめいた程、本当にそこにテテグクいるかのよう😍❤️💙

ステージの最前列ってこんな感じなんだなと✨✨✨
絶対本物のライヴに行きたいと切望してしまうよチューびっくりマークびっくりマーク

他にも

メンバーそれぞれのコンセプトで飾られた写真の 7 ROOMS

プロジェクションマッピング・・・

兵役中でなかなか姿が見られない今
懐かしい映像とリアルを感じさせてくれる空間に癒しすら感じる照れ
彼らに浸りに来るのもありですよ👍✨


撮影オッケー箇所が少ないので、写真あまりないけど


見づらいけどグテだよ❤️💙

会場最後に記念撮影が出来るブース📸
等身大のメンバー達
なんか小さくてゴメンネ🙏💦


夕飯💕地元に戻ってから食べたお蕎麦の定食(かなりの量だよ😂
結構食べる方の私でもさすがにパートナーに手伝ってもらった(笑))
ここ、初めて入ったお店だったけど、美味しかったのでまた行くかも🎵

そうそう
買ったグッズはグテのアクスタ💕

ポストカード💕

そしてカレンダー💕
テテをめくると、モノクロのテテとカラーのグク💕(閉じてる時は二人重なってるってことよ😍)



あ、会場に来られる方に大事なお知らせ


トイレ🚻は会場内にあるんだけど

入場した時にしか入れないので、必ず行っておいた方がいいですよ👍

寺田倉庫G1の会場隣の建物にもあるので

入る前に行っておくといいかも

入場する時も並ぶ時間が長いし、入場した後VRルームに入るにも待ち時間があるので😅


寺田倉庫って最寄り駅は、りんかい線とモノレールの天王州アイル駅になるのかな(どちらも徒歩4〜5分)

私は車で行ったんだけど、1番近い駐車場を探したら、寺田倉庫G1の裏にTimesがあったのでここに駐めました☺️

雨が降ってたから近場で助かった💦



6月23日まで開催中なので

行ってみたいと思った方は是非🎉


リンク貼っときま〜す🔯

https://bstarverse.jp/

チケットもここからアクセス出来ます