koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

3/9 宇部定期開院

2024-04-06 | おもちゃ
3月度の宇部おもちゃ病院定期開院時の対応おもちゃ報告です。(もう4月ですがw)
ドクター7名で受付12件、当日完治4、不能1、入院7、でした。まあ12件も来るとちょっと忙しく、ボクの入院も増えてしまいますが、このぐらいの件数が今の所ちょうどいいぐらいかな。

1件目、夢の子ネルルです。

以前にボクが左手を1回修理したらしいですが、今回は右手が効かなくなって設定が出来ないとの事。入院覚悟で来院したそうですが、「1時間ぐらいで直します!入院無しで」と気合でいきますw。
作業は、BOX周りの結束バンドを外して、綿を抜いてひっくり返して両手のスイッチを修理して、仕戻し・結束バンドの止め直しをするだけなのですが、「結束バンド外し・仕戻し」が大変なのよね…。
右手はいつもの「太くて硬い熱収縮チューブ」の出口の所で断線でした。
前回やったらしい左手も、…たしかスイッチのクリック感がなくなってて確認・取替しておきます。

継いだ所は…とりあえずOKでしょうね。両手ともタクトスイッチ取り替え、右手も途中で継いで熱収縮チューブ掛け&ビニールテープ巻き。
外した結束バンドを延長(これが面倒…)して仕戻して終了です。(頭のセンサーの作動に違和感があって、全体的に動作がちょっとおかしい気がするのですが…依頼者さんが違和感を感じてない様だったので、今回はとりあえずこれで終了にします。)

ここからは入院対応。2件目、よく来るアンパンマンのクレーンゲーム。

当日、別のドクターが対応してて、横行(前後の動き)駆動ギアの割れだったのですが、手持ちのm=0.6のギアよりもうちょっと大きい…。預かって帰って3Dプリンターで製作にしました。
9Tなので直径が測りにくいですが、8mm弱ぐらい。m=0.7で歯先外径7.7mmでしょう。
ギアの3Dデータは、以前に八尾おもちゃ病院(大阪)のドクターに教えて頂いたサイト「Gear Model For 3D Printer」というサイトでアッという間に出来ますw。

フィラメントはこないだ買ったASA(ABSの対紫外線性能を向上させた材質)を使って製作。

左が割れたギア、念の為&ついでに4個作っておきます。
これで下穴加工だけして簡単に取りつけて終了ですが、形状精度が…ASAで作ると下の方が少し潰れ気味で、少し「末広がり」になる…。PLAで作った方がキレイな形に出来るのよね…。(しかし、プラとしては長年の実績があるABSの方が確かな気がして…)
ベッド温度を少し下げるとか、ちょっと調整したら良くなるかもしれませんが、低速ギアならこの程度でも問題ないので、今のところはこれでヨシとしておこう…。

これで終了のはずなのですが、横行手前側位置検出リミットのボタンが無い…。開院時に担当したドクターが入院の為の仮仕戻ししてる段階で「ここに赤いボタンがあったはず!無いと困る、探して!」と言ってあったのだけど、結局見つからなかったのだろうか…。仕方ないので、適当な寸法でこれも3Dプリンターで製作。

相当いまいちだ…。「末広がり」ではなく3Dデータ書いたのだけど、めっちゃ末広がりになってる…。まあ動作には問題ないし見えない所でもあるので、これでヨシとしよう…。

3件目、トイザラスの携帯型おもちゃ。

「一番下(写真左側)のボタンを押すとLEDが光るけど、音がしない。1~4のボタンは無反応」との事。他のドクターが対応してて、小さいけど音は鳴ってる、スピーカや配線に異常は無し、という状態で、「BTLの出力不良かしら…」とボクの入院になりました。分解の状態。

スピーカへのラインあたり、基板・部品の腐食がだいぶみられて、これ以上破壊されない様に触りたくない…。写真上の方に鉄板リミットが付いてるのだけど、これがどう働くのか分からない…。
しかし、何度も動作確認してると、このリミットをONにすると普通に大きな音が出る事が分かった。(スピーカラインに抵抗が入れてあって、リミットONで抵抗短絡させて音が大きくなる回路と思われる。)
ケーシング内にこのリミットを蹴る様な構造は無く、ただケース裏側に細長い穴があり、その穴から何か薄板状の物を差し込むと音が大きくなる、といった構造に思われる。例えば、三輪車や歩行器のような「台」にセットすると音が大きくなるような作りだったのかもしれないけど、定かではない…。あまり必要性は無いと思われるので、常時短絡で常時大きな音が出るように改造。
あと「1~4のボタン無反応」は、写真左下でコモンラインのパターン腐食断線のせい。パターン断線部をバイパス接続して解決。

4件目、乗用の「レクサス」。

依頼者さん曰く「充電出来ない。充電器繋いでアクセル踏むとモータは回るけど、空回り」との事。まあバッテリーは注文・取り替えでしょうから入院で対応。

「モータ回っても空回り」の状況ですが、結論は…小さくし過ぎて写真では分かりにくいですが、右後輪に黄色いシールで矢印と「電動/足蹴り」の記載がある。要は、電動で遊びたい時はホイール部分を回してロックして、「電池が切れてもまだ足蹴り人動で遊びたい」時には逆にホイールを回せばフリーになって足蹴りで遊べる、という作りなんですな。
それに気づかず、ギアボックスの不具合?→タイヤを外さないとギアボックスが分解できない…タイヤがどうしても外れない…と、だいぶ悩んでしまいました…。なんとかタイヤが外せないかと四苦八苦してる時に「電動/足蹴り」の切り替えに気付きましたw。
(その後、一旦外したモータの取付が悪くて空回りしてたのに気づかず、また時間を食いました…)
結局、少し値上がりしたけどやっぱり他より安い秋月でバッテリー買って、取り替えただけで終了です。

5件目(この辺から手を食ったヤツ達w)、アンパンマンの「スポーツ育脳マット」の再来院です。

前回:1月度の定期開院時に持って来られて、「電源を入れてもすぐ落ちてしまう→ネットで調べて、電源保持のコンデンサの不良を取り替えたら直る」まで調べて貰って、当日で電源落ちは直してお返ししたのですが、会場でTVに繋いで動作確認は出来なかったので、「マットのスイッチの動作不良等があったらまた持って来て下さい」と言ってあったのですが、動かしてみたら「緑が効かない」という状態らしく、再来院。

前回「このコンデンサーを取り替えなさい」という参考にした「はしもとおもちゃ病院」の記事では、コメント欄にさらに「緑のボタンが効かない→プルダウン追加で直せる」というやりとりが書いてあったのですが、同様に抵抗値を測定してみる。

一番左が少し離れてたので、なんとなくそれがコモンかと思ったのだけど、一番右のP1がコモンで、残り一番左からが「ピンク・青・緑・赤」の順です。基板との接続部を外してテスターで当たって抵抗値測定すると、ピンク190kΩ、青290kΩ、赤:460kΩ、緑:76kΩで、やはり緑の抵抗が低くなってる。(基板に繋いでON/OFF時の電圧も測定したんだけど、だいぶ日が経ってメモがはっきりしなくなったので、結果は割愛…)

先ほどのブログコメント通り「C31に並列に抵抗追加」で直せるんでしょうけど、絶縁低下をプルダウン抵抗で誤魔化し調整すると、絶縁低下が進行してまた動作しなくなる可能性がある。マット側に絶縁低下の要因があるなら解消しておきたいし、「マット内部の接続は不明のまま」とあったので、後学・皆様の参考の為にも分解して確認しておこう。

とはいえ、最小限のほどきで済ませたいので、緑ボタンの下側辺りを20cmぐらいほどいて、内部を確認。一番表をめくると、その下はこんな状態。

先のブログコメント通り「櫛形導電印刷」のパターンです。もう1枚めくるとクッション材。

その下はメッシュ状に全体的に導電塗料が印刷されてる。

要は、リモコンや電卓の導電ゴムSWと同じ作りですな。全部分解して確認はしてないけど、1枚目の「櫛形導電印刷」のパターンを書くと、おそらくこんな感じ。(櫛の数は、実際より少し減らしてます。)

(各ボタンへの配線をぐるりと外を回してるせいで、ボタンの位置と基板接続部とで、ボタンの並びが逆になってる。基板ではさらに表・裏引っ張りまわしてボタンと同じ配置に引き直してる…。コモンを一番左で外・下側を回して、各ボタンへの配線は上を通せば、位置が左右で反転せずにもっとシンプルに取りまわせるのに…)

導電塗料のマトリックスでよくある、パターンの上に絶縁塗料を塗ってその上にさらに導電塗料を印刷する「跨ぎ」みたいな箇所があって、そこで絶縁が低下してる様な状況を想像してたのだけど、導電パターンは単純で「跨ぎ」もない。
上の写真の様に、「ON」を導通させる「メッシュシート」を完全に浮かせた状態でも絶縁が良化しないので、「クッション材のヘタリで常時導通気味」という訳でもない…。
先のブログの記事でも同じく「緑」の絶縁低下だったので、本質的に緑ボタンに絶縁低下が起きやすい本質的問題がありそうなのだけど、確かに緑はCOMに一番近いけど、「櫛形」部分ではどれも各配線とCOMはどうせすぐ近くにあるので、緑だけ不良になるのも解せない…。
めくってよく見ると、櫛型パターン間に傷の様な導電塗料の糸引きの様な何か?があるので、そこをちょっと切ってみたりしたけど、抵抗値アップしない…。
不本意ながら基板への抵抗追加で誤魔化そう…。

はしもとおもちゃ病院さんのコメント通り、C31に抵抗追加。

(ちゃんと電圧計算したつもりだったのだけど、最初12kΩ付けて×、18kΩに付け変えました。)
これでON/OFF時の電圧もボチボチになって、TVに繋いで動作確認もOKになって、終了。

6件目、これは簡単だったけど、次の大変だったIWAYAの犬と同じ人の依頼で、合わせての入院。電池で動く小さなトーマス。

電池を入れても最初は動かなかったけど、次は動いた。電池BOXマイナス端子側が潰れ気味で接触が悪いだけっぽい。少し曲げておいた。あと、連結器が折損してたのでエポキシで固定して終了。

最後7件目、あちこち壊れて何度も組んでは再分解して苦労した、いつものIWAYAの犬。

最初の症状は、SW入れても「ウイン」とロックして全く動かない。分解して確認すると、右前足のクランク駆動部分がズレて軸の曲がり部で固着してた。

あと、鳴き笛が鳴らなかった。ふいごから笛が脱落気味なのとふいご部分に少し穴が明いてたので、トレペでパッチ当てとホットボンドで笛の固定し直し。
軸部がズレた原因は…定かではないけど、ここを正常に組み戻して「楽勝~」と思ったのだけど、ぬいぐるみ被せ直して試運転すると…足が「伏せ」状態のままで地面を叩くような感じで歩く状態…。これは何かおかしい。「伏せ/歩きの前足の位置変更の為のバネの折損」に違いない。再度分解。

やっぱりっす。本来矢印の位置にバネが掛けてあって、前足の位置変更のクランク軸を引っ張ってるのですが、バネ先端が折損して外れてます。以前に火で炙ってなまして整形しようとしたら、炙りすぎて折れちゃった事があったので、今回はなまさずになんとか引っ掛けられる様に整形し直しました。

これで再度ぬいぐるみ被せて動作確認…「伏せ」動作の時に、なにやら「ガクン」となる…。これは「伏せ位置のまま歩く」時にも気にはなってたのだけど、多分どこかのギアの欠けがあると思う。やはり放置はできない…。また分解。

やっぱり歯の欠けがありました。(ここのギアは以前にもやった気がするなぁ)
12T-28Tの2段ギアでピニオン側も少し長くて、そのままで使える予備品は持ってない。28T側はそのまま使って、12T側を補修しよう。

元のギアから12T部分を切除して、下穴あけて0.55mmのSUS番線を差し込んで「足」を作る。

これで左側の12Tピニオン既製品を合体させて、エポキシでそこそこ盛って固定。(動作状況を確認すると、ピニオンは先端部分しか使ってないので、根元に多少エポキシ盛っても大丈夫。まあ、先端しか使ってないから先端が欠けるんだけどなw)

あと、しっぽの駆動ロッドが今にも折れそうになってたので、折れる前にエポキシ盛って補強しておいた。
これでやっとちゃんと動作するようになって、ぬいぐるみ被せ直してホットボンドで固定して終了です。
(こういった「機械的力業修理」は、ボク以外のドクターも出来るようになって欲しいのですが、今の所宇部おもちゃ病院内に他に任せられるドクターがいなくて…。誰かに教えてもらったわけではなくて自分で試行錯誤して直してきただけですが、技能伝承していかないと将来困りますね…)
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