「そんなことじゃないよ!
リュウタも、ボクにとっては、大切な友達だ」
何を言うんだ!
裕太は悔しくて、頭がクラクラする。
じぃっと裕太を見据えていたリュウタは、ため息をもらしているように
見えた。
『そうか、わかった。
それなら…ちょっと私に付き合ってくれ…
あのホコラの所まで…連れて行ってくれないか?』
さっきまで、とがった声を出していたリュウタが、ようやく声の
トーンを和らげる。
「ほこら?」
それは、どこにあるんだ?
裕太は、キョロキョロと目を走らせる。
こんな所に…何があるというんだ?
こんな、誰も寄り付かないような…打ち捨てられたような場所に?
だがリュウタは、ズルズルと体を引きずって、ゆっくりと
上に向かって上がって行く。
「あっ、ちょっと待って」
あわてて裕太は、その後を追う。
どこに、そんな力が残っていたのか?
リュウタは、身軽に身体を動かしている。
連れて行ってくれ、と言っていた割りには、裕太の手を貸す必要は、
今の所はなさそうだ。
「どうして、ここに?さっきいた場所には、戻らないの?」
置いて行かれそうになり、裕太はあわてて追いかける。
「今は、こっちの方が、大切なんだ」
謎の言葉を告げると、リュウタはただ、長い胴体を引きずって行く。