中国の古典小説『白蛇伝』を実写化したジェット・リー主演のファンタジーアクション。 

 宋時代の中国。妖怪退治を生業とする法海和尚は弟子の能忍と共に中国各地に現れる魑魅魍魎と戦い、雷峰塔に封印していた。
 この日も強力な雪の幻影を操る妖怪、千年雪女と戦い打ち負かした法海は、能忍に彼女を塔のなかに封印する。

 同じ頃深川の人里離れた山奥に千年白蛇の精とその妹で五百年生きる青蛇の精が住んでいた。 

 ある日、薬草取りにきていた若者詩仙は妹の青蛇の精の悪戯で湖に落ちてしまう。 
溺れて意識を失っていた彼をみた白蛇の精は彼を助け、彼に精気を与える。 

白蛇の精は彼に一目惚れしていたのだった。 

 後日新たな妖怪退治のための旅にでた法海と能忍はその妖怪が現れるという街へいくため詩仙の船に乗せてもらい川を渡る。
 助けた詩仙に恋した白蛇は妹と共に人間に変身し素素と名乗り人間界へと降り立っていた。 

 その頃法海と手分けして標的の妖怪を探していた能忍は偶然にも白蛇の妹で人間に変身した青蛇こと青青と出会う。
屈託ない彼女に打ち解けあった能忍はまた会うことを約束して任務に戻っていった。 

 街中で詩仙の姿を見つけた青青は言葉巧みに彼を誘いだし、姉の素素が待つ湖亭へと連れ出す。自身を助けた恩人が彼女と知った彼もまた美しい素素に惹かれ、相思相愛となるのだった。 

一方標的であるコウモリの妖怪と戦った能忍であったが反対に噛まれてしまい敗北。
妖怪は法海の手で倒されたものの、能忍は噛まれた傷がもとで妖怪化が始まってしまう。
 自らが怪物となっていく姿に耐えられない能忍は金山門を逃げ出した彼はそこで青青と再会。
彼の姿をみた青青は自らの正体を明かし、能忍に妖怪としての生き方を説く。 

 その頃素素は詩仙と結婚を決意。結婚式のために仲間の妖怪たちを家族に仕立てて、詩仙の家族に挨拶に出向こうとする。 
しかしその宴の最中に妖気に気づいた法海たちが弟子たちを引き連れて乱入。
青青が二人を逃がすために彼らを引き付けるのだが、包囲され危機に陥る。
その彼女を救ったのは変化の始まった能忍であった。 
 法海は能忍に寺に戻れというが、妖怪化が進む彼はこれを拒否し、法海たちに別れを告げ、青青を守る決意を固める。

 挨拶の宴こそできなかった素素たちであったが、二人は古い長屋で結婚生活を始める。

 そんなある日、村では妖狐による犠牲者が多発。薬草で人々を救おうとする詩仙に素素は密かに薬に自分の魔力を入れて、献身的に彼を助けようとする。 
 しかし妖狐退治にきていた法海はそこで素素が妖怪であることを見破り、封印しようとする。
 詩仙には護身用の法具を授け、気づかれた素素には人助けをしていることを礼として見逃す代わりに詩仙のために身を引くことを諭す。

 法海によって妖狐は退治された。 
彼らによって病に伏していた村人たちは薬を作ってくれた詩仙にお礼の品物が送られるのだが、その中には蛇を払う酒も入っていたため素素は正体がバレかける。 
その時、忠告を無視された法海が現れ素素を封印しようとやってくる。
激しい戦いの末に素素は巨大な白蛇へと姿を変えてしまう。
素素の正体を知らなかった詩仙は不意に現れた大蛇を法具で傷つけてしまうが、それが素素だと知り、ショックを受ける。 

 法海は詩仙に彼女は妖怪だと諭すのだが、それでも詩仙は彼女を忘れることができず、何とか彼女を助けることができるのか悩み続ける。 
すると素素の仲間であるネズミが封印の塔にある仙草なら彼女を助けることができると教えられ、妖怪では近づくことのできない危険な場所にも関わらず詩仙は命をかけて仙草を得ようと封印の塔『雷峰塔』へと乗り込む。
  仙草の幻惑に惑わされながらも封印の塔から不死の仙草を盗み出した詩仙であったが、仙草が盗み出されたことで封印から解放された悪霊たちに詩仙は取り憑かれ呪いをかけられてしまうのだった。 
薄れ行く意識の中でネズミに仙草を託すと、悪霊に取り憑かれた詩仙は法海に捕らえられ、悪霊払いの儀式に封じ込まれる。

 仙草によって復活した素素は愛する詩仙を救おうと金山門に妹の青青とともに駆けつける。
 しかしそこには法海が立ち塞がる。 
彼は詩仙が悪霊に取り憑かれておりそれを払っているのだと説明するが、素素は法海が詩仙との仲を引き裂こうとしていると勘違いし、彼を取り戻そうと強大な妖力を用いて閉じ込められた詩仙を救おうと法海に戦いを挑むのだが… 

 日本でもアニメ化されたことのある悲恋劇を圧倒的なCGとアクションで作り上げた作品。 

 ストーリーの流れや設定から『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』にかなり似通っているところがあり、ヒロインである白蛇の精素素のホァン・シェンイーもジョイ・ウォンの女幽霊を彷彿させる感じ。
 彼女ほどの妖艶さはないが、カトパン似の美しさとツンとした凛々しさはジョイ・ウォンとは違った魅力がある。 

 アクションにおいてはかなりCGとワイヤーが多用されているため、本作のアクションの中心であろうジェット・リーだが、格闘シーンは意外に抑え目で、期待する肉弾戦よりも『ドラゴンボール』的なエネルギー波合戦の方が主体。
 冒頭繰り広げる雪女役ビビアン・スーとの対決からしてやり過ぎなほどのCGアクションで、ラストにおける巨大蛇との対決は格闘シーンというよりももはや『孔雀王』的なテイストというべきだろう。 

 本作を端的に表せば『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』に『孔雀王』を足した感じである。

途中弟子の能忍が半妖怪化し、師匠法海から青青を救おうとするとこまではオリジナリティーなとこもあったが、後半はほぼ『チャイニーズ〜』のトレースであり、作品を知る人には疑似作品に思えてしまうかもしれない。

 ただ比較して本作の勝るとこをあげるとすれば、CG技術の向上によりバトルシーンが迫力のスペクタクルになったとこだろうか。
あとは法師役がウー・マからジェット・リーになったことで格闘シーン自体のレベルは上がったくらい。 

 ジェット・リーのアクションを期待する人には肩透かしな作品ではあるが、『チャイニーズ〜』のような切ない悲恋ジャンルの好きな方なら楽しめる作品と思われる。

 評価…★★★
(美人度高いが、リーのアクションはあまり期待しないように)











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