皆さんこんばんは。 

アクション映画とホラー映画をこよなく愛する映画フリークいわしでございます。


 2024年を迎えて早くも3ヶ月がたとうとしていますが、こちらの映画独論は今年最初となりますね。構想こそあるんですが、なかなか書き表すところに時間がとれなくて苦労しているところでございますが、今年もどうか勝手気ままな『いわしの映画独論』をよろしくお願いします。


 さて今回のお題ですが、ちょうど一年前くらいでしたか、ジャッキーの後継者問題を書いた『ネクストジャッキー問題』の独論を書きました。今回のお題はその続編というべき内容です。


 前回では当時人気絶頂だったジャッキーの次の世代を担う意味を込めた『ネクストジャッキー』の逸材として、アンディ・ラウら香港四天王にイーキン・チェンを加えた5人を紹介しました。 

彼らがその話題で取り上げられていたのが80年代後半から90年代初頭に向けて。以降の彼らはそれぞれの別ステージで活躍をみせ、いつの間にか『ネクストジャッキー』という声も聞こえなくなっていました。 


 それから数年後。再び『ネクストジャッキー』の声は高まることとなります。背景には1997年に香港が中国に返還されるという歴史的背景があり、規制の激しい中国政府によってこれまで自由だった香港映画にも色々な制約が課せられるという不安感がありました。 

 これにともない香港の著名人たちは返還を前にハリウッドへの進出を伺いました。ジョン・ウーツイ・ハークといった監督たちやジェット・リー、チョウ・ユンファ、サモハン等々。 


そしてジャッキー・チェンもまた三度目となるハリウッド進出作品『レッド・ブロンクス』のヒットをきっかけにハリウッド作品への出演を軸にしていき、香港映画界とは距離ができ始めてきます。 


 そこで香港映画界は本格的な人材流出の補填をするために再び『ネクストジャッキー』の声をあげるのでした。ただし今回は前回の流れと違う点があり、ジャッキー自身が後継者問題に積極的に関わっていることです。

 かねてよりアクション映画からの引退を考えていた彼は、自身が引退したあとの穴を埋めるべく優秀な逸材探しに奔走していました。ハリウッド作品へのシフトチェンジは自身のキャリアアップと共に危険すぎる香港映画のスタントアクションからの緩やかな脱却も考えての事だといわれていました。そしてジャッキー自身が製作、プロデュースを務めたある作品をきっかけに本格的な『ネクストジャッキー』の動きが本格化するのでした。


 その作品というのが 

 『ジェネックス・コップ』 

 



でございます。

 ジャッキー自身が見初めた今後の香港映画界を担うであろう若手俳優たちを集結し共演させた本作はまさに危険なスタント、派手なアクション、そしてレベル高い格闘シーンという絶頂期のジャッキーに求められていたものをすべて詰めた作品となっていました。そしてここから生まれたのがネクストジャッキー候補を本作からとって『ジェネックス世代』といわれるのであります。ちなみにですが、本作でのラスボスは日本の仲村トオル。なぜか彼はその後のネクストジャッキーには入っておりませんでした(笑)


 それではこのジェネックス世代のメンバーを紹介していきましょう。 

 まずはジェネックス世代のリーダー格とされ主役を務めた 

 『ニコラス・ツェー』 




でございます。 

本作主演まではいわゆるアイドル俳優として青春ものや恋愛ものを中心としていた彼ですが、両親も俳優出身というサラブレッドな彼は、そもそもテコンドーの素養があり、レベルの高い格闘アクションにも応えられるポテンシャルの持ち主でした。以降も度々ジャッキー作品で起用されるほか、『インビジブルターゲット』『ドリフト』などで見ごたえある格闘アクションをみせており、現在では演技派としての顔もみせるなどアクションだけではない活躍をみせています。 


 本作でニコラスの相棒役として共演した

 『スティーブン・フォン』 



もそのひとり。

 元々アイドルユニット出身の彼は本作を機にアクションへの傾倒を深め、さらには俳優だけでなく監督や製作プロデュースといったマルチな活躍をみせ始めました。 

『エンターザフェニックス』や『拳神』では見事なアクションをみせていて、その風貌からも昔のジャッキーに似ているともいわれていましたね。


そして本作における代表格最後のひとりが

『ダニエル・ウー』




でございます。

上海からの移民出身の彼は大学在学中に武術クラブを創設するなどカンフーに関して造形が深く、ジャッキーを崇拝してやまない青年でした。

その後本作をきっかけとして憧れであるジャッキーの事務所に入り、ジャッキー自身も彼を秘蔵っ子として非常に可愛がっていたそうです。ひょっとしたらジャッキー自身は彼を一番推しとしていたのかもしれませんね。

2014年に親の介護のため映画界を一時離れてしまい事務所を去ってしまうわけですが、その後復活。

今ではジャッキーの庇護を受ける必要もないほど熟成された魅力を持つ俳優として大成しましたね。


そして最後に紹介するのは本作きっかけではないものの同世代として、そして血筋として後継者であろう

『ジェイシー・チャン』




でございます。

ご存知のとおり父親はジャッキー・チェンであり、当人も歌手だけでなく俳優としても活躍をしている二世俳優ですが、強力すぎる親の七光りで業界でバッシングされたり、2014年には麻薬に手を出して逮捕されたりと映画界よりもゴシップ界隈で父親よりも目立ってしまう所はあるものの、ジャッキーの遺伝子はちゃんと息づいており、『インビジブルターゲット』では激しい格闘アクションをみせたり、『1911』などでは演技派なところをみせるなどジャッキーの庇護のなかその光はまだ失わず活躍を続けております。


この他にも同じジェネックス世代というくくりであれば、サム・リー、エディソン・チャンとかショーン・ユーなどいるわけですが、やはりというか大きすぎるジャッキーの存在を埋めることはできず、未だジャッキーは唯一無二のジャッキーとしてその存在感をみせ続けています。

残念ながら現在のジャッキーは中国政府に偏るスタンスだったり、若手俳優たちへの不満を掲げるなど、中国の若者たちからは口うるさいおじさんとして老害のように扱われてしまっていますが、それもこれも生涯現役を掲げたジャッキーの『もはや自分の後継者など作れない』と感じた末の行動の結果なのでしょう。


かつてブルース・リーの後継者ができなかったようにジャッキーそのままを後継することはもう無理なくらいジャッキーという映画界における存在は世界的に変えられないものにまで大きくなってしまったことなのだと思います。

それでも70歳をこえてジャッキー自身も衰えが隠せないものとなるなか、ジャッキーは次のアクション映画界の繁栄を願ってその後継を探すことを諦めることはないでしょう。


そういった所で今回の独論はここまで。また次回新たなネタでお会いしましょう。


これまでの過去独論のアーカイブスはこちら

https://ameblo.jp/a-iwashi/theme-10108881048.html







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