(まずは、ここから生きて出て行くのだ。
ジュンペイはきっと…外で待っている)
そう信じることしか、裕太には出来なかった。
『さぁ~大きいのが、また来るぞぉ』
裕太の耳に、そのひと声が響くと…
ザバーン!
まるでスプラッシュマウンテンを、頭から突っ込んだみたいな
勢いで、大量の水が頭上に降りそそいだ。
ごぼぼぼぼぼ…
たまらず裕太は、息が続かなくなる。
「目を…あけてもいい?」
ようやくかすれた声が出た。
『あぁ~あと少しだ』
何があと少しなのかは、わからない。
答えにはならない返事が、返ってくる。
ただ…全速力で、上に伸びあがっている感覚だけを感じる。
(あっ、外に出た…)
目を開けずとも、裕太にはわかった。
新鮮な空気が、裕太の鼻を突き抜けていく。
はぁ~
思い切り、大きく深呼吸をする。
さらに…まぶたに、光を感じる。
『さぁ~目をあけてもいいぞ』
リュウタが笑うような声で、裕太に告げる。
「ついた?」
ゆっくりと、まぶたを開く。
ここは、どこだ?
裕太は、しばらく目が慣れるのを待った。