小さい人たちと絵本を一緒に読むのは
何よりの学びです。
どんなに優れた理論書よりも、
子どもと絵本の関係を
解き明かして見せてくれます。
なので、お店でも、機会を見付けては
ちいさいお客さまと一緒に読みます。
先日、お店にやって来た3歳の男の子と、
何か読もうよ!と手にしたのがこの絵本でした。
かいじゅうたちのいるところ
モールス・センダック/神宮輝夫
冨山房 本体¥1,700.
マックがひどいいたずらをして
怒ったお母さんから、
晩ごはん抜きで自分のお部屋にいなさい!
と叱られたところからお話は始まります。
(日本だったら、うちの子じゃありませんと外に出される場面ですね)
マックスが寝室に戻ると、なんと不思議!
部屋ににょきにょきと木々が生え始め、
波が打ち寄せ、ヨットを運んで来たので
まだいたずら心の収まらないマックスは
意気揚々と冒険に出ます。
やがて、マックスの乗ったヨットは
ある島に到着。
そこには恐ろしげなかいじゅうたちが・・・
それまで目をキラキラさせて聞いていた、
3歳男子でしたが、
かいじゅうたちがぞろぞろの場面になると
そ~っと後ずさり、
・・・タタタと
ママの方に逃げて行ってしまったので
お話は途中で終わってしまいました。
実は過去にも、仲良しの小さいお客様との間で、
よく似た体験があるのです。
もう大分以前の雪ぼうず事件。
絵本は、きつねのきっこのシリーズの
冬のお話でした。
おおさむこさむ
こいでやすこ
福音館 本体¥1,000.
この時、雪ぼうずはまだかわいい。
この絵本で、ページをめくるたび
雪ぼうずがズンズン大きくなっていく・・・
その場面が怖くて
きっこの棚の前を通れなくなった子がいました。
本屋が本の読み聞かせをした結果、
買ってもらえなくなるなんて
本末転倒じゃ!
ということではなく
怖い話との出会いはもう少し深いかも・・・
と思っています。
世の中には、
子どもには怖い本は見せたくない
という考えの大人もいます。
それに、お子さんのタイプもありますよね。
けど、長くお店に通っていただき、
その育ちを見せて頂いていると、
どんなに怖がりだった子も、
ずーっと怖がりじゃないとわかります。
確かに感じやすい時期というのはあるのですが、
そこを超えた彼らは、
ねえ、怖い本はないの?
と、”ドキドキ”を求めるようになるのですから。
雪ぼうずが怖かった女の子は、
大学生になると留学しましたよ!
え~?ひとりで行くんだよね~?と
気をもむのはわたしだけ。
見知らぬ国に行き、
様々な体験を受け止められる人に育ちました。
子どもの成長の中でも心が大きく育つ時期は
不安定になりがちだと感じます。
こういう時は怖がりになるんですよね。
でも、体験を重ねて不安を克服することで、
以前には怖かったことが
何でもなくなるもののようです。
大人になって自分の力で社会に出た時、
世の中は幸運ばかりではありませんし
残念ながら、親切な人ばかりでもありませんが、
子ども時代にお話の中で
危険や困難を乗り越える体験をしておくのは
きっと助けになると思います。
怖いお話の多い昔話は
生きることのシュミレーションだと言われますが、
行って、体験して、乗り越えて、
そして戻ってくるお話を、
安全な大人の膝で聞けるのは幸運なことです。
ところで、きっこは
おばあちゃんから教えられたことを守って、
雪ぼうずから逃れましたし、
かいじゅうたちを手下にしていたマックスも、
優しい誰かさんの事を思い出して
最後には家に戻ることにしました。
絵本は安全なんです。
だから、三歳男子がもう少し成長したら
かいじゅうたちに再挑戦する予定です。
そもそも、お話をきいて怖いと感じる
その感性って、素晴らしいと思いませんか?
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