逃げて行ってしまった 笑 | ほんとうのピコットさん

ほんとうのピコットさん

子どもの本屋「夢文庫ピコット」店主です。
タイトル「ほんとうのピコットさん」については、
http://ameblo.jp/pikot/archive1-200711.html をどうぞ!

小さい人たちと絵本を一緒に読むのは
何よりの学びです。
どんなに優れた理論書よりも、
子どもと絵本の関係を

解き明かして見せてくれます。

なので、お店でも、機会を見付けては
ちいさいお客さまと一緒に読みます。

先日、お店にやって来た3歳の男の子と、
何か読もうよ!と手にしたのがこの絵本でした。

 

 

 

かいじゅうたちのいるところ

モールス・センダック/神宮輝夫

冨山房  本体¥1,700.

 

 


マックがひどいいたずらをして

怒ったお母さんから、

晩ごはん抜きで自分のお部屋にいなさい!
と叱られたところからお話は始まります。

(日本だったら、うちの子じゃありませんと外に出される場面ですね)

マックスが寝室に戻ると、なんと不思議!

部屋ににょきにょきと木々が生え始め、

波が打ち寄せ、ヨットを運んで来たので
まだいたずら心の収まらないマックスは

意気揚々と冒険に出ます。
やがて、マックスの乗ったヨットは

ある島に到着。

そこには恐ろしげなかいじゅうたちが・・・


それまで目をキラキラさせて聞いていた、

3歳男子でしたが、
かいじゅうたちがぞろぞろの場面になると

そ~っと後ずさり、
・・・タタタと

ママの方に逃げて行ってしまったので笑
お話は途中で終わってしまいました。



実は過去にも、仲良しの小さいお客様との間で、
よく似た体験があるのです。
もう大分以前の雪ぼうず事件。
絵本は、きつねのきっこのシリーズの

冬のお話でした。

 

 

 

おおさむこさむ

 

こいでやすこ

福音館 本体¥1,000.

この時、雪ぼうずはまだかわいい。

 

 

この絵本で、ページをめくるたび
雪ぼうずがズンズン大きくなっていく・・・

その場面が怖くて
きっこの棚の前を通れなくなった子がいました。

本屋が本の読み聞かせをした結果、

買ってもらえなくなるなんて

本末転倒じゃ!
ということではなく
怖い話との出会いはもう少し深いかも・・・

と思っています。

世の中には、

子どもには怖い本は見せたくない

という考えの大人もいます。
それに、お子さんのタイプもありますよね。

けど、長くお店に通っていただき、

その育ちを見せて頂いていると、
どんなに怖がりだった子も、

ずーっと怖がりじゃないとわかります。

確かに感じやすい時期というのはあるのですが、
そこを超えた彼らは、
ニコニコ ねえ、怖い本はないの?
と、”ドキドキ”を求めるようになるのですから。

雪ぼうずが怖かった女の子は、
大学生になると留学しましたよ!
え~?ひとりで行くんだよね~?と
気をもむのはわたしだけ。
見知らぬ国に行き、

様々な体験を受け止められる人に育ちました。

子どもの成長の中でも心が大きく育つ時期は
不安定になりがちだと感じます。

こういう時は怖がりになるんですよね。
でも、体験を重ねて不安を克服することで、
以前には怖かったことが

何でもなくなるもののようです。

大人になって自分の力で社会に出た時、
世の中は幸運ばかりではありませんし

残念ながら、親切な人ばかりでもありませんが、
子ども時代にお話の中で

危険や困難を乗り越える体験をしておくのは
きっと助けになると思います。
怖いお話の多い昔話は

生きることのシュミレーションだと言われますが、
行って、体験して、乗り越えて、
そして戻ってくるお話を、
安全な大人の膝で聞けるのは幸運なことです。

ところで、きっこは

おばあちゃんから教えられたことを守って、

雪ぼうずから逃れましたし、

かいじゅうたちを手下にしていたマックスも、

優しい誰かさんの事を思い出して

最後には家に戻ることにしました。

絵本は安全なんです。


だから、三歳男子がもう少し成長したら
かいじゅうたちに再挑戦する予定です。

そもそも、お話をきいて怖いと感じる
その感性って、素晴らしいと思いませんか?

 

 

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