秘境話…母の老いを見つめる①⭐️真夜中の転倒 | まりんぼったの独り言

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ヨウムのまりん(2000年生まれ)との日々…
笑ったり、怒ったり、ひたすらにぎやかな日常の中で、私(なまちゃん)の日々も流れて行きます。
調子に乗って、俳句、短歌、川柳、小説なども。
秘境に1人暮らしをしている母も92歳になりました。





   4月20日の夜。
    4週間ぶりに母との話が弾み、僅かな
     惣菜とビールの後のお茶で、遅くまで
     喋っていた。

     3月は短い睡眠時間と疲れで、帰宅
     してから風邪を引き込み長い間困った
      から、今回は早めに布団に入った。

     秘境の夜は寒い。

    敷布団2枚、毛布2枚、掛布団を掛けて
    潜り込んだら、そのまま深い眠りに
     落ちたようだ。

    翌朝、いつもならまりんのことが気に
    なって、早くから目が覚めるのに、
   ぐっすり眠って心地よく目覚めた。

   母もゆっくり眠れたんだろうな。

    「おはよう。昨夜はとんでもないことを
     してしまって、目が覚めたじゃろう?」

    「えっ?何も気がつかなかったけど?」

    すると、びっくりすることが起きていた❗️

     私が寝入ったばかりの真夜中、母は
    脱衣室に通じるドアを開けて、トイレ
    に行こうとして、足元がよろよろと
    なり、ドアのガラスに激突したのだ。

   ガラスはそのまま、木枠ごと外れて
   脱衣室に落ちたが、奇跡的に割れず
    に残っていた。

   奇跡としか言いようがない。

   幸い、母にも怪我はなかったが、相当
    脚の力が弱って来ているのだ。

   ガラスは木枠の部分にボンドを付けて
   補修しないといけないので、来週弟が
   帰ってからのことになった。

  「まあ、とんでもないことをして」
    母は何度も繰り返す。

   転倒もショックだったけど、実は昼間
    見た葡萄畑の光景にショックを受けた。

   剪定された葡萄の枝から、ポタポタと
   樹液が流れ落ちているのだ。

   本来なら、遅くても二月末までには
   済まさないといけない剪定を、母は
   すっかり忘れてしまい、四月になって
    行ったので、枝から樹液が流れ出し
    脱水状態になっているのだ。

    以前の母なら、日記帳を見たり、他の
    葡萄農家の人に確認しただろうに。

    「植物は強いから、大丈夫だと思うよ」

    母もショックを受けたと思うが、そう
     言って畑を後にした。

     これから、幾つもの母の老いにぶつかる
     ことになるのだろう。

    悲観的にならないで、1つずつ解決して
    いかなくてはいけないと、思いを新たに
    した朝だった。


     



    「ボクも心配しているんだよ」

   ✳️  実家の猫 茶々丸=チャチャ