高齢者の医療費問題
最近、103万円の壁と同じように高齢者への医療費負担も高齢者全員を3割に増やすべき。という論争も多くなってきました。
団塊の世代の方々が75歳(75歳から後期高齢者)を迎えるっていうのもありますが、少子高齢化社会で現役社会人の若い世代の社会保険料負担が厳しいのが現状です。
私も90歳になる高齢両親を介護している身なので、この先どうなるんだろうと思ったりします。
もう90歳だから十分生きてるのは分かってる。
医療機関にかからずにほったらかしにしていてもいい社会だったら話は別ですが、病院へ連れて行かずほったらかしにしていたら「酷い家族‼」「虐待‼」
高齢者を病院へ連れて行っていれば「医療費の無駄」
高齢者のいる家族としてはとても苦しいです。
高齢両親の病院へ付き添うようになって思うことがあります。
町のかかりつけ医だと、状態は変わらない(現状維持)けれども薬は1ヶ月分しか処方してくれなかったりする。
毎月必ず病院へ行かなければいけない病院もあります。
高齢母の病院は、定期健診の診察や処方箋も3ヶ月分(最高90日分しか現状では薬の処方をすることはできないそうです)
*注意)ネットで調べてみたら薬の種類によっては14日分、30日分しか処方できないお薬もあるそうです。
3ヶ月に一度は診察と処方箋を頂くのに通院するわけですが、それでも無駄に通わなくていいので助かります。
しかし、高齢父が通っている病院は、かかりつけ医が地元の小さい病院。
何かあると町の総合病院へ行って検査、しかし処方箋はかかりつけ医。
不整脈と膀胱がんで通っていますが、かかりつけ医に月に1度、数カ月に一度の検査などは総合病院と……結構頻繁に病院へ通うことになる。
高齢者の医療費の問題には、こういった問題もあると思う。
病院側は「月に1度は様子を見たいので」と言って1ヶ月分しか処方箋を書いてくれない。
そう言われてしまうと「いいえ、3ヶ月に1度でいいので」とはこっちから言うのもなんだかな。と思ってしまい言い出せないのが現状です。
今更他の病院へ変えるわけにもいかないし……
処方されている薬の種類もあるので30日が限界なのかもしれないですが。
あと、検査の結果も先生に言われるままでよくわからないことも多く、薬が減ることはなく増えるばかり。
よく高齢者は暇さえあれば病院に行っている。という意見も目にするのですが、お薬などの難しいことは素人にはわからないから、患者側も先生に言われるままに薬を飲んで病院に通うしかない人もいると……
高齢両親の病院へ付き添うようになって思いました。
支払いの順番を待っていて思うのですが、支払いのない人も結構いたりする。
小さい町だと病院もそんなに選べないし……
高齢両親二人とも同じ病院だったらよかったのですが、高齢父は近場にしか行きたがらなかったし、最近は病院を途中で代えるのも紹介状とか色々とうるさいので、またその手続きとかも私の役割になるからめんどくさくって…
でも二人が通っている病院の先生は良い先生なので不満なんて全くないけれども、今後3割負担になった時の医療費のことなどを考えると……絶望しかないです😅
映画「ロストケア」
この間、映画「ロストケア」を観ました。
ロストケア=喪失の介護
介護従事者の介護〇人がテーマとなっています。
映画「ロストケア」は、要介護の高齢者と訪問介護センターの所長が〇害された事件を軸に、介護現場の現実と向き合った社会派サスペンスです。
【あらすじ】
早朝の民家で、要介護の高齢者と訪問介護センターの所長の遺体が発見される。
捜査線上に浮かぶのは、献身的な介護士として知られる斯波宗典(松山ケンイチ)。
検事の大友秀美(長澤まさみ)は、斯波が勤務する介護センターで老人の死亡率が異常に高いことを突き止める。
大友は真実を明らかにするため、斯波を追い詰めていくが斯波は「〇人ではなく救い」であったと主張する。
大友が被害者の家族を調査するうちに、社会的なサポートでは賄いきれない介護家族の厳しい現実を知り、大友は事件の真相に迫る中で、次第に心を激しく揺さぶられていく。
「ロストケア」は、葉真中顕の同名小説を原作としており、「そして、バトンは渡された」の前田哲が監督を務めました。
キャスト:松山ケンイチ、長澤まさみ、柄本明、鈴鹿央士、坂井真紀、戸田菜穂
現在高齢者の在宅介護をしている私なので、この映画が問いかける「正義とは」何なのかと思ってしまいました。
認知症の父親の介護に追われ困窮した主人公が映画の途中で生活保護を申請に役所に行くも「まだ働けるでしょ」と追い返される。
その後、困窮しながらも認知症の父親の介護もしなくてはいかず、どんどん精神的にも追い詰められてうつ状態になり部屋も散らかっていく。
最後はこの困窮した生活の終わりと共に父親を安らかに眠らせるための介護〇人を選択してしまうのですが、そのシーンの松山ケンイチさんと柄本明さんのシーンは涙が溢れてしまいました。
してあげたいことはあっても出来ない
認知症の症状がどんどん進み、介護に時間を取られて働く時間も無くなり、そして生活に余裕がなくなっていく。
生活保護を申請しても申請すらも受け付けてもらえない。
福祉にも繋がらず誰にも相談できない。
生活に困窮するにつれて(まともな食事などの栄養が取れなくなり)精神は病み、相談する気力さえもなくなって孤立していく。
それでも日々の在宅介護からは逃げることも出来ずに終わりなき日々が続いていく。
特に認知症の末期になったら、排泄も垂れ流す、足腰が達者なら徘徊も心配しなければいけない。
認知症が進んだ高齢者の在宅介護をしながら「健康で文化的な最低限度の生活」を介護者が働きながらするのは……
とても厳しく難しいことだと……本当に思いました。
私も映画の主人公の介護には遠く及ばないかもしれませんが、在宅介護を現在進行形で経験しているので、主人公の思考能力が失われていく気持ちが……ちょっとだけかもしれないけど分かるので、とても心が苦しくなった。
主人公役の松山ケンイチさんの演技がとてもリアル。
特に排泄を垂れ流しながら徘徊する父親の歩いた後を雑巾で拭きとるシーンなどとてもリアルな映像で、私も排泄処理をすることも多くなってきたのでその苦しみも理解できるから涙がでました。
この映画は、介護する側だけでもなく介護される側のことも考えさせられました。
「生きること」と「生かされること」は違う。
最終的に主人公は最悪な選択をし、その後に介護職員となり在宅介護に日々追われる介護者の負担を軽くしようと自分勝手な判断で最悪な選択を繰り返していくのですが……
犯人の行動は介護する側からしたら悪だったのか?それとも正義だったのか?
介護から解放された人たちのその後の生活や思いもリアルだった気がしました。
主人公親子の最後の別れのシーンでの松山ケンイチさんと柄本明さんの演技がとてもリアルで……
大切な存在だけれども、困窮生活の中でもう面倒が見られない。
大切な存在だからこそ、もうこれ以上迷惑をかけたくない。
言葉はなくても二人の心情が声になって表れているようなリアルな演技で涙が止まらなかったです。
私の両親も二人とも90歳と言う年齢。
高齢父は足腰は悪くて一人で外出することは無理でも、自宅ではまだ一人で自分のことは出来たりします。
高齢母は少しづつ認知症が進み、毎日同じことを繰り返している事でもまるで初めて‼のような言動をすることが多くなってきました。
身体を拭く時、ほぼ毎日の出来事なのに「体拭くからズボンおろすよ」と言えば……
「えっ?脱ぐの?」
毎日同じことを繰り返していても同じ言葉が返ってくる。
毎日が初めて受ける介護のような表情だったりします。
冬は特に寒いから身体を拭くのも嫌がったりすることも多くて、清潔にしてあげたくても「寒くてダメだよ‼触らないで‼」と反抗されるとイライラしてしまうことも多かった。
最近は大好きな音楽(演歌)を流すことで大人しくなり、されるがままになってくれているので身体を拭くのも楽にはなっています。
毎回、一つ一つが手探りな在宅介護。
ただ、私は兄と二人で交互の介護です。
親の年金は国民年金で少なく兄は無職、年を取るごとに介護用品代も増大していくので、私が仕事をして収入を得て援助していかなくては生活も厳しいので。
「生活が苦しいなら一緒に住んだら?」と思われるかもしれませんが、一時でも介護生活から解放されることで、今はなんとか平常心を保てているのかもしれません。
今現在、トイレに連れていく時も、顔を洗ったり歯を磨いたりする時も、食事をする時も薬を飲むときも、常に付き添わなければいけないのが現状です。
夜中にトイレに行きたくてSOSベルが鳴りますが、既に漏れていたりすると……
トイレに連れて行って、その後に尿で濡れた部分を拭いてからおむつ交換して、パジャマが濡れていなくても漏らすと蒸れたりしているから、すべて着替えさせたりしてからまた寝かせる。
そんな時はちょっと自分自身も辛かったりして泣けてくることもある。
これ以上認知症が進み「映画 ロストケア」の主人公のお父様と同じような状態になった時に、果たして今と同じように面倒を見きれるのかと不安になる。
私の親は……毒親でした。
子供の頃に親から愛情の欠片も受け取っていないと思える状態の中で、認知症状が進んでいき全てを忘れた親をどのような気持ちで介護していくことができるのか?
私にとっての今後の大きな課題でもあります。
映画「ロストケア」を見て色々な感情が混ざりあいました。
見る者に「介護とは」「人間の尊厳とは」などを訴えかける映画だったと思います。
私はどうしても困窮者側のキャストの演技に注目してしまいましたが、エリート検事役の長澤まさみさんの演技も素晴らしかったです。
笑う場面も一切ない重たい映画ですが、家族介護・在宅介護の存在もたくさんの人に知って欲しいと思った作品でした。
今日も読んで下さりありがとうございました。
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