あれから、恐竜の世界へ引きずり込まれたJとLはこの日もその異世界を探訪していた。$に誘われ、何度も現実とその異世界を行き来した。
$:「中生代。およそ1億8000万年にわたる中生代は、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の3つの時代に分けられる。三畳紀には世界的に高温で乾燥した気候が続き、最初の恐竜と哺乳類の系統が現れた」
J:「この世界は何だか、まだ人間による都市開発が行われていないため、緑の森林などが群生しているね。それに自然環境が潤っている」
L:「ほんとだ。地球がまだ環境破壊が進んでおらず、いい色をしていた」
$:「本当にそうだ」
$はそう言いつつ、今の現代に生きる人間たちに警鐘をも鳴らす。それを感じ取っていた中学生のLとJ。それが分かっただけでも収穫だ。
$:「うっそうとした森林が地球の大部分を覆い、恐竜と翼竜が栄えたジュラ紀は、史上最大の陸生動物である竜脚類の時代でもあった。また、最初の鳥類が現れ、新しい哺乳類も誕生した」
レックスの背中から見る恐竜の世界はやはり迫力があった。空から見る恐竜の世界。空から見るこの雄大な大自然。それはまるで北の先進国の都市開発が進んだ日本とはかけ離れていて、アフリカのケニアのような大自然が息づいた環境だった。
$:「白亜紀に再び気候が寒冷化し、白亜紀前期には最初の被子植物が出現した。有胎盤哺乳類が進化し、鳥類も多様化した。中生代の終わりには、大量絶滅によって恐竜が絶滅した」
$はそう言って、ここで少し休みたいと申し出て、レックスを森林地帯の場所に舞い降りさせ、そこで用を足してから、水分を補給したいと言った。レックスはそれを聞き入れ、緑多い森の中へと舞い降りた。
J:「$。私たちをこの恐竜の世界に置いてきぼりにするのは危険よ」
L:「いいじゃない?少しぐらい。誰でもトイレには行きたいはず」
J:「でも、何だか怖い」
そんなことを感じながら、JとLは意見が食い違った。珍しく意見が衝突するLとJ。だが、$はすぐに戻ると言い、JとLから離れ、用を足しに行った。その間、JとLは二人だけとなった。
J:「ここは私たちだけの内緒にしよう」
L:「そうだね」
J:「他の人に教えちゃだめよ」
L:「分かってる」
そんなことを話しながら、二人は$が帰ってくるのを待った。しかし、$はなかなか戻らない。
そこに魔の手が忍び寄る。ジュラ紀のケラトサウルスが二人の前に現れた。息をのむJとL。ケラトサウルスの生息環境は森林のある平原。体長4.5m、体重1t、食性は肉(植物食恐竜、その他の爬虫類)。そして、二人を見つけたケラトサウルスが喰いかかろうと襲い掛かる。その場から素早く逃げるLとJ。