今まで撮ったレントゲン写真の中で最もインパクトのある写真といえば何といってもこの一枚です。8年前の3月、異変を感じてはじめて近所の胃腸科を訪ねたときに撮りました。

 



朝食時のことです。それまでは多少のつかえはあったもののお茶で流し込めば「ゴボッ」という大きな音のゲップといっしょに胃に落ちていきました。

 

このときは食べ物がまったく落ちていかずに吐き出してしまいました。ノドにピッタリとフタをされたような感覚です。

ノーテンキな私もさすがにあわてました。あわてはしましたが「逆流性食道炎かな?」ぐらいに軽く考えていました。

胃腸科での60歳にして生まれてはじめてのバリウムを飲んでのレントゲン撮影。技師さんから「ハイ、ゴックンしてください」と何度言われてもなかなか飲めません。ほんのひと口ずつ流し込みました。

やっと流し込んでも今度は「ハイ、息を止めてゲップ我慢して」と言われますがすぐに大きなゲップが出てやり直しです。

健診の撮影なら10秒ほどで終わるのにこのときはいろんな体位をさせられて30分はかかったように記憶しています。

そして診察。モニターには先程撮ったレントゲン写真が4枚ほど貼ってあります。

「この糸のような白い線がありますね。これが食道の中を通過したバリウムのあとです。周囲の腫瘍に圧迫されてこんなに細くなっています」

「こちらが食道を上から撮った写真です。開口部がこれだけ広いのに途中からぐっと細くなっているのがわかりますか。周囲をぐるりと囲んでいるのが腫瘍です」

「食道がんの可能性もあります。紹介状を書きますのでこの写真を持ってすぐにN病院で詳しく見てもらってください」

医師が食道がんという言葉を使ったのは一度だけです。腫瘍、腫瘍と繰り返しました。

今からすれば素人目にもこんな大きな腫瘍が良性なわけないんですが患者を落ち込ませない配慮だったんでしょう。

ことここに至っても私は、「腫瘍ね~、精密検査をすれば良性だって言われるよ。オレががんのわけないよ」と一抹の不安を抱えながらも楽観視していました。


飲み込みが悪くなる、沁みる、やたらゲップが出るなど食道がん特有の自覚症状は数年前からありました。

こうした自覚症状がいっきに出てくれれば驚いて病院へ駆け込みますが変化に気が付かないほどゆっくりと進行していくのががんの怖いところです。

食べ物がノドにつかえていても「年のせいかな~」で終わっていました。

 

 

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