経済なんでも研究会

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月とスッポン : 日米の金融政策 (下)

2024-05-10 07:29:12 | 金融
◇ 理屈に合わない日銀のアプローチ = FRBは急激な金融引き締め政策で、インフレを抑え付けようとした。しかし物価はまだ3%以上の上昇を続けている。これを2%の上昇にまで下げることが最終的な目標。だが、これ以上の引き締めは景気を悪化させる危険があるので難しい。このため政策金利をずっと5.25%に据え置いたまま、様子を見ているのが現状だ。それでも「物価2%」という目標は、満月のようにはっきりと見えている。

日銀も「物価2%」を、金融政策の最終目標に掲げている。日本の物価上昇率は現在ほぼ3%前後、政府の補助金を考慮に入れれば4%に近いかもしれない。それを2%にまで下げるというわけだ。アメリカと同じだが、アメリカは金融を引き締めている。しかし日本は金融を超緩和したままだ。物価を下げようというのに金融を緩和するのは、どう考えても理屈に合わない。やり方がアメリカと正反対なのである。

よく知られているように、現在の物価高は円安による輸入物価の上昇によるところが大きい。試算によると、生活用品の値上がりはその3割が円安によるという。円安は日米間の金利差が基本的な原因。だから理論的には、日銀が金利を引き上げれば円相場は上昇する。利上げと言っても、政策金利を3%とか5にしろと言うわけではない。おそらく0.25%、それも「検討する」と言うだけで、円相場は10円ぐらい上昇するに違いない。ところが日銀はそれすらも言わず、頑なに「ゼロ金利を守る」と言い続ける。なぜなのか。

どんな経済政策にも、必ずプラス面とマイナス面がある。いまや超金融緩和政策はプラス面よりマイナス面が大きいことは、日銀も判っているはずだ。にもかかわらずゼロ金利に固執するのは「日銀が利上げしたために、不況になった」と批判されるのが怖いからではないか。この保身のために日銀は動きがとれず、スッポンのようにゼロ金利に食いついたまま離れない?

        ≪9日の日経平均 = 下げ -128.39円≫

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

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