4月中旬、友人が主催の横地真樹先生(山梨県やまびこ診療所)のお話会に参加してきました。
こういったイベントに参加するのはとても久しぶりです。
長男が亡くなって7年がたち自分の精神状態も安定してきて、下の子たちの育児の悩みなどもわりと自分でなんとかできるくらいになっていたので、小児医療がテーマのお話会に行ってもだいたい知っている内容なのかもしれないと思っていましたが、
友人が主催で地元開催なので応援の気持ちで、と申し込みしてみました。
実際のお話は小児医療にとどまらず、生き方を考えるうえでとても深い内容でした。
その中でも一番心揺さぶられたのはある若い女性の緊急帝王切開のエピソード(実話)です。
私が記憶している範囲でざっくりご紹介させていただきます。
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夜中に救急で運ばれてきた若い女性、(胎盤剥離か何かで)胎児がまだかなり小さい状態だが緊急帝王切開が必要になり、
小児科の当直だった横地先生が呼び出されたとのこと。
緊急度が高く下半身麻酔では間に合わないとの判断で、全身麻酔を施されたため女性は眠っており、赤ちゃんを帝王切開で取り出されたことも知りません。
赤ちゃん誕生後はすぐNICUで生命維持のための対応を懸命にとられましたが残念な結果になったそうです。
その時横地先生がこう思ったそうです。
今この赤ちゃんが生まれて亡くなっていったことを知っているのは自分と数名のスタッフだけ。
母親は眠っていてこのことを知らない。
果たしてこの赤ちゃんが生まれてきた意味とは何だったのだろうか?
いったいなんのためにこの赤ちゃんはここで生まれ亡くなっていったのだろうか?
保育器に入った赤ちゃんを見つめながら先生はそう思っていたそうです。
すると赤ちゃんの父親という若い男性が病院に来たとの連絡があり、
本来はNICUには「戸籍上の両親」しか入ることはできないそうなのですが、
横地先生はご自分の判断でその男性をNICUに入れたそうです。
男性は赤ちゃんを見たとたんに大号泣、しばらくの間泣きじゃくって、
そしてようやく泣き止んで、深く頭を下げて出ていったそうです。
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横地先生は、赤ちゃんの生まれた意味は、この数分間のためにあったのだ!と気づかれました。
父親だという男性の心を、感情を、ここまで揺れ動かすこと。これがこの子の生まれた意味であり、目的であったのだ、と。
人はみな、生まれてくることには必ず意味があるということを実感した体験だったそうです。
そして病気や事故など、幼くして亡くなった子については、
生まれてきた目的を無事達成して、自分の人生を生ききった子、だとおっしゃいました。
小児科医の先生からこういう言葉を直接聞けたことは、私にとってとても心に響きました。
これまで知人やセラピストさんなどからは「長男くんは魂の目的を果たしたんですね、人生を生ききったんですね」
と言われることはあったのですが、小児科医から聞けたことは本当に大きかったです。
というのは、医師はみな「死は負けだ」というスタンスだと思っていたから。
人は生まれてきたからにはいつか必ず死ぬ。
そして死は決して負けなのではなく、人生のフィナーレなのだ。
まあ、そう思えるのも7年経ったから、なのですけれど…。
お話会の日の夜中に完成した点描曼荼羅画・2023年新作です。長男に捧げます。
実は今回も祥月命日に間に合いませんでした💦Tくんごめんよ~。
でもすごく満足度の高い作品に仕上がりました☆彡