どんなハーモニーをつけますか? | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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メロディにハーモニーをつけるなんてこともあるかもしれません。たとえば編曲する時にはこれが出来ないと進められませんし、これが面白いところの一つだったりもします。さて、ではどんなふうにつけるのでしょうか。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
 

 

  ハーモニー

 

以前、こちらの記事のなかで…

 

 

ひとつのメロディにはいろいろなコードをつけられますが、
ひとつのベースにつけられるコードは、そう多くはないと思うのです。

と書きました。
ひとつのメロディにはいろいろなコードをつけられる…
たとえばどんなコードがつけられるのでしょうか。そして、どうやってつけるのでしょうか。
きょうのお題はこちらです。
『春が来た』


 

 

  考え方

 

いろいろな考え方ややり方があるのでしょうけど…
まず、最初はトニックから始まりますよね(必ずそうしなければならないわけではない)。
そして、1段目の最後、4小節目はドミナントを要求しているように見えます。
(必ずそうしなければならないわけではない)
さらに、下の段の3小節目(7小節目)はドミナント、最後の小節はトニック。
(ひつこいですが、必ずそうしなければならないわけではないです)
このあたりを押さえつつ、どんな道をたどってそこへ行くのかを考えてみます。
このメロディの難しいところは…
6小節目後半『里に来た』の『来た』のところをマイナーサブドミナントに出来ないところ。
したくなりますよね。でも、ラがあるから出来ません(メロディは変えられないしねぇ…)。
 

 

  例1

 

まずは、シンプルに…


♪例1の音

普通ですよね。
最初3小節I度が続くので、トップの音で変化をつけてみました。
下の段は、2小節目でIVに行くので、1小節目はそのドミナントのI7にしました。
そして、7小節目のドミナントは終止の46(シロク)。メロディはそうして欲しそうです。
まだまだいろいろなハーモニーをつけられますよ。
 

 

  例2

 

2拍づつコードを変えてみました。


♪例2の音

臨時記号は使わないでつけました。
前半4小節は、ありがちなやつですよね(なんて言うんでしたっけ…)。
ベースが音階進行です。
こんなふうに、ぼくはラインからコードを考えることが多いですね。特にベースライン。
目的地にたどりつく線を考えるのです。
そして…
 

 

  非和声音

 

リハモ(リハーモナイズ、ハーモニーを置き換えること)すると、非和声音が増えますよね。
許容できるもの、心地いいもの、ダメなもの、いろいろあります。
メジャーコードに4の音は経過音などでしか許されない。生かしたければsus4にする。
マイナーコードにメジャー3は許されない。逆はOK(#9th)。

メジャーコードもマイナーコードも、9は普通に使われるテンション。
マイナーコードの11は、普通に使われるテンション(メジャーでは前途の通りNG)。
ドミナントでは、♭9、♯9、♭13などもあり(リディアン7th系、オルタード系)。
ただし前後の脈絡が大切。取って付けたようになってはダメ。
ほかにもまだまだいろいろ押さえどころがあるのです。ただし、
必ずそうしなければならないわけではなく、それをどう感じるのかが大切。
やっているうちに、つかめてきます。

このあたりのお話も、いつか書いてみようかな…
 

 

  例3


もうちょっと変化を加えてみました。


♪例3の音

前半のこういうの、なんて言うのでしたっけ…
やっぱりラインから考えます。
ベースって、音階進行、半音階進行、4度上昇(5度下降)が心地いいのです。
ただし、そればっかりでは単調になるかもしれませんね…
3小節目後半はドッペルドミナントへ、7小節目のドミナントは後半を裏にしてみました。

裏コードとは…
こちらに書きましたね。

 

 

ドッペルドミナントというのは、ドミナントに行くためのドミナント。II7ですね。
そのあと4小節目前半はIImになっていますが、これはドミナントとセットなのです。
related two minor(準備されたII)といいます。
 

 

  例4

 

もうひとつ考えてみました。ちょっとジャズ風。


例4の音

うーん、ちょっとキビシイか…
どんなふうにしたらジャズ風になるの?
ジャズの特徴的なコード進行のひとつは、ドミナント。II→V。
いわゆる『ツーファイブ』と言われるものですね(3小節目、4小節目)。

もちろん、どんな編成でどんな楽器で演奏するのかによっても全然変わってきます。

なにしろこんなふうに、ひとつのメロディにいろいろなハーモニーをつけることが出来るのです。
まだまだいろいろ出来るでしょうね。


さて、みなさんはどんなハーモニーをつけますか。