最初から↓
http://ameblo.jp/takuyakubaku/entry-11217134640.html
彩乃の言葉が引っかかったまま夏が過ぎ、秋を越え、季節は冬になっていた。
あれ以来、僕は結婚についての話題を、何も言い出せなかった。
昔から僕は、逃げ癖がある。
嫌な事や苦手な事からは、とことん逃げる。
あのまま結婚の話をした所で、何もいい事が無いように感じた。
だから、結論から逃げたのだ。
××× ××× ×××
ウィーン
店員「いらっしゃいませー。何名様ですか?」
ファミレスの自動ドアを開けると、ふてぶてしい態度の店員が、僕の目の前にやってきた。
僕「一人」
店員「一名様ですね。お煙草はお吸いになれれますか?」
僕「はい」
店員「かしこまりました。こちらへどーぞ」
店内は、多数の家族連れでにぎわっていた。
そんな時、ふと声が聞こえた。
子供「ねぇパパ、今度自転車買ってくれるって約束したでしょー?」
父「そうだな。今度の試験で100点取ったらな」
母「あらまぁ。じゃあ、頑張らなきゃね」
子供「ホント? 約束だよ、絶対!!」
父「ハハハ。じゃあ、指切りしようか?」
子供「うん!」
二人「♪指切りげんまん ウソついたら針千本の~ます 指切った!!」
……僕も、あんな風な会話を、彩乃とする様になるのだろうか?
そんな未来は、こない気がした。
何故だろう。
何故、彩乃との未来が見えないのだろう?
役者をやってる僕の収入が少なく、甲斐性が無いからか?
同棲はしてるものの、彩乃に結婚願望があるか分からないからか?
二人に子供が出来る姿が、全く想像出来ないからか?
僕「あ……」
気がつけば、僕はファミレスで一人、涙を流していた。
ゆっくりと涙腺から流れる粒は、アゴをつたって床へと落ちた。
それはまるで、僕らの未来を示すかの様に。
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